広瀬すず、仲野太賀、岸井ゆきの、岡山天音、荒川良々、今田美桜、森七菜、草なぎ剛、吉岡里帆、神木隆之介が出演する、映像監督・写真家の奥山由之による自主制作オムニバス長編映画『アット・ザ・ベンチ』が、11月15日より公開されることが決定。ポスタービジュアル、シーン写真2点、奥山監督のコメントが到着した。
【写真】仲野太賀、吉岡里帆らも出演映画『アット・ザ・ベンチ』場面写真
変わり続ける東京という街の、変わらずに残したい景色を舞台に、巡る季節の中の、さまざまな人々の、とある1日の思い出の時間を紡ぎたい―。そんな奥山由之の願いからスタートした自主制作映画『アット・ザ・ベンチ』は、東京・二子玉川の川沿いに佇む古ぼけたベンチを舞台に、人々の何気ない日常を切り取った長編オムニバス作品。
自らの個人的な想いに呼応して集ったキャスト・スタッフと共に小さなチームを組み、手弁当ながら1編ずつをじっくりと作り上げてきたという奥山監督は、その稀有な制作スタイルついて「これ以上に純粋な創作は、生涯の中で何度と出来ることか分かりません」と語っている。
2023年9月30日に第1編、2024年4月27日に第2編が動画プラットホームVimeoで無料公開された際は大きな反響を呼び、この度新たに制作された第3編、第4編、第5編を加えて、全5編のオムニバス長編作品として劇場で公開されることが決定した。
川沿いの芝生の中に1つの小さなベンチが佇んでいる。ある日の夕方、そのベンチには久しぶりに再会する幼なじみの男女が座っている。彼らは小さなベンチで、どこかもどかしいけれど、愛おしくて優しい言葉を交わしていく。この場所には他にも様々な人々がやってくる。別れ話をするカップルとそこに割り込むおじさん、家出をしてホームレスになった姉とそんな姉を探しにやってきた妹、ベンチの撤去を計画する役所の職員たち。
1つの場所にまつわる5つの物語。10人の登場人物を演じるのは、広瀬すず(第1編・第5編)、仲野太賀(第1編・第5編)、岸井ゆきの(第2編)、岡山天音(第2編)、荒川良々(第2編)、今田美桜(第3編)、森七菜(第3編)、草なぎ剛(第4編)、吉岡里帆(第4編)、神木隆之介(第4編)。奥山監督自身が出演を熱望したキャストの共演が実現した。
ポスタービジュアルは、ベンチに並んで座った男女の後ろ姿を切り取った、シンプルなデザインとなっている。
映画『アット・ザ・ベンチ』は、11月15日より全国公開。
奥山由之監督のコメント全文は以下の通り。
■奥山由之(監督)コメント
僕の散歩コースの途中には、川沿いにぽつんと佇む1つの古いベンチがあって、“川沿いにぽつん”と言っても、水辺に近いわけではなく、車道沿いにあるバス停のそれでもなく、芝生の広場の真ん中になぜかそれはあって、球遊びをしている子供たちや、犬の散歩をする人たちがチラホラいるのだけれど、みんな邪魔そうにするわけではなく、かといって座るわけでもなく、ただただ通り過ぎていく。
そのベンチと関わる人を見たことがないので、実は誰にも見えていないのではないかと思ったこともあるのだけれど、恐らく、ベンチの設置場所としては風変わりなスタイルをとっていることで、「あぁ座りたいなぁ」とは思わせない絶妙な調度よくなさがあるのだろう。そのベンチの周辺一帯だけがなぜかコンクリートの地面であることも不思議でならない。僕がそいつに目をつけてからもう何年も月日が経っているのだけれど、一向に撤去される気配はなく、そいつはやはり誰にも見えていないのかもしれない。
そんなある日、近くで大きな橋の工事が始まった。東京という街は、いつだってうねるように、まるで生き物のように、部分的な変化を続けている。便利になったり、綺麗になったり、勿論いいこともあるのだけれど、いつの間にか無くなってしまう景色を懐かしむ間もなく、記憶は塗り替えられてしまう。愛着を抱いていた場所でさえ、久しぶりに訪れると「前はどんな様子だったけ…」なんて忘れてしまうこともしばしばだ。
変わりゆく景色の中で、変わらずそこにいるベンチ。古ぼけた座面はなんだか頼りなく、妙な味わいと個性を放っていて、後ろから眺めたときの、まるでおじいちゃんのような哀愁感に僕は心を奪われ、「いま、このベンチを作品として残しておかないと後悔しそうだ」と思い立ち、ベンチだけを舞台に、誰かの会話を集めたオムニバス映画を作ることに決めました。
というわけで…『アット・ザ・ベンチ』は、変わり続ける東京という街の中で、変わらずに残したい“とあるベンチ”を舞台に、四季折々、ある日のある人たちのちょっとした思い出の時間を紡ぎたい、という個人的な願いからスタートした自主制作映画です。
その思いに呼応して、仲間が1人増え、また1人増え…といった具合に、みんなが“個人”としてベンチに集まってくれました。そうして形成された、サッカーチーム1つ分くらいの僕らは、手弁当ながらも、自分たちでやれる限りのことをやってみよう、という考えで1編ずつをじっくりと作り上げてきました。ある個人の「こういう映画を作りたい」という思いのもとに、同じく「作ってみようよ」という純粋な思いで集まってくれた人たちがいる、そうして作り上げられた作品は、また誰かの「こういう映画が好きだな」という温かな気持ちに届くと嬉しいな、と思っています。
これ以上に純粋な創作は、生涯の中で何度と出来ることか分かりません。一緒に作って下さった皆さま、本当にありがとうございました!
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