2021年から今年5月に宝塚歌劇団を退団するまで、花組トップコンビとして活躍してきた柚香光さんと星風まどかさんは、じつはプライベートでも仲良し。そんなふたりのトークをお届けします。
柚香 光×星風まどか
写真左・柚香 光さん、右・星風まどかさん
――宝塚歌劇団在団中、2021年から3年にわたり花組トップスターとトップ娘役としてコンビを組み、プライベートでも仲の良いおふたりですが、最初に相性の良さを感じたのはどこでした?
柚香:まだ私が研8(入団8年目)の2016年の『タカラヅカスペシャル』(年末に各組のスターが集まっておこなわれるスペシャル公演)での「Hot Stuff」で、彼女と組んで踊ったシーンがあったんですが、そのときに「おや?」と思ったんです。
星風:実際に一緒に踊ったのはとても短かったんですよね。ただ、ふたりで手を繋いでハケるところがあって、千秋楽の日だけ柚香さんが新幹線並みの速さで…。
柚香:思い出した!私がフェイントをかけたんだった。
星風:いつも通りにこられると思っていたのが突然ギューンって手を引っ張られて。私はまだ研3で、ものすごく緊張していたんですけれど、そのとき「あー楽しい!」って思ったんですよね。
柚香:驚きつつもすごく楽しんでくれている感じがあって、そのときに面白がるポイントが似ているというか、同じ匂いがするなと。
星風:当時は組も違いましたから、ご一緒する機会がほとんどないので、終わってしまうのが寂しいなと思ったのを覚えています。
――そこから約5年。星風さんが花組に組替えしてすぐの全国ツアー公演でのダンスコンビネーションが素晴らしく、新しいトップコンビへの期待が高まりました。
柚香:その頃はただただ必死でやっていた感じだよね。
星風:柚香さんは当たり前だとおっしゃるかもしれませんが、お忙しいのに私の自主稽古に長時間お付き合いくださることが驚きでしたし、ありがたかったです。
柚香:このナンバーをこんなふうに作れたらっていう、お互いのビジョンに向かってひたすら練習してたよね。稽古の映像を何度も何度も確認し合いながら一緒に汗をかいて。でも、すごく笑ってた記憶がある。そういう時間をお互いが共有し合ううちに、徐々に親しくなっていった感じかなって。
星風:私はそのお人柄の素晴らしさに、ただただ尊敬の気持ちでいました。柚香さんのおかげでひとりでは絶対に見えなかった、味わえなかった感覚や景色を見せていただきましたし…。
柚香:ねえ、笑ってない?(笑)
星風:…ちょっと重いかなと思って。でも、そう思って頑張っていけば自分のスキルもついてくるのではと信じてもいたんです。
柚香:一緒にやってきたことでお互いの化学反応みたいなものはあったと思うんですが、星風自身が培ってきたものがそのタイミングで滲み出てきたのかなとも思います。それぞれがひたすらに己と闘ってきた日々だったから。
――舞台で、相手のここが素敵だなと思ったところはありますか?
柚香:ゼロ番(舞台の真ん中)に立って男役を引き連れる場面がすごく似合う娘役さんだなと思っていました。あと、思ったことを率直に私に伝えてくれるようになったのもありがたかったですね。
星風:ありがとうございます。
柚香:舞台を作り上げるって、精神的にも体力的にもすごく大変なことだから。そこで一緒に場面を作ったり自分が愛する相手を演じてくれる人が、自分を押し殺すことなく、ときには勇気を持ってわからないことやつまずいていることを共有してくれるって、とてもありがたいことで。それを共有できる相手役さんだったというのは、すごく恵まれていたなと。
星風:そんな…いつまでも頼ってしまって申し訳なかったです。でも、本当にいろいろ受け止めてくださる方だから。単純に人が乗ってくるって怖いじゃないですか。
柚香:リフトのこと!?
星風:そうです。大人ひとりが突進して上に乗ってくるって、怖いことだと思うんですけど、柚香さんがつねに「おいで」と受け止める姿勢でいてくださったことで本当に助けられました。
柚香:リフト好きなんですよ。乗るのも乗っかられるのも(笑)。
――退団されてからの関係性に変化はありますか?
柚香:足のネイルしてもらったよね?なんかシールの…。
星風:ネイルシールを貼ってジェルで固めるだけですが、私がハマっているので強制的に(笑)。
柚香:ネイリスト・かなめ(星風さんの愛称)です。でも関係性は…変わらないよね。
星風:変わらないですね。毎日会わないっていうことぐらいです。以前は同じ職場でしたから。
――柚香さんの退団後初のコンサート『TABLEAU(タブロー)』大阪公演に星風さんがゲスト出演します。トップコンビとしてではなく、おふたりがどんな形で共演されるのか楽しみです。
柚香:もみあげをつけて出てきてよ(笑)。
星風:(笑)。じゃあ私がリフトしましょうか?
柚香:(笑)。
ゆずか・れい1992年3月5日生まれ、東京都出身。2009年に宝塚歌劇団に入団し、花組に配属。洗練されたルックスとダンスの実力で早くから注目され、新人公演3作で主演を務めたほか、’17年の『はいからさんが通る』などに主演。’19年に花組トップスターに就任。今年5月に『アルカンシェル~パリに架かる虹~』東京公演で退団した。
ジャケット¥93,500(ウジョー/エム TEL:03・6721・0406)シースルートップス¥14,300(MIHOKO SAITO/1/2 Un‐Demi TEL:03・5768・6136)イヤーカフ¥15,730ネックレス¥130,900ブレスレット¥110,000(以上ジョージ ジェンセン/ジョージ ジェンセン ジャパン TEL:0120・637・146)その他はスタイリスト私物
柚香 光 1st Solo Concert『TABLEAU』
9月11日(水)~16日(月)梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ全席1万2000円9月21日(土)~24日(火)東京国際フォーラム ホールCS席1万2000円、A席8000円、B席5500円9月28日(土)・29日(日)御園座全席1万2000円構成・演出/小林香出演/柚香光、星風まどか(大阪公演ゲスト)、華優希(東京公演ゲスト)ほか梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ TEL:06・6377・3888(10:00~18:00)9月28日(土)17:00公演はライブ配信、29日(日)13:00公演はライブ配信(視聴券各4500円)とライブ・ビューイング(チケット料金5200円)あり
ほしかぜ・まどか1996年11月11日生まれ、東京都出身。2014年に宝塚歌劇団に入団。宙組に配属され、入団2年目には『王家に捧ぐ歌』新人公演で初ヒロインを務めるなど、早くから抜擢が続く。’17年に宙組トップ娘役に就任。’21年には花組に組替えし、今年5月に退団。10月上演のミュージカル『ニュージーズ』への出演が控える。
ベスト¥48,400(MIHOKO SAITO/1/2 Un‐Demi)ブラウス¥140,800(パロッシュ/サン・フレール TEL:03・3265・0251)イヤリング¥146,300リング¥71,500(共にウノアエレ/ウノアエレ ジャパン TEL:0120・009・488)
※『anan』2024年9月11日号より。写真・酒井貴生(aosora)スタイリスト・後藤仁子ヘア&メイク・CHIHIRO(TRON/柚香さん)高松由佳(星風さん)構成、取材、文・望月リサ
(by anan編集部)
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