『劇映画 孤独のグルメ』が釜山国際映画祭に正式出品され、監督・脚本・主演を務めた松重豊がオープニングセレモニーに登場。ワールドプレミアの舞台あいさつには、ユ・ジェミョンがサプライズで駆け付け、同時に本作への出演が発表された。さらに、本作の登場人物が総出演する90秒の最新予告映像も解禁された。
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原作:久住昌之、作画:谷口ジローによるハードボイルド・グルメ漫画『孤独のグルメ』。輸入雑貨商を営む主人公・井之頭五郎(松重)が、営業先で訪れた土地で見つけた食事処にふらりと立ち寄り、食べたいものを独り自由に食す様子を1話完結で淡々と描く。このシリーズ累計150万部を超えるベストセラーを原作に、松重豊主演で2012年1月にスタートした連続ドラマが、ついに映画化された。
そしてこのたび、本作が第29回釜山国際映画祭オープンシネマ部門に正式出品され、監督・脚本・主演を務めた松重豊がオープニングセレモニーなどさまざまな映画祭公式行事に登場。現地時間10月3日20時からワールドプレミアが実施され、舞台あいさつに『梨泰院クラス』で最凶の敵役を演じたユ・ジェミョンがサプライズで駆け付け、同時に本作への出演が発表された。
本作が出品された釜山国際映画祭「オープンシネマ部門」は、この映画祭を代表する部門の1つ。人気、芸術性に富んだ新作や国際的に評価された作品が選出され、収容人数約5000人を誇る「釜山シネマセンター」の野外スクリーンにて上映される。過去上映作品としては、第95回米アカデミー賞最多7部門を受賞した『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』、邦画では『キングダム2 遥かなる大地へ』や『シン・ゴジラ』など、数々の話題作が上映されてきた。
記念すべきオープニングセレモニーの会場は、映画祭のメイン会場である「釜山シネマセンター」(通称:映画の殿堂)。オープニングセレモニーの登場前に松重は、「海を越え、アジア最大と言われている釜山国際映画祭で、自分が撮って出演した作品が出品されたことは非常に名誉なことだと思っています。そして、(自身の出身が福岡のため)身近に感じていた釜山でこの作品のお披露目をできるのは、ある意味“運命の巡り合わせ”だとも感じます。映画祭を楽しみたいです!」と語った。
世界中から集まった監督・俳優などの映画人らが、次々とレッドカーペットに現れ、会場のボルテージが上がるなか、満を持して松重が、『孤独のグルメ』らしく“もぐもぐ”しながらレッドカーペットに登場。その“もぐもぐ”姿に黄色い悲鳴が上がり、「ゴロウサーン!」「マツシゲサーン!」など現地のファンから熱い歓声が。他の登壇者が作品名と名前のみで紹介されるなか、松重は「監督兼俳優である“五郎さん”松重豊の入場です!」と役名も含めて紹介され、韓国における“五郎さん”というキャラの浸透ぶりを印象づけた。
松重はレッドカーペットを堂々と歩き、多くのメディアのシャッターや、現地ファンの歓声に手を挙げて応え、自身のカメラで会場の様子を写真に収め、監督として初めて参加した映画祭のオープニングセレモニーを楽しんだ。イベントから戻った松重に、レッドカーペットを歩いた感想を求めると「こんなお祭りに参加できて嬉しい!!」と興奮冷めやらぬ様子。アツい映画祭が開幕した。
3日16時から実施されたのは、映画祭公式イベントの1つである「オープントーク」。このイベントでは、映画祭名物の野外ステージに監督や俳優が登壇し、現地で有名なコメンテーターをMCに迎えてトークショーを行う。松重が「アニョンハセヨ!松重豊イムニダ!」と韓国語であいさつすると、会場に集まった観客から温かい拍手で迎えられた。
“五郎さん”(松重)への熱い声援が送られるなか、松重は約50分間にわたり作品について、監督・主演という2つの目線でトークを繰り広げた。MCから本作を監督するにあたっての想いを問われると、「料理を美味しく食べることだけで、アジアからこんなにも愛されるドラマになったことは奇跡だと思います。だから、アジアの懸け橋になるようなストーリーにしたいと思い、作りました。そして何より、これだけ長くやってこれたのはファンの皆さんのおかげなので、ファンに納得してもらう作品を届けないといけないと思っていました」と語った。
「レッドカーペットを歩いている時に、何かを食べていたと思いますが?」と、前日のレッドカーペットイベントについて聞かれると、「ネタバレになってしまうから言えないけれど、実は、映画の中で重要なモチーフになっている物を食べていました。本編を観て、これを食べてたのか!と思ってもらえたら嬉しいです」と少しストーリーのヒントを交えながら回答。また、「レッドカーペットに降り立ったとき、作品ならではの“孤独カット”を演出してみました。お気づき頂けましたか?」と監督・松重による演出の種明かしをすると、会場は笑いに包まれた。
オープンシネマ部門として上映される今回が、本作のワールドプレミアとなった。上映前舞台あいさつには、監督・脚本・主演を務めた松重がステージに登場。世界で一番最初に本作を鑑賞するお客様を前に、「こうして皆さんの前でお披露目することができるのが本っ当に嬉しいです!皆さんの反応をこれからの励みにしたいと思います!」と喜びの気持ちを語った。
そしてここで、サプライズ発表が。MCの呼び込みによって登壇したのは、日本でも話題となった大人気ドラマ『梨泰院クラス』にて、主人公の因縁の相手であり、飲食業界のトップに君臨する大企業「長家(チャンガ)」の会長・チャン・デヒを熱演したユ・ジェミョン。なんと1年ぶりの再会に、がっちりと握手を交わす2人。日韓名優の共演に、会場は驚きと共に大きな歓声に包まれた。
ユ・ジェミョンが本作で演じるのは、韓国領に迷い込んだ五郎(松重)の入国手続きを行う韓国入国審査官。五郎のスープ探しの旅に、いったいどのように関わり、五郎を振り回すのか?
松重は「この作品を愛してくれる方が韓国にたくさんいることを知り、劇映画にする上で韓国を大きな舞台として考えたいと思いました。シナリオを考える上で、言葉の壁を越え、友情が芽生える作品にしたいと思った時に、この人しかいないと恋焦がれて出演していただきました」と、ユ・ジェミョンの出演を熱望していたことを明かした。
それに対しユ・ジェミョンは、「『孤独のグルメ』は独特で、愉快で、素敵な作品だと思って楽しく見ていました。だから本作のオファーをもらったことに非常に驚いたけれど、感謝の気持ちで受けることにしました」と話し、「撮影中も松重さんは親切に説明してくれて、幸せな思い出になりました」と振り返った。松重から「ユ・ジェミョンさんにご飯をご馳走してもらいました!」とお礼を伝える場面では、2人の現場での雰囲気の良さが垣間見え、会場からも歓声が上がった。
最後のあいさつでユ・ジェミョンは、「今日は釜山に着いてすぐミルミョンを食べ、明日の朝はデジクッパを食べる予定です。釜山はまさに美食家の街だと思います。皆さんの幸せな笑顔を見ることが出来て嬉しいです」と、釜山グルメに絡めた感想をお茶目に述べた。
松重からは「食べ物を通して、人と人との心の触れ合いや愛情を感じてもらえる作品にしたつもりです。でも、気持ちが温かくなったけれど、『孤独のグルメ』らしくお腹がすいた!という作品にしたいとも思っています。きっと見終わった後はお腹がすくと思うので覚悟してください!」と作品に込めた想いと、松重節を効かせたユーモラスな言葉で締めくくった。
ほぼ満席の会場で実施されたワールドプレミア上映。たびたび笑いが起き、時においしそうな料理へのリアルなため息が漏れるなど、会場は大盛り上がり。松重は、会場を埋め尽くすファンと共にワールドプレミア上映を鑑賞。監督として、観客の反応を肌で感じた様子だった。
上映が終了すると、松重に向けて観客から大きな拍手と歓声が巻き起こり、それに対し松重も大きな声で「カムサハムニダ!」と感謝の言葉を叫び、笑顔で会場を後にした。降壇後、「韓国の皆さんに見てもらえてよかった!カムサハムニダ!」と語り、監督として初めて映画祭に参加した松重にとっても忘れられないワールドプレミアになったようでした。
松重は、2020年にオープンした韓国南部・海雲台(ヘウンデ)のLCTランドマークタワー内にある人気展望台「釜山 X the sky(プサン・エックス・ザ・スカイ)」を訪問。釜山で1番目に高いこの展望台は、標高441.6メートル、100階建てのフロアから釜山の海や山、市街地を一望できる人気スポットだ。展望台から望む絶景を眺めたり、床が強度ガラスで作られた「ショッキング・ブリッジ」の上から、地上を見下ろしたりと、釜山の新名所を楽しんだ。また、韓国を代表するビーチ「海雲台(ヘウンデ)ビーチ」も訪れ、つかの間のリラックスタイムを堪能した。
そして、『孤独のグルメ』と言えば、欠かすことができないのは、やはり“美味しい料理”。海雲台ビーチの近くにある市場「海雲台(ヘウンデ)伝統市場」にも足を運んだ。この市場は、1910年代に発祥したとされる歴史の古い市場。「まずは胃袋の意見を尊重したい」という井之頭五郎のように、食べてみたい料理を探し求め、新鮮な食材や出来立ての惣菜の並ぶ屋台や、韓国伝統料理を味わえるお店が立ち並ぶ市場内を散策。最終的には“ムルトック”(餅をおでんの出汁で煮た釜山名物料理)や、市場でも人気のハチミツをかけたアイスなど、釜山グルメを存分に満喫した。
さらに、内田有紀、磯村勇斗、塩見三省、村田雄浩、杏、オダギリジョー、ユ・ジェミョンも登場する90秒の最新予告映像も解禁された。松重演じる井之頭五郎が、千秋(杏)と一郎(塩見)から“スープ探し”の依頼を受け、フランス・韓国・日本と世界中を駆け巡る様子が映し出される。そして今回、長崎・五島列島も舞台になることも明かされたが、何やら雲行きは怪しい。「おかしいな…。これはちょっとマズイな…」というセリフから、五郎に最大の危機が訪れていることが伺える。果たしてどんな危険が降りかかるのか?ただの“スープ探し”ではなかったのか?しかし、それでも五郎は変わらず、おいしそうに料理を食べる。
『劇映画 孤独のグルメ』は、2025年1月10日公開。
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