朝夕には涼しさも感じる、夏の終わり。季節の変わり目のこの時期には、体調を崩しがちな人も多いのではないでしょうか。最近ではマイコプラズマ肺炎の流行で、外出が心配というかたもいると思います。もし感染してしまっても、絶対に悪化させたくないですよね。そこで今回は、中医学士で漢方薬剤師の大久保愛先生が、不調を長引かせないための食薬習慣とNG習慣を教えてくれます!
感染後の不調を長引かせないための食事とは
【カラダとメンタル整えます愛先生の今週食べるとよい食材!】vol. 281
夏の暑さもだいぶやわらぎ、日が沈む時間も少しずつ早くなってきました。ようやく夏の終わりを感じますよね。そうなると次に気になるのが、感染症やアレルギー、乾燥による不調など季節の変わり目の体調不良ではないでしょうか。
毎年季節の変わり目に体調を崩す人は多いですよね。コロナ後の不調を引きずり、食べ物や飲み物を飲み込むことにも痛みを感じたり、マイコプラズマ肺炎を長引かせたりと、長期的に喉の症状をはじめとした不調に悩まされることもあると思います。そんな状態では、秋の過ごしやすい気候の中、楽しみが半減してしまいますよね。
そこで、今週は季節の変わり目の不調にも負けず、不調を感じても長引かせないための食薬習慣を紹介していきます。
今週は、不調を長引かせないための食薬習慣
最近、気にしなければならないことが増えていますよね。新型コロナウイルス、マイコプラズマ肺炎、インフルエンザ、台風、地震…。免疫向上に感染症予防、備蓄、避難経路の確認など気を付けておくべきことがたくさんあります。そんな中、数年ぶりに流行しているのがマイコプラズマ肺炎です。マイコプラズマ肺炎は、潜伏期間が1~3週間程度であるため感染に気が付かないまま外出して、うつしてしまうことも多いようです。
また、熱やだるさが落ち着いても咳症状は経過とともにひどくなり、1か月程度も長引くこともあります。これからの時期、感染症で悩む人が増えたり、秋の花粉やダニアレルギーで悩む人も増えたりする季節に入るので、免疫を強化しておくことは必須といえます。
漢方医学では、免疫に関わる臓器を『肺』と考えていますが、『肺』は秋に最も弱りやすい臓器としても知られています。漢方医学で表現する『肺』は、呼吸器系の働きだけではなく、腸内環境なども含め免疫機能に関わる部分とされています。そこで、今週は『肺』を強化するために粘膜を潤し、腸内環境を整えていきましょう。
今週食べるとよい食薬は、【蓮根と舞茸のキンピラ】です。
そして逆にNG習慣は、【ポテトチップスなどスナック菓子&ジュース】を食べながら動画鑑賞などで夜更かしする習慣です。
食薬ごはん【蓮根と舞茸のキンピラ】
喉の調子が悪い日は迷わず蓮根。寒暖差があったり、防御機能を養いたいときには、常備しておきたい食薬の一つでもあります。粘膜を強化し、喉の炎症を抑えてくれます。免疫のサポートに働く舞茸とさっと炒めて、頓服薬のように使うのもいいですね。蓮根は、歯ごたえもよいですが、すり下ろしてスープに入れても美味しい食材です。
<材料>
レンコン5㎝(スライス)
舞茸1/2パック
にんにく1片(スライス)
すりゴマ・しょうゆ・みりん各大さじ1
<作り方>
炒めたら完成。
NG行動【ポテトチップスなどスナック菓子&ジュース】
日々の楽しみのひとつとして、ドラマや映画、アニメなどの動画を鑑賞しながらのんびり夜の自由時間を過ごすという人も多いと思います。ストレスが多かったり、プレッシャーから解放されたときなど、手軽にご褒美の時間が作れて良いですよね。ただ、夜の時間はあっという間に過ぎていきます。動画を見ながらポテトチップスや秋限定のお菓子、ジュースやお酒などを食べたり飲んだりしてのんびり過ごしていたら、意外と食べ過ぎたり、飲み過ぎたりしてしまうこともあると思います。
もし、常習化してしまっているようなら免疫機能の低下に注意しましょう。腸内環境や睡眠のリズムを乱したり、糖化を促したりすることで、いざというときに外敵から身を守る力が不足してしまいます。
秋へと移り変わるこの時期は、様々な不調が同時多発的に起こり、その不調は長引きやすくなっています。日ごろから、防御機能を高めることを忘れずに、楽しむことと健康に注目すること、メリハリをもって生活して元気に過ごしていきたいですね。そのほかにも心と体を強くするレシピは、『不調がどんどん消えてゆく食薬ごはん便利帖』(世界文化社)や新刊『だる抜けズボラ腎活(ワニブックス)』でも紹介しています。もっと詳しく知りたい方はぜひご覧ください。
※食薬とは…
『食薬』は、『漢方×腸活×栄養学×遺伝子』という古代と近代の予防医学が融合して出来た古くて新しい理論。経験則から成り立つ漢方医学は、現代の大きく変わる環境や学術レベルの向上など現代の経験も融合し進化し続ける必要があります。
近年急成長する予防医学の分野は漢方医学と非常に親和性が高く、漢方医学の発展に大きく寄与します。漢方医学の良いところは、効果的だけどエビデンスに欠ける部分の可能性も完全否定せずに受け継がれているところです。
ですが、古代とは違い現代ではさまざまな研究が進み明らかになっていることが増えています。『点』としてわかってきていることを『線』とするのが漢方医学だと考えることができます。そうすることで、より具体的な健康管理のためのアドバイスができるようになります。とくに日々選択肢が生じる食事としてアウトプットすることに特化したのが『食薬』です。
Information
<筆者情報>
大久保 愛 先生
漢方薬剤師、国際中医師。アイカ製薬株式会社代表取締役。秋田で薬草を採りながら育ち、漢方や薬膳に興味を持つ。薬剤師になり、北京中医薬大学で漢方・薬膳・美容を学び、日本人初の国際中医美容師を取得。漢方薬局、調剤薬局、エステなどの経営を経て、未病を治す専門家として活躍。年間2000人以上の漢方相談に応えてきた実績をもとにAIを活用したオンライン漢方・食薬相談システム『クラウドサロン®』の開発運営や『食薬アドバイザー』資格養成、食薬を手軽に楽しめる「あいかこまち®」シリーズの展開などを行う。著書『心がバテない食薬習慣(ディスカヴァー・トゥエンティワン)』は発売1か月で7万部突破のベストセラーに。『心と体が強くなる!食薬ごはん(宝島社)』、『食薬事典(KADOKAWA)』、「食薬ごはん便利帖(世界文化社)」、「組み合わせ食薬(WAVE出版)」、「食薬スープ(PHP)」など著書多数。
公式LINEアカウント@aika
『1週間に一つずつ心がバテない食薬習慣』(ディスカヴァー)。
『女性の「なんとなく不調」に効く食薬事典』(KADOKAWA)
体質改善したい人、PMS、更年期など女性特有の悩みを抱える人へ。漢方×栄養学×腸活を使った「食薬」を“五感”を刺激しつつ楽しく取り入れられる。自分の不調や基礎体温から自分の悩みを検索して、自分にあった今食べるべき食薬がわかる。55の不調解消メソッドを大公開。
©autumnn/Adobe Stock
文・大久保愛
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