1968年に公開された映画をもとにミュージカル化され、2001年のトニー賞において史上最多の12部門で最優秀賞を受賞した、ミュージカル「プロデューサーズ」が11月8日から上演される。主演を務めるのは、WEST.の田崇裕と神山智洋。田は落ちぶれた陽気なプロデューサーのマックス、神山は気弱な会計士でマックスに振り回されるレオを演じる。同じグループとして活動し、お互いを知り尽くしている二人だからこそ息の合った演技を見せる。田と神山に本作への意気込みや役作りについてなどを聞いた。
-オファーを受けたときはどんな心境でしたか。
神山
ありがたいことに毎年、舞台のお仕事をさせていただいていますが、一人で主演をさせていただくことも増えてきた中で、WEST.がデビュー10周年というタイミングで二人で主演できるというのはすごく心強いです。これまでも、僕はメンバーとのW主演をしてきていて、残すはのんちゃん(小瀧望)と(中間)淳太だけなので、このままの勢いでコンプリートしていこうと思います(笑)。
田
みんながミュージカルに出演して面白かった、楽しかったと言っていましたが、僕自身は経験したことがなかったので、今回、その楽しさを体験するのが楽しみです。
-座長としてはどのようなことを意識していますか。
神山
先ほども言いましたが、とにかくちゃん(田)がいることが心強いですね。メンバーだからこそ分かるボケや、欲しいツッコミがあるんですよ。それは10年以上一緒にいる僕たち二人だからこそできるものだと思うので、二人の“しゃべくり”で稽古場も盛り上げていきたいと思っています(笑)。僕も久しぶりのミュージカルなので、先輩方からたくさん勉強させていただいて、実力をつけていけたらと思います。
田
座長という意識は全くないですね。みんなで楽しい舞台をやろうという感覚です。ドラマでもそうですが、自分ではあまり座長であるということを意識しないことを意識したいと思っています。
-W
主演が決まってから、お二人の間ではどんなやりとりがありましたか。
田
何かしたっけ?
神山
舞台のことじゃなくていいんだったらスマホゲームの話はしたけどね(笑)。そういう日常的な会話ばかりですが、原作の映画を見たという会話はしましたね。
-映画を見た感想は?
神山
思っていた以上にコメディー色が強かったです。今回とはキャラクター設定も違っていましたが、凸凹感は出していきたいなと思います。
田
僕も面白かったですね。マックスの元々の設定は、50歳のふくよかな男性なので、僕とは全く違うんですよ(笑)。なので、どう表現しようかなと思っていますが、映画の印象では面白い役だなと思いました。自分が“おばあさまキラー”であることを分かっている人物なので、それを僕ならどう演じたらいいかなと思いながら映画は見ました。誰も苦しめていないですし、自分なりの正義や価値観を持っている人物ではあるので、そうしたところをうまく演じたいなと思います。ただ、歌が多いので、とにかく苦労しそうです(苦笑)。
-神山さんは演じるレオ役についてどう感じましたか。
神山
レオはチャーミングな性格で、少し子どもっぽさも残っている人物で、演じる上では自由度はそれなりに高いのかなと思います。大きな声を出したり、動き方だったりすることで面白おかしくできるのかなという印象が今はあります。まだ本格的な稽古が始まっていないのであくまでもイメージですが。
-ご自身とリンクする部分はありますか。
神山
どうでしょうね…別人じゃないかな。
田
僕も全然違うと思います。
神山
逆に自分とはかけ離れている役の方が見つけていく作業が多いので、演じることを楽しめると思います。自分の持っている引き出しを開けて、(役柄の要素を)探していく中で、これまで開けたことがなかった引き出しを開けてみる作業をすることになると思うのでどんな芝居になるのか楽しみですね。
田
僕はこれまで「自分と似ているな」と思いながら脚本を読んだことが1度もなかったので、よく分からないですね。マックスは、お金を稼ぐことに必死なので、その理由は何なんだろうとか、何でそんなにお金が好きなんだろうと考えながら読んだように思います。お金は好きだけど、ショーも好きというマックスを作り上げていくのは、大変な作業だなと思いました。
-田さんは高い歌唱力が周知されていながらも、本作が初ミュージカルです。(取材当時)すでに歌稽古がスタートしていると聞いていますが、手応えなどは感じていますか。
田
今はまだメロディーを覚えるのに必死で、手応えというところまでいっていないので、(それを感じられるまで)待ってくださいという状態です。これまで僕は音を耳で聞いて覚えるという方法でやっていたので、楽譜を見るということがあまりなかったんですよ。今は、楽譜を見て「ここは休符だ」とか、考えながら覚えているので苦戦しています(苦笑)。こんな僕がミュージカルで主演をしていいのかなと申し訳なくなりますが、とにかく家に帰ったら、音楽をひたすら聞いて覚えて。ただ、歌を伝えるということに意味があると思うので、音ばかり追いかけるのではなく、気持ちを伝えていければと思っています。
-不安と期待、今の心境をパーセンテージで表すと?
田
不安が80パーセントかな(笑)。まだ楽曲も数曲しか練習していないので不安が大きいですが、きっとやっていくうちに期待や楽しみが大きくなっていくのだと思います。最初の稽古からできる人はいないと思うので、まだまだ練習です。
-神山さんは「ブラッドブラザース」以来、約9年ぶりのミュージカルになります。ミュージカルならではの楽しさや難しさはどんなところに感じていますか。
神山
楽しさも難しさも表裏一体だと思います。歌で感情を表現する、話しているように歌うことができたら楽しいですが、できないときはめちゃくちゃ難しい。やっぱりミュージカルなので、そこが一番なんだと思います。歌っている途中でせりふが入って、また歌に戻るという一連を、パンパンパンと流れるように通していかないといけないので。なので、今、ディズニーの映画をめちゃくちゃ見て勉強しています(笑)。物語の途中で流れるように歌うシーンが多いので、どうしたら自然とできるのかなと。
-「ブラッド・ブラザース」のときは、そうした部分はどのように考えていたのですか。
神山
9年も前なので、自分でもまだ分かっていなかったところが多かったと思います。なので、きっと全て、ただ歌っていました。ダンスもそうですが、ミュージカルでは、ただ踊るのではなく、そのときの心情や感情を表現して、話しているかのように踊るのが大事。今回は、そうしたところも意識しながら演じようと思います。9年も間が空いていたらゼロと一緒なので、僕もとにかく頑張ります。
(取材・文/嶋田真己)
ミュージカル「プロデューサーズ」は、11月8日~12月6日に都内・東急シアターオーブで上演。
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