10月3日より放送開始となるテレビアニメ『アオのハコ』。本作は、中高一貫のスポーツ強豪校・栄明高校に入学する、男子バドミントン部の一年生・猪股大喜が毎朝、朝練で顔を合わせる一つ上の先輩、鹿野千夏に恋をする青春部活ラブストーリー。原作は週刊少年ジャンプ(集英社)で連載されている。クランクイン!では、本作のヒロイン・鹿野千夏を演じる上田麗奈と、もう一人のヒロイン・蝶野雛を演じる鬼頭明里による対談インタビューを実施。作品の魅力を自身の“青春”にまつわるエピソードとともに語ってもらった。
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■スポーツと恋愛が絡み合う、青春のドラマチックな展開
――原作を読まれた際に感じた本作の魅力は?
上田:スポーツと恋愛がどちらも丁寧に描かれていて、大喜や千夏たちがスポーツに真剣に取り組む姿が、自然にお互いを惹きつけ、心が通じ合っていく様子に感動しました。
また、登場人物みんなが相手の気持ちをよく考えて行動しているからこそ、時には迷いや躊躇があって、言葉選びに気を遣うシーンも多くて。そんな彼らの姿を見ていると、もどかしい気持ちになることもありますが、だからこそ一層応援したくなる、読み応えのあるストーリーだと思いました。
鬼頭:読む前はジャンプ作品としてのイメージが強かったのですが、実際にページを開いてみると、すごく繊細で少女漫画のような絵柄や雰囲気に驚きました。それでいて、恋愛だけではなくスポーツ描写もリアルで、ジャンプの力強さもしっかり感じられる。どちらにも偏らない、新しいジャンルだなと感じました。
とくに心理描写がとても巧みで、自分でも言葉にできない感情や、まだ答えが見つかっていない気持ちをそのまま表現しているのが、本当に素晴らしいなと思いました。
――それぞれのキャラクターについての紹介と、演じる際に大切にされていることを教えてください。
上田:千夏は人柄もスター性も兼ね備えた人気者なのですが、本人はそれに無頓着で、あざとさが一切なく、とにかくバスケに一途なんです。収録を重ねる中で、彼女の強さや子どもっぽい一面など、さまざまなギャップが見えてきて、ますます魅力的に感じています。加えて、年相応のピュアさや、一方でミステリアスさをあわせ持つ子なので、そのバランスを意識しながら演じています。
鬼頭:雛は大喜と仲が良く、距離感が近いので彼にちょっかいを出したり、いじったりしますが、ただウザいキャラクターに見えないよう、可愛らしさを意識しています。明るくてお調子者な一面がありながらも、新体操など自分が取り組むことには真剣で、そのストイックさも彼女の魅力だと思うので、そうしたギャップも大切に演じています。
――主人公の大喜の印象、魅力に感じる部分は?
上田:何事にもまっすぐで、一生懸命なところがかっこいいです。部活も恋愛も友情も、すべてに誠実で、ズルや逃げをせずに正面から向き合う姿勢は見ていて気持ちがいいですし、自然と応援したくなりますね。
鬼頭:あとは相手の気持ちや些細な変化にすぐ気づけるところとか。何も言わなくても察してくれる、その優しさが本当に魅力的だなと思います。
上田:たしかに。原作でも、セリフはなくても目の動きや表情で気持ちを察しているシーンが多いよね。
鬼頭:しかも誰に対しても同じように優しいし、特別扱いをするわけでも誰かを優先することもなく、すべての人に対して真摯に向き合っている。そんな彼の誠実さに、すごく惹かれます。
■青春の思い出とキャラに重なる感情
――“青春が詰まった体育館”が舞台の本作ですが、お二人にとって、学校生活でとくに思い出に残っている場所や、エピソードがあれば教えてください。
上田:私の学校は屋上には入れなかったんですけど、屋上に続く階段の踊り場が誰の目にも入らない死角になっていて、そこで友達の恋バナを聞いたりしていました。「手紙書いてみたんだけど……」みたいな(笑)。
鬼頭:それは青春だね!私は高校に入って購買を初めて見た時「うわ、漫画みたいだ!」ってテンションが上がりました(笑)。昼休みになるとみんなが集まって、欲しいパンがあると一斉に走っていくのがすごく新鮮で、私も唐揚げパンを食べたくてよく走っていました。
上田:かわいい〜(笑)。
――踊り場でのお喋りも購買での買い物も、学校生活ならではですね。また、原作ファンの間でも「千夏派」「雛派」と推しが分かれる本作ですが、お二人がより感情移入したキャラクターはどちらですか?
鬼頭:私はやっぱり雛です。恋愛に関しては自分自身も追いかけたいと思うタイプで、しかも諦めも悪いので、彼女の気持ちにすごく共感できて。
ダメかもしれないとわかっていても、雛は新体操でも自分の努力で何とかしてきた経験があるから、困難な状況でも頑張れるんだろうなって思うんです。ただ、恋愛は新体操とは違って、自分の努力だけではどうにもならない部分があって。相手の気持ちや状況も関わってくるので、そこが切なくて、雛の苦しさがすごくわかるなと感じながら読んでいました。
上田:私も推しが雛なんです。大喜と話す時は男友達のように気さくで、その姿だけでも十分可愛いんですが、心に秘めた想いがあっても、それを決して押し付けない。三角関係になったとしても、無理に動いたり、意地悪をすることもなく、正々堂々と向き合って。その強さに憧れますし、「頑張れ」と応援する気持ちと同時に、本当にかっこいいなと思います。
でも、アフレコで千夏のことも見ているから、どちらもそれぞれに感情移入できる部分があって……。
鬼頭:本当にそうだよね。
――それぞれが魅力的なキャラクターだからこそ、どちらも応援したくなりますよね。最後に、放送を楽しみにされている視聴者のみなさんへメッセージをお願いします。
上田:大喜、千夏、雛の関係が少しずつ変わっていく様子を見守るのは、もどかしい部分もありつつ、すごく楽しいんです。青春がぎゅっと詰まったキラキラした物語なので、ぜひ最後まで楽しんで見届けてください。
鬼頭:この作品を通じて、人の気持ちって本当に繊細で、すべてを理解するのは難しいんだなと改めて感じました。アフレコ現場でも、セリフ一つ一つに対して色々な解釈があり、キャストみんなで考察しながら作品を楽しんでいます。そんな風にキャッキャ言いながら友達と一緒に観てもらえたら嬉しいです。
(取材・文・写真:吉野庫之介)
テレビアニメ『アオのハコ』は、10月3日よりTBS系28局にて毎週木曜23時56分放送。
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