10月4日(金) 10:30
<アジア太平洋アマチュアゴルフ選手権初日◇3日◇太平洋クラブ御殿場コース(静岡県)◇7217ヤード・パー70>
アジア太平洋地域NO.1アマチュアを決める一戦で、初出場の19歳・本大志(もと・たいし)が7バーディ・1ボギー・1ダブルボギーの「66」で回り、日本勢最上位となる2位タイ発進で存在感を見せつけた。
午前中は霊峰もくっきりと見えるほど、青空が広がった御殿場Cだったが、次第に雨雲に覆われ、雨脚が強まる時間帯もあった。その中で午後はボギーを打つことなく5つのバーディを奪う快進撃をみせた。
「いままで優勝してきた試合は、結構雨が降っていることが多くて、なので意外と落ち着いていました。『手袋も変えよう』とかそっちにフォーカスするから、逆にうまくいったんじゃないかと思います」
前半は16番のダブルボギーもあり2オーバー。2打目を出すだけのところを木に当てるミスで痛恨のダボとした。「最近は出すだけのショットを失敗したりと、ラウンドで1回くらいダボが出てしまう。改善していこうとしている中でまた同じミスをしたので悔しいです。でも、そういうことが何回もあるから、逆に切り替えるのは上手くなったと思います」。悪い流れを断ち切れたことで、後半の巻き返しにつながった。
本はJGAナショナルチームでプレーするなど実績は折り紙付き。2022年には03年の池田勇太以来となる「IMGA世界ジュニア選手権」男子15歳-18歳の部で勝利も挙げている。今年の春に目黒日大高を卒業し、来年1月にはアリゾナ大学へ進学するため、今は留学への準備期間。「英語の塾に通っていますが、大変ですね」と忙しい文武両道の日々を送っている。
ゴルフはジャンボこと尾崎将司を師と仰ぎ、足しげく“ジャンボ邸”へ通い腕を磨いている。そこでジャンボからうれしい助言もあった。スイングの技術的な部分で、「(クラブを)上げてから、下半身が先に始動すれば何も言うことはない」。さらに尾崎健夫、直道が集まった場で、ジャンボから「『こいつはなかなかいいぞ』と言ってもらえた」。レジェンドからのお褒めの言葉ほどうれしいものはない。さらにそれが自信へとつながった。
アリゾナ大学への進学はもちろん世界へ足を踏み出す一歩としているから。将来はもちろん米国男子ツアーを目標としており「そこしかない」と断言するほど思いは強い。
大会優勝者には来年の「マスターズ」、「全英オープン」の出場権が与えられ、2010、11年と連覇を成し遂げた松山英樹、18年の金谷拓実、そして21年の中島啓太がここから海外メジャーへの出場を叶えていった。世界での活躍を夢見る本にとって、この上ないチャンスでもある。「マスターズはほんとうに夢のものだと思っていますが、チャンスがあるなら無駄にはできない。やれることはしっかりやりたい」。
最後に、「今は体のケアをして、しっかり食べて、ゆっくり寝たいです。ホテルではお寿司が出ると思うのでめっちゃ食べようかな」。高校を卒業したばかりとは思えない堂々とした受け答えで“キャッチボール”を行っていたが、最後は19歳らしい笑顔を見せて会場を後にした。(文・齊藤啓介)