10月2日(水) 7:00
「男性社員1カ月以上の育児休業完全取得」を推進している積水ハウスが、「男性育休白書2024」を発表した。男性の育休取得率と取得日数は過去最高になったが、「とるだけ育休」疑惑もあるようだ。詳しく見ていこう。
【今週の住活トピック】
「男性育休白書2024」発表/積水ハウス
積水ハウスでは、2019 年から継続して、男性の育休にまつわる実態把握調査を行っている。6回目となる今回は、子育て中の男女(男性は自身の育休について、女性は男性の育休について回答)9400人に調査を行った。
その結果、男性の育休取得率は27.3%、育休取得日数は平均29.9日となり、どちらも過去最高を更新した。育休を取る男性の増加や取得日数の長期化がうかがえる結果だ。
なかでも、2人以上の子どもがいる男性で「2人目以降で初めて育休を取得した」割合は36.8%と高くなっている。1人目のときよりも職場の男性育休への理解が進んだと考えられる。さらに、1人目も2人目も育休を取った男性では、2人目以降の育休取得日数の平均が129.9日とかなり長くなっている。1人目の育休の経験から必要性を実感し、より長く取得したいという意向が働いたようだ。
男性の育休取得は家族の絆を強くする!男性が育休を取って家事・育児に参加することは、家族にとってさまざまなメリットがある。
「男性の育休取得が普及するとどんな効果があると思うか」という問いに、「子どもとの絆が深まる」(83.5%)、「父親の子どもへの関心が高まる」(82.1%)、「家庭内の負担が夫婦とも軽減される」(73.9%)、「特に女性の家事・育児の負担が軽減される」(73.8%)、「夫婦関係・パートナーとの関係が良好になる」(73.2%)などと、良いことづくめだ。
特に、「夫が育休を取得し職場に復帰した後、妻に夫婦間で家事・育児のチーム意識が強くなったか」と聞いたところ、24.3%が「チーム意識が強くなった」と回答した。ただし、男性の育休取得日数が「1週間未満」では13.3%でしかない。取得日数がある程度長くないと、“ワンチーム”の意識にはなりにくいということだ。
家族にとっては良いことだらけの男性の育休だが、その間仕事を休むことになるので、気になるのは職場に復帰した後のことだろう。
「育休取得後に会社に復帰した男性に職場での変化」について、育休取得日数別に聞くと「職場の子どもがいる人へより一層配慮するようになった」(1週間未満27.9%、1カ月未満20.3%、6カ月未満35.0%)や「職場でお互い様という気持ちや行動が増した」(1週間未満22.5%、1カ月未満18.9%、6カ月未満25.7%)などの回答が多かった。
一方、取得日数1週間未満では低いものの1週間超になると高くなる変化としては、「チームの業務の棚卸や分担の見直しをした」(1週間未満10.5%、1カ月未満21.6%、6カ月未満16.8%)、「自部署において効率的な働き方ができるようになった」(1週間未満10.1%、1カ月未満17.8%、6カ月未満18.1%)など、効率的な働き方になるといった効果も生じていることが分かる。
さて、夫が育休を取得した女性の意識はどう変わっただろう? 家族の関係がよくなったといった回答のほかに、「仕事への意欲が増加した」、「自身のキャリアアップを前向きに考えるようになった」といった回答もあり、妻のキャリアアップにも良い影響をもたらしたことがうかがえる結果だった。
男性の育休は「とるだけ育休」か?男性の育休取得には、さまざまメリットがあるようだが、注意したい点がある。それは、男性が育休を取得しても家事・育児に参加しない「とるだけ育休」だ。
男性・女性それぞれに、男性が取得した育休が「とるだけ育休」かどうかを聞いたところ、男性は34.8%、女性は42.0%が「とるだけ育休」だと思うと回答した。筆者が思ったより多い印象だ。特に、男性の育休取得日数が「1週間以内」で高くなっているが、「1カ月以上」でも女性は男性の育休を「とるだけ育休」だと4割近くが感じている。
この違いは、「育休期間中の満足度」に影響を与えるのだろうか? 実は、男性のほうは、「とるだけ育休」と思う、思わないにかかわらず、満足度はあまり違わない。ところが、女性のほうは「とるだけ育休」と思う、思わないで満足度が大きく変わっている。
積水ハウスでは、「男性の家事・育児力」の指標として (1)女性(妻)の評価(2)男性(夫)の育休取得経験 (3)男性(夫)の家事・育児時間 (4)男性(夫)の家事・育児参加による幸福感の4つの指標を設け、都道府県ランキングを作成している。
その結果、1位は沖縄県、同率2位に秋田県と鹿児島県という結果になった。沖縄県は妻から見た夫の家事・育児の実践数や関与度が高く、男性の育休取得日数も多いことなどが要因のようだ。
筆者は、積水ハウスの「男性育休白書2024」発表会にオンラインで参加した。その際に、同社は男性の育休取得を推進しているが、発表者のダイバーシティ推進部長 山田実和さんが、次のように説明していた。男性の育休取得の阻害要因に、その間の収入が減ること、職場の仕事の調整が必要になることなどがあるが、会社がケアすることでカバーできる。合わせて、マネジメント層の男性の育休取得に関する意識改革も必要になる。
また同社では、「とるだけ育休」にならないように「家族ミーティングシート」を用意して、実際に使ってもらうことで、育休の質の向上をはかっている。今回のリリースにも、シートのPDFが紹介されているので、使ってみてはいかがだろう。
●関連サイト
「男性育休白書 2024」 発表!
「男性育休白書2024」
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