10月5日(土) 14:00
ゴルフのトーナメント会場は“ネタの宝庫”。ただ、そのすべてを伝えることはなかなか困難なこと…。そこで現場記者がコースを歩くなか“見た”、“聞いた”もののなかからちょっと気になった1つのテーマ、すなわち“ヒトネタ”をご紹介!今回は「日本プロゴルフシニア選手権 TSUBURAYA FIELDS CUP」が行われているイーグルポイントゴルフクラブ(茨城県)から。
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昨年の賞金ランキング上位30位のシード選手と、最終予選会の上位80位の選手が争うシニアプロ日本一決定戦。そこには今季日本ツアー自身初戦となった台湾の葉偉志(よう・いし)が出場していた。今年は台湾シニアツアーで1勝を挙げている。
葉は2002年の日本のQTで5位に入り、03年からレギュラーツアーに出場。そして同年の「ANAオープン」でジャンボこと尾崎将司らに競り勝ち、ツアー初優勝を果たした。さらに06年の「セガサミーカップ」で2勝目を挙げている。17年には日本のシニアツアー出場を目指して、日本プロゴルフ協会(PGA)のプロテストを受験し合格。50歳になるまで待ち、昨年シニアデビューした。しかし、賞金ランキング64位でシード権が与えられる上位30位に入ることができず、最終予選会は55位で今年は出場できる試合が限られている。
今大会の2日目は旗が強く揺れるほどの風が吹いていたが、母国の台湾では強風が吹いていることが多く、状況には慣れている。しかし「台湾とグリーンが少し違うね。日本は重い感じ」とグリーンに苦戦し、2日間トータル12オーバー・111位で決勝ラウンドに進めなかった。
そんな葉のティショットを見に行ったとき、思わず二度見をしてしまう光景があった。それは、ドライバーと同じ高さのティアップで3番アイアンを握り、強い弾道で打って行く姿だった。「ティアップすると、少しアッパーに打つようになる。風が吹いているとき、ボールが強くなるよ」とアッパーに打つことでスピン量を抑えることができるため、ダウンブローやレベルに打つよりも風に負けないボールになりやすい。
後半の10番パー4は右ドッグレッグで、2打目地点にはクリークが横断している。クリークまで届かないようにウッドやミニドライバーで刻む選手がいる中、キャリーで220ヤード飛ぶ3番アイアンで葉は攻めていき、フェアウェイをしっかりとらえてパーをセーブした。パー4、パー5はアイアン攻めを選択。ティショットが良かっただけに、パッティングが悔やまれたようだ。
それにしても、ティの高さは60ミリほどあり、少しでもヘッドの入りが低くなるとフェースの上部分や、ティを打ってしまう可能性も十分ある。葉は自身のスイング調整としても日頃から練習に取り入れているという。
「肩の回転が上手くできない方は、この打ち方を練習やコースでもやったほうがいいよ」。スイングの動きで、クラブを下ろすとき(ダウンスイング)に右肩が前に出てしまい上半身が起き上がってしまうケースや、逆に右肩が下に下がり過ぎて右に残り、インパクトで手元が浮いてしまうパターンなど、ダフリやトップの原因となる動きを無くしたいゴルファーにオススメの打ち方のようだ。
理想はアドレス、インパクト時の肩の高さや位置がなるべく同じになること。そこを軸に回転するための練習ドリルに適している。練習場でできても、ラウンドでできない…。そんな悩みを持っているゴルファーは、葉のようにラウンド時でもティを高くしてアイアンやウッドを打つことを試してみてはいかがだろうか。コースでは力みや、ボールの結果が気になるなど、メンタル的に平常心が保てないこともある。練習場と同じことをすれば、スイングに集中できるキッカケになるかもしれない。