夏の甲子園で輝いた好投手を山本昌が解説 「こんなにすばらしいピッチャーがいたのか」と絶賛したのは?

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夏の甲子園で輝いた好投手を山本昌が解説 「こんなにすばらしいピッチャーがいたのか」と絶賛したのは?

9月3日(火) 6:55

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山本昌スカウティングレポート2024年夏(前編)

夏の甲子園を沸かせた逸材投手を山本昌(元・中日)が徹底分析する名物企画が、今年も帰ってきた。今夏は2〜3年生に好投手が続出し、レジェンドも大興奮。まずはプロ注目のドラフト上位候補など7人の逸材について語ってもらった。

初戦で敗退したが、スカウトからも高い評価を得た報徳学園・今朝丸裕喜photo by Ohtomo Yoshiyuki

初戦で敗退したが、スカウトからも高い評価を得た報徳学園・今朝丸裕喜photo by Ohtomo Yoshiyuki



今朝丸裕喜(報徳学園/188cm・80kg/右投右打)

今夏の甲子園では初戦で敗れましたが、相変わらず超一流の素材だと感じました。上背があって、捕手に向かって真っすぐラインを出せるフォームに、球威があるストレート。高校トップクラスの潜在能力でしょう。春のセンバツ時にも指摘させてもらいましたが、今後は体に力をつけて、体重移動時にもう少し捕手に寄れるようになると球のキレが一段と増していくと感じます。即戦力というより、まだまだ伸びしろを残した好素材。ドラフト1位指名される可能性は十分にあります。

198センチの長身から投げ下ろすストレートとナックルカーブが武器の東海大相模・藤田琉生photo by Ohtomo Yoshiyuki

198センチの長身から投げ下ろすストレートとナックルカーブが武器の東海大相模・藤田琉生photo by Ohtomo Yoshiyuki



藤田琉生(東海大相模/198cm・96kg/左投左打)

じつは彼のことを中学時代に見る機会があり、今夏の甲子園で「ここまでの投手になったのか」と感慨深くなりました。中学時代はもっと線が細かったのですが、たくましい体つきになって、フォームも安定していました。とくに大きく変化するナックルカーブを覚えたことが大きかったですね。198センチの長身でこれだけのボールが投げられれば、ドラフト上位候補に入るのだろうなと感じます。春から夏にかけて球速が上がってきたそうですが、今後は球のキレとコントロールを追求してもらいたいですね。質と精度が向上すれば、ストライクゾーンの狭くなるプロでも活躍できるはずです。

青森山田のエース・関浩一郎photo by Ohtomo Yoshiyuki

青森山田のエース・関浩一郎photo by Ohtomo Yoshiyuki



関浩一郎(青森山田/186cm・89kg/右投右打)

大学進学予定と聞きましたが、4年後にドラフト1位指名を狙える逸材です。春のセンバツよりも体がひと回り大きくなり、フォームの力感が増していました。ホームベースに向かって真っすぐに力を伝えられているし、腕の振りが強く、ボールも非常に走っている。打者に向かっていく姿勢や、マスクもいいですね。大学での4年間で追求してもらいたいのは、左肩の開きを遅らせること。左肩を開いて右腕を振るというより、左肩を「止める」感覚が出てくると右腕が走るようになります。リリースのタイミングが合えば、彼のポテンシャルはもっと引き出されるはずです。

2年春から4季連続甲子園出場を果たした広陵・高尾響photo by Ohtomo Yoshiyuki

2年春から4季連続甲子園出場を果たした広陵・高尾響photo by Ohtomo Yoshiyuki



高尾響(広陵/172cm・73kg/右投右打)

投げるセンスにかけては今大会でナンバーワンの投手でしょう。身長172センチと上背はありませんが、腕の振りがよく勝負どころでの球の走りは一級品。マウンドでのたたずまいもただ者ではありません。大舞台での実戦経験が豊富だからか、場面に応じて投球を変えられるセンスがずば抜けていました。プロに行ったら、高校生投手で最初に出てくるのは彼かもしれません。これからは体を強くして、腕の振りがもう一段鋭くなってくれば楽しみです。スピードが上がって、より勝てる投手になるでしょう。

夏の甲子園では全試合リリーフで登板した関東一・坂井遼photo by Ohtomo Yoshiyuki

夏の甲子園では全試合リリーフで登板した関東一・坂井遼photo by Ohtomo Yoshiyuki



坂井遼(関東一/178cm・78kg/右投右打)

絶対的なリリーフとして決勝進出に導いた活躍ぶりは見事でした。たくましい体と鋭い腕の振り、最速151キロを計測した力強いストレートは目を引きました。悪いカウントからでも半速球で簡単にストライクがとれる器用さも印象的で、決してパワーだけの投手ではないと伝わってきました。少し気になったのは、軸足(右足)の使い方。ヒザを真下に折ってから体重移動をしていたのですが、力をロスしているように見えました。体重移動するなかで自然とヒザが折れる形にできれば、今まで以上に腕が振れるようになるはずです。

最速149キロを誇る興南のエース・田崎颯士photo by Ohtomo Yoshiyuki

最速149キロを誇る興南のエース・田崎颯士photo by Ohtomo Yoshiyuki



田崎颯士(興南/177cm・61kg/左投左打)

まず「こんなにすばらしい投手がいたのか......」と率直に驚きました。「投手らしい投手」という印象の体つきと腕の振り。左肩を大きく回してテイクバックを大きくとり、左腕をしならせる使い方は、僕の好みです(笑)。将来は先発投手として大きく羽ばたいてほしいですね。まだまだ線が細いので、これから体が仕上がってくれば技術的にもっと伸びるはずです。今は体重移動時に上体が前屈みになって、「く」の字の形になっています。上体が真っすぐに立って移動できるようになれば、もっと左腕が振れるようになりそうです。大学進学予定とのことですが、これからも注目していきます。

花咲徳栄の速球派右腕・上原堆我photo by Ohtomo Yoshiyuki

花咲徳栄の速球派右腕・上原堆我photo by Ohtomo Yoshiyuki



上原堆我(花咲徳栄/178cm・84kg/右投右打)

140キロ台のストレートは見るからに力があって、スピード感もあります。体つきもしっかりしているし、伸びしろのある素材だと感じました。少し左肩の開きの早さは気になるところですが、変にシュート回転が強くなるわけでもないので本人に合っているのかもしれません。個人的にはもう少しホームベースに向かって真っすぐに左肩が寄っていって、左肩と右肩を入れ替えるように腕が振れると、もっと力強いボールが投げられるのではと感じます。変化球のキレもよくなるはずなので、よかったら修正してみてほしいですね。

後編につづく>>

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