<降り積もれ孤独な死よ>中山Pが明かす特別な“刑事サスペンス”ドラマへのこだわりと、作品に込めた思い「決して希望や救いのない話にはしたくない」

「降り積もれ孤独な死よ」Pインタビューを実施した/(C)ytv

<降り積もれ孤独な死よ>中山Pが明かす特別な“刑事サスペンス”ドラマへのこだわりと、作品に込めた思い「決して希望や救いのない話にはしたくない」

9月1日(日) 6:00

「降り積もれ孤独な死よ」Pインタビューを実施した
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成田凌が主演を務める「降り積もれ孤独な死よ」(毎週日曜夜10:30-11:25、日本テレビ系/Hulu・TVerにて配信)が現在放送中。井龍一(原作)・伊藤翔太(漫画)の「降り積もれ孤独な死よ」(講談社「マガジンポケット」にて連載中) をベースに、オリジナル要素を付け加えてドラマ化。物語は、一軒の人気のない屋敷で13人の子供の白骨死体が見つかった、通称・灰川邸事件から動き出す。

この度、WEBザテレビジョンでは、同作のプロデューサーを務める中山喬詞氏にインタビューを実施。制作秘話やキャスト陣の魅力、今後の見どころなどについて話を聞いた。

■世界観がしっかり出来上がった映像になった

――完成した映像を見た率直な感想は?

今回、映画のような質感の映像にしようと意識して、明るさや色味にこだわって撮影しました。そこに役者の皆さんの熱量の高いお芝居が重なり、毎話、非常に見応えのある映像になっていると思います。さらに音楽が重なって壮大な感じを出したり、登場人物たちの心情を描くことが出来たりと、世界観がしっかり出来上がった映像になっていると感じています。

――番組キービジュアルから映像まで一本背骨の通った世界観になりましたね。

キービジュアルのデザインや質感含めて、作品の中身と宣伝施策を統一した世界観で展開することが出来たと感じています。

■ひっくり返せるようなメッセージを届けたい

――「降り積もれ孤独な死よ」を制作しようと思ったきっかけを教えてください。

まず、原作が面白かったです。そしてドラマ化するにあたって「サスペンスとしての面白さ」と「登場人物たちそれぞれが背負っている過去」を両軸で描いていきたいという想いが強く湧きました。そこに児童虐待や、トー横・グリ下といった少年少女たちを取り巻く社会問題も取り入れた、テーマ性のあるドラマにできるのではと思い制作しました。

――ドラマを見てこんな気持ちになってほしいなどありましたか?

ドラマで扱っているテーマは重たいテーマではありますが、今、世の中で定説のようになっている「虐待や暴力の負の連鎖」をひっくり返せるようなメッセージを届けられればと思っています。決して希望や救いのない話にはしたくないと、当初から思っていました。

――残虐的な描写とか過激なシーンも多いですが、気をつけたことや打ち合わせで出た話などがあれば教えて下さい。

虐待や暴力の残虐性については作品として真正面から向き合わないといけないテーマだったので、どれぐらいまでやるかというところは、 監督やスタッフと丁寧に打ち合わせをしました。子供が虐待をされるシーンでは、子役の方の気持ちにも配慮して、明るい撮影現場であるように意識しています。

この作品の脚本家の方は、女性でお母さんでもあります。子供が虐待されるシーンを撮影する際に、子役の方たちがトラウマにならないようにだけ気をつけていただきたいというのが、脚本家さんからの唯一の要望でもあったので、監督・スタッフ含めて現場の雰囲気はとても意識して撮影しました。

■想像を上回る芝居が魅力的

――主演を務める成田さんと、それからヒロインの吉川さんの起用理由は?

元々お芝居が上手なお2人という印象があって、今回ご一緒させていただいて、本当にすごいなと驚きました。毎回撮影現場に行く度に、想像を上回るお芝居してくださるんです。冴木という役が抱える暴力衝動や内に秘めた葛藤が、成田さんに演じていただいたことで、いい意味で哀愁や危うい色気のような形で出ていると感じました。陰の部分を感じさせる、すごく魅力的な役者さんだなと思い起用させていただきました。

花音は本当に難しい役だなと思っていて。表情もコロコロ変わるし、何を考えているか読み取れない、すごくミステリアスな役です。吉川さんは、そういうミステリアスな謎めいた役がお得意かなと思っていたので起用させていただきました。実際、すごく絶妙のバランスで、 何を考えているかわからないけど、この子にも過去に色々あったんだろうなと感じさせる、感情が読み取りづらい花音のキャラクターを絶妙なバランスをやっていただいているなと感じています。

――SNSでもストーリーだけでなく、お芝居で泣けちゃうみたいな投稿もありましたよね。

成田さん、吉川さんのお2人以外にも、小日向さんをはじめ、お芝居が上手な方に集まっていただいたので、しっかりと見応えのある、ストーリーだけではなくてお芝居で魅せることが出来ているかなと思います。

■お気に入りのシーンは「兄弟の話」

――成田さんと吉川さんの現場での様子、また現場での雰囲気を教えてください。

2人のシーンでは、カメラの回ってない時は2人でゆったりとしてお話されているイメージです。成田さんは撮影の合間にどんなお芝居をしようかと考えていらっしゃる感じ。吉川さんは普段はふわっとした雰囲気の方なのですが、カメラが回るとスイッチ入って演技に入られるといった感じで、対極的な印象があります。

――撮影中の印象的なエピソードはありますか?

成田さんが撮影の合間に、一緒に筋トレしようと吉川さんを誘われるんですけど、吉川さんが毎回「疲れるから」と、断固として拒否されています(笑)。

――中山Pのお気に入りのシーンや、せりふはありますか?

やっぱり冴木と蒼佑の兄弟の話は、自分の中でも思い入れのあるシーンです。兄弟が初めて向き合うことになる3話の体育館のシーン、あとは7話の蒼佑が亡くなってしまうシーン、そして、冴木が留守電に残された蒼佑のメッセージを聴くシーンは、このドラマのメッセージを象徴するシーンだと思います。暴力衝動についての「負の連鎖」を背負った2人が、それをどう乗り越えていくのかというのが、このドラマの1つのテーマでもあるので、特に思い入れがありますね。

■苦戦したことは「オリジナルストーリーの追加」

――原作があっての実写ドラマ化っていうとこでは苦戦したこと、大変だったことありますか?

原作者の先生と丁寧に向き合わせていただいて、作ることが出来たと思っています。苦戦したところで言うと、原作の面白さをいかにちゃんと引き継ぐかっていうところは、いい意味で難しいと思いました。だからこそ細かいところをドラマ版で作らせていただくというよりかは、2024年という原作にはない世界を付け足させていただいて、原作の良さはそのまま受け継がせていただこうと思いました。

原作のテーマがすごく素敵だなと思っているので、そのテーマを全10話で、特に最終回でどう伝えられるかは、大変でしたがすごくやりがいのある作業でした。大事なテーマ、メッセージを伝えるべくいかに着地させるかというところは、とても意識しました。

――「降り積もれ孤独な死よ」だからこそと胸を張れる素敵ポイントや作品としての強みがあれば教えてください。

一つは「役者さんとスタッフの圧倒的な熱量」です。それが役者さんのお芝居や映像から見て取れるからこそ、番組の質の高さに繋がっていると思っています。役者さんの演技やスタッフの映像に対するこだわりが、僕が今まで経験した中でも上位に入るぐらいの熱量で。すごくありがたいところですし、魅力かなと思います。

もう一つは、「ただの考察ドラマ、ただのサスペンスではない」という点です。サスペンスドラマとヒューマンドラマ、二つの側面を持つドラマなのですが、この人間ドラマの部分がすごく魅力的だと思っています。登場人物が皆、重たいものを背負っていますが、それをみんなで少しずつ補い合いながら人は変わっていけるんだというメッセージが、このドラマにしかない魅力だと思っています。

■刑事ドラマに涙する視聴者が続出

――SNSの反応を見てて、どんな風に感じてますか?

序盤はサスペンスドラマとして、灰川邸事件の犯人は誰なのか?という点を楽しんで見ていただいた方が多いのかなという印象を受けましたが、中盤以降、徐々に人間ドラマの部分、虐待を受けた子供たちについてや、切ない生い立ちの犯罪者に対して、気持ちに寄り添うような反響を頂戴しています。

監督、役者、脚本家、皆で共有していたことですが「サスペンスドラマではあるけれど、決してサイコパスな登場人物は出さないでおきましょう」っという話をしていて。罪を犯してはもちろんいけないのですが、「その人物の言動にしっかりバックボーンがあるような作りにしましょう」と、言い続けてはいたので、SNSの反応を見ていると、その辺りが伝わっているのではと感じています。

あとは、主題歌である、あいみょんさんの「ざらめ」を始め、音楽の面でも満足していただけているのかなと感じています。

――刑事ドラマで初めて泣いたって投稿している人もいましたね。

「このドラマで泣かされると思ってなかった」という意見もいただいたりしていて。ただのサスペンスドラマで泣くことってそんなにないと思うんですけど、中盤以降、すごく泣いていただいてるなっていう印象は受けますね。

――最終回に向けての見どころと、視聴者の皆さんへのメッセージをお願いします。

誰かが誰かを守るということだったり、劇中のセリフでもありますが「生きてれば大抵のものは直せる」だったり、 人と人との繋がりだったり、このドラマの本質が最終回にしっかりお届けできたらを思っています。

サスペンスドラマではあるので、犯人が明らかになったり、伏線が回収されたりといった点でも満足していただける着地になっていると思いますが、ドラマとしてのメッセージやテーマといった心臓部分も最後まで丁寧に作り込んでいますので、「なるほど、この犯人だったか」っていう楽しみとともに、そのメッセージを受け取ってもらえたらなと思います。



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