ママたちの親世代、ママたちの世代、そして今を生きる子どもの世代と、それぞれの世代にはさまざまな価値観があるもの。今回寄せられたテーマは、“結婚・出産・子育て”についてわが子が語った価値観についてでした。
『高校生になる娘が、将来、結婚もする気はないし、子どももほしいと思わないのだそう。娘の友だちも共感しているみたい。このままいくと、どんどん人口が減っていきそうだね』
どこかから「最近の子は……」なんて聞こえてきそうですが、実際はさらに前の世代からはじまっているようなこのテーマ。しかし数年前と比べると世間では比較的、みんなが結婚しないことや出産・子育てをしないことを緩やかに受け入れようとしているようにも感じませんか?このテーマで、ママたちはどのような思いを語るのでしょう。
これもひとつの多様性と受け入れるママたち
『そうなのかもね~。うちの娘にも「自分の人生なのだから好きにしな!」って言っておいたよ』
『自分もずっとそう思っていたから、もし子どもたちが同じことを言ってきても好きにすればいいと思う』
投稿者さんの投げかけたテーマに、200件を超えるコメントが寄せられました。さまざまな声があるなか、圧倒的に“受け入れる”姿勢のママが多いように見受けられました。年代や環境によっては、結婚することが当たり前、子どもを生んで育てて一人前などと言われてきたママもいるなか、このように受け入れる姿勢が珍しくなくなった背景にはどのようなことがあるのでしょう。
ママたちがわが子の結婚・出産にこだわらないワケ
ママたちの声から、なぜ受け入れるようになったのかを見てみましょう。
災害や異常気象による生活の不自由さ
『災害も多いし夏は暑いし……。変な世の中になっていて子育てとかしにくいからね』
2024年、今年の夏は尋常ではありませんでしたよね。「異常気象」という言葉がここまでしっくり来る夏はあっただろうかと思わず筆者は振り返ってしまいました。そして度重なる台風や地震などの被害の数々。このような自分たちではどうにもならない環境の変化によって、誰かと生活をともにすることや、妊娠・出産・子育ての難しさをママたちは懸念しているようです。自分たちだけの生活ですらいきなり脅かされてしまうのですから、誰かの人生を背負うには相当な覚悟や勇気、チカラが求められそうですよね。
金銭面の不安
『うちの大学1年になる長男も「結婚しないよ、お金大変そうだし」って話していた』
結婚するにしても子育てをするにしてもお金が必要ですよね。とくに子育てともなると、必要になるお金は桁違いにもなります。多くを望まなくても多額のお金が必要になると、子どもを諦める選択しかできないケースも出てきそうです。
女性の結婚・子育てのリスクが大きすぎる
『共働きで女性が働くのは当たり前、でも家事育児も女性。こんな現状をみせつけられたら女の子たちは、子どもも結婚もいらないって思うよ』
共働きが当たり前になっても、家事や子育ての配分が女性に偏りがちなことは認めざるを得ないのかもしれません。どんどん意識が変化していき、役割分担や手伝うレベルではなく、男性も家事や子育てに貢献できる人が増えたとは言え、やはりまだまだ厳しい面もあるでしょう。しかも一度子育てで仕事から離れると、それまでに積み上げてきた実績がリセットされるかもしれないことや、仕事より子育てを優先しないといけないジレンマなど、問題が山積みすぎるのでしょう。そうなると親としてはかわいいわが子にムリをさせたくないと思うのかもしれません。
子どもの主張を認めつつも内心は寂しいママもいる
『うちの大学生の息子は、高校からお付き合いしている彼女に「結婚はしたいけど、子どもはいらない」って言われたらしい。うちはひとりっ子だから、このまま彼女と結婚したら私は孫が見られないので、正直寂しい』
子どもが希望するならその思いを尊重したいと思いつつも、やはりママ側にも思うことはあるようです。受け入れられると言っても、すべてを受け入れるというわけにはなかなかいかないもの。ママの声にあるように、どこかで孫を期待している自分もいるのだと自覚すると、なんとも言えない寂しさを感じてしまうようです。でもそのように思うことは決して悪いことではないと筆者は思います。孫がほしいあまりにわが子にいろいろなことを強要してはいけませんが、寂しいと思う感情も大切にしたいものです。
人の気持ちは変わる?
『まだ高校生だから』
ぽんと投げられたこの言葉。これもまたひとつの正解ではないでしょうか。ママたちの声のなかには、子どもたちの思いに共感したり、自分も若い頃同じように思っていたと語ったりするものが多くありました。しかし、それでも自分は結婚して子育てもしているというのです。つまり、人の気持ちは変わるものだと。
投稿者さんのお子さんはまだ高校生ですから、今後成長して社会に出ていくなかで、気持ちや考えが変わることもあるでしょう。これからどのような人生が待っているのか、どのような出会いがあるのかはわかりませんしね。人生なんて先が読めないからおもしろいのですし、それはそれでいいのではないでしょうか。ですから、「結婚しない」「子どもはいらない」というわが子の発言に対し、親が悲観的になる必要も覚悟を決めて受け入れようと頑張る必要もないのでしょう。今は「ふーん、そっか」と受け止めておけばよさそうです。少子化は深刻な問題ではありますが、まずは個人を尊重していける世の中であるといいですね。
文・櫻宮ヨウ編集・荻野実紀子イラスト・春野さくら
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