9月17日(火) 8:00
Apple TV+で配信中の京都が舞台のミステリードラマ『サニー』。その第4話にカトウ役として登場する日本人俳優のこんばやし元樹に日米の撮影現場の違い、ラシダ・ジョーンズの印象などを伺った。
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日本在住のアイルランド人作家コリン・オサリバンによる著書「The Dark Manual」をもとにした『サニー』の主人公は、日本人の夫と一人息子と共に京都で暮らすアメリカ人スージー。北海道へ旅立った夫と息子を飛行機の墜落事故で亡くし、意気消沈している彼女のもとに、夫が務める会社が製造した新型の家庭用ロボット、サニーが届く。夫が扱っていたのは冷蔵庫だったはずでは…?と不思議に思うも、スージーのためにプログラムされたというサニーの仕草には見覚えのある一面も。夫の会社に乗り込んだスージーはそこで、あるものを発見してしまい…。
こんばやしが登場するのは、第4話のお葬式のシーン。マサの大学時代の友人だとスージーに声をかけるカトウという人物だが、マサの父親について何かを知っていることを仄めかすようなセリフが印象的だった。
この役についてこんばやしは、「カトウの発した言葉をきっかけに、スージーが持っている夫のイメージとは違う、自分の夫は一体どんな人物だったんだろうと考えるきっかけを与えたのかもしれないです」と話す。
「本編に直接関わっていくという大きな役ではないかもしれないですが、マサという人物を探るきっかけとなる一人。演じていて思ったのは、葬式という場で人の懐にどんどん入っていく…。図々しいというか、あまり空気が読めないというか…。怪しい感じ、丸坊主ですしね。ちょっと変わった人物だという印象を残しているんではないでしょうか」
1998年、単身ニューヨークに渡り、NYオフオフブロードウェイを中心に自主公演を行ってきたこんばやし。2010年に拠点を東京に移し、数々の作品で活躍してきたが、『サニー』では当初、別の役でのオーディションを受けていたそうだ。撮影時期がコロナ禍の真っ只中にあったこともあり、実際にカトウの役に決まるまでに数年掛かったと明かしている。
『サニー』だけなく、最近では『Tokyo Vice』の鵜飼役としても知られるこんばやしだが、日米の撮影の仕方の違いとして、感じていることを語ってくれた。
「限られた予算と時間でいかに効率よく良いものを作っていくかというのが日本の現場での印象ですが、海外との合作や海外作品だと予算にもやはりゆとりがあり、納得できる映像を時間を掛けてでも撮る。『サニー』も『Tokyo Vice』も監督が納得いかないと、何回も撮っていました。もちろん、日本でも良いものを撮るというのは根本にあるのですが、そこにゆとりがあるかないかの違いは感じますね」と、余裕をもって取り組めるのが海外合作で感じたことだと振り返る。
また、海外作品の場合、監督は俳優に指示するのではなく、自然に誘導するようなやり方が多く、演技をする面でもゆとりを感じることが多いという。
「もちろん、それぞれの良さがあり、良い作品を撮るという思いは全く一緒ですが、スタイルが違うため、どちらがやりやすいというのは人によるのではないでしょうか」
メインのキャストと2番手3番手がいて、その他大勢のような雰囲気をどうしても感じてしまうのが日本の現場だと話すこんばやし。一方、海外の場合は平等、フレンドリーに感じるという。文化的にもすごく気さくに話しかけてくれたり、オーディションの時からも、リラックスできる空気を作ってくれることというのが、個人的に感じる違いだそうだ。
『ジ・オフィス』など、一線で活躍してきた彼女とのリハーサルには緊張して参加したと当時を振り返りながら話してくれた。
「ハリウッドスターがそこにいるという気持ちで自分は向かって行ったのですが、思っていたより小柄で、自然体でいるのがすごくかっこいいと思いました。芸能一家で育っていて、自身でプロデュースもするような人なのに、こんな自然で懐の深さというか、奥ゆかしさみたいなものをすごく感じました。挨拶を交わしただけで、緊張が取れて、すっと受け入れてくれるような。そんな空気を作ってくれる、人間としての大きさをすごく感じました」
また、劇中でも義母として登場するジュディ・オングとのやり取りが軽妙で面白く、二人のやりとりを見ているのがとても好きで、楽しかったと付け加えた。
『サニー』はApple TV+で全10話が独占配信中。(海外ドラマNAVI)
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