パリ・パラリンピックが閉幕しました。テレビ中継こそわずかでしたが、IPC(国際パラリンピック委員会)が配信するSNS動画で、見たい種目は、ほぼ見られたため、楽しい寝不足の日々が続きました。パラ競泳の木村敬一選手のダブル金メダル、車いすラグビーの悲願の金メダル、車いすテニス日本チームの大活躍も、睡眠不足なんて、どうでもよくなるくらい、素晴らしい試合の数々でした。
そして、パリの観客の熱狂ぶりは、観(み)ていて、とてもうらやましかったです。本来であれば、東京で同じ景色があったのかもと思うと、大きな機会の損失に、改めて残念な気持ちにもなりました。
約8年、パラスポーツの取材をしています。パラスポーツに特化したラジオ番組を立ち上げ、パラアスリートの半生を体験できる「すごろく」をプロデュースし、パラアスリートの魅力がもっと伝わるためには、どうしたらいいかを考える中で、生で試合を観てもらいたいというのは、どのアスリートからも聞く言葉ですし、私もやはりそう思います。そして、これは私の持論なのですが「初めて観るのであれば、最高峰の試合を観る」ということです。
以前、落語家の立川談春さんが「映画を観て、つまらなくても『この作品がつまらなかったね』となるけど、落語を観て、つまらないと『落語ってつまらないね』となる。だからこそ、誰の落語を観に行くかが大切だ」とおっしゃっていたのですが、まさにこれが、パラスポーツにも言えるなと思うのです。この意味において、パラリンピックという最高の舞台の試合を(できれば生で)初めて観る人に届けるということは、大きな意味があると言えると思います。
大会期間中に、車いすテニス小田凱人(ときと)選手が「明日試合はあるけど放送はないらしいです。(中略)これが現実。とりあえず試合で魅せます」とSNSで発信しました。これは彼自身の強く思ったことである一方で、多くの選手の代弁であったとも感じます。
次は4年後、ロサンゼルスです。この4年で、共生社会、ダイバーシティー(多様性)がどこまで実現するのか、見守るとともに、自分自身が発信できることの可能性も探っていきたいと思っています。
【KyodoWeekly(株式会社共同通信社発行)No. 40 からの転載】
平井理央(ひらい・りお)/1982年東京生まれ。2005年、慶應義塾大学法学部卒業後、フジテレビ入社。スポーツニュース番組「すぽると!」のキャスターを務め、オリンピックをはじめ国際大会の現地中継などに携わる。13年フリーに転身。ニュースキャスター、スポーツジャーナリスト、女優、ラジオパーソナリティー、司会者、エッセイスト、フォトグラファーとして活動中。
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