9月14日(土) 10:00
舞台『球体の球体』が9月14日(土)~29日(日)、東京・シアタートラムにて上演される。2023年度岸田國士戯曲賞を受賞(『ハートランド』)した池田亮による新作の書き下ろし作品で、自身のアート作品がカプセルトイの「ガチャガチャ」として発売された経験から着想を得て、架空の独裁国家・央楼(おうろう)を舞台に、「親ガチャ」「子ガチャ」といった要素を織り込みながら、生まれたものが自ら選べない状況や、遺伝と自然淘汰についての寓話を描き、脚本・演出・美術を池田自身が手掛ける。
開幕を前に、池田をはじめ、出演する新原泰佑、小栗基裕(s**t kingz)、前原瑞樹、相島一之が取材に応じ、作品に込めた思いや公演への意気込みを語った。
かつて彫刻を専攻していた池田は「美術だけでも成立できる作品を目指した」といい、「そこにキャスト、スタッフの皆様が加わることによって、美術だったり、演劇だったりと変容していくような作品を作れれば」と独自の発想を語り、「鉄に見えたら、実は紙だったと気づいて衝撃を受けることがあるが、演劇にも近い面があると思う。開けてみないと分からない。まさにガチャガチャのように、ぜひ劇場で開けてもらい、何かを持ち帰ってもらえれば」とアピールした。
主人公の現代アーティスト・本島を演じた新原は、「当て書きのように作られているので、日々思う気持ちが、スッと台詞に乗っていける瞬間が多々ある。自分と本島が、一緒に歩いているような感覚で稽古をしていた」と役どころに親近感を示す。
同時に「本島は池田さんのこと」だとも語り、「皆さんが想像する100倍くらいの速度で、いろんなアイデアが出てくる。本物の天才アーティストとは、池田さんのような方だなと。それを一番近い場所で感じられるのは貴重な体験ですし、自分もそこに近づけたらいいなと思っています」と抱負を語った。
世界的ダンスパフォーマンスグループ「s**t kingz」のメンバーで、近年俳優としても活躍する小栗が演じるのは、主人公を央楼に招待する国家のリーダー・日野。「独裁国家のトップなので、正直イメージが湧かなかったが、演出をいただき、もっと分からなくなりました(笑)。でも、その分からなさが大きな魅力。“分からない”を全身で浴びながら演じたい」と気合いを込めた。
前原は、本島のキュレーターで、本島と央楼の架け橋となる岡上を演じる。「キュレーターなので、本来は芸術家を支える立場だが、岡上は振り回したり、振り回されたりする」と役どころを説明し、「池田さんの演出を理解しようとすると、『それはいいです』って言われたり(笑)。毎回頑張りながら、でも、完成はしないんだろうなと思うので、一生懸命走り抜けたい」と真摯に語った。
ベテラン俳優の相島は、央楼の大統領にして35年後の本島、そして主要キャラクター3人には“見えていない”という特殊なキャラクターに挑んでいる。池田演出の『ハートランド』にも出演しており「難解なんだけど、その向こう側に、きれいなものだったり、純粋なものが散りばめられている」と分析。「池田さんは彫刻を作るように、演劇を作りたいんですって言うんですよ。彫刻と演劇は別だろって(笑)。でも、みんなで試行錯誤していると、これが彫刻のように演劇を作るってことなのかなと思えてくる」と話していた。
取材・文・撮影:内田涼
<公演情報>
『球体の球体』
脚本・演出・美術:池田亮
出演:新原泰佑小栗基裕(s**t kingz) 前原瑞樹/相島一之
2024年9月14日(土)~29日(日)
会場:東京・シアタートラム
チケット情報:
https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventBundleCd=b2452813