SVリーグで期待の選手たち女子編
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10月に開幕するバレーボール新リーグ「SVリーグ」。そこでの活躍が期待できる注目のプレーヤーと、昨シーズンまでリーグを盛り上げ、今回引退を決めたプレーヤーへの感謝を込めて、10人の女子選手を紹介する。
※写真は昨シーズンのもの
Photo by 黒羽白
■蓑輪幸(みのわ・さち/旧名:サンティアゴ・アライジャダフニ)
所属:大阪マーヴェラス(旧・JTマーヴェラス)ミドルブロッカー・195cm
1996年1月20日生まれフィリピン・カヴィテ出身サント・トーマス大学→ナショナル大学
昨シーズンに埼玉上尾メディックスからJTに移籍し、レギュラーラウンド首位通過とファイナルラウンド準優勝に大きく貢献。スパイク賞、ブロック賞、敢闘賞、ベスト6を受賞した。
今年4月には、PFUブルーキャッツ石川かほくのバルデス・メリーサとともに、練習生として日本代表合宿と紅白戦に参加。8月に日本国籍の取得と、SVリーグを「蓑輪幸」としてプレーすることを発表した。夫は埼玉上尾の元コーチで、現在はフィリピンリーグのクラブチームで監督を務める蓑輪貴幸氏。互いに相手の母国で頂点を目指す。
Photo by 堀江丈
■塚田しおり(つかだ・しおり)
所属:NECレッドロケッツ川崎(旧・NECレッドロケッツ)セッター・175cm
1994年9月7日生まれ神奈川県出身川崎橘高校→筑波大学
セッターとしては高身長だが、入団から数年は試合に出られない日々が続き、努力を重ねてレギュラーを掴んだ。金子隆行監督も「彼女は努力家で、決して練習をサボらない」と話す。
毎年、日本代表に招集されて夏場にコンビを合わせることができなかった古賀紗理那は、高いトスからの速いバックアタックを武器にしていた。難易度の高いトスだが、古賀は塚田に「低いトスは打てません」とはっきりと伝え、代表後のチーム合流後に時間をかけてコンビを合わせてきた。
昨シーズンはベスト6を初受賞。塚田の名前が呼ばれた瞬間、チームメイトからは歓声があがった。塚田は「自分以上にみんなが喜んでくれたのが嬉しかったし、頑張ってきて報われたなと思った瞬間だった」と話した。チームには神奈川県内出身選手は複数いるものの、本拠地とする川崎市出身は塚田が唯一。「川崎を背負って、誇りを持って戦いたい」と笑顔を見せる。
Photo by 堀江丈
■平山詩嫣(ひらやま・しおん)
所属:SAGA久光スプリングス(旧・久光スプリングス)ミドルブロッカー・180cm
2000年11月7日生まれ福岡県出身東九州龍谷高校
昨シーズン、ミドルブロッカーにケガ人が多かったなかで頭角を表し、アタック決定率7位(日本人で4位)、ブロック決定本数9位(日本人で6位)の成績を残して、日本代表にも名を連ねた。ネーションズリーグ(VNL)のメンバーに残ることはできなかったが、「攻撃のバリエーションを増やしたい」と本人も言うように、自分の武器を増やしてアピールする機会は増えていきそうだ。
SAGA久光からは、は高校の1学年後輩でもある荒木彩花がパリ五輪に出場。VNLに出場した渡邊彩もAstemoリヴァーレ茨城(旧・日立Astemoリヴァーレ)から移籍と、ミドルブロッカーのポジション争いがより激化しそうだ。だが、スパイク、ブロックともにバランスよく得点できる長所を生かしてレギュラーの座を掴みたい。
Photo by 堀江丈
■山中宏予(やまなか・ひろよ)
所属:埼玉上尾メディックスミドルブロッカー・181cm
1999年11月11日生まれ埼玉県出身細田学園高校→青山学院大学
チーム所在地である埼玉県出身のミドルブロッカー。サンティアゴ・アライジャダフニ(蓑輪幸)の移籍により、スタメンの座を掴んで全試合出場を果たした。
ブロック決定本数でサンティアゴに次ぐ2位の成績を残し、昨年度は外れていた日本代表にも復帰(2022年度はB代表としてAVCカップに出場)。VNL出場メンバーには残れなかったが、4月の代表始動記者会見には出席。「日本代表にふさわしい選手になれるよう、プレーだけでなく、人としても成長したい」と語る。地域密着が強調されているSVリーグで、地元出身選手としてより一層の活躍を見せてくれそうだ。
Photo by 堀江丈
■黒後愛(くろご・あい)
所属:埼玉上尾メディックスアウトサイドヒッター・180cm
1998年6月14日生まれ栃木県出身下北沢成徳高校
東京五輪後に体調を崩し、2021-22シーズンは全試合欠場。翌シーズンに復帰を果たしたが、リリーフサーバーでの出場が多かった。昨シーズンは6年間在籍した東レアローズを退団し、下北沢成徳高の出身者が多い埼玉上尾に移籍した。
開幕当初は2枚替えでの出場が多かったが、リーグ後半からスタメンでも出場。シーズン最後の試合後の記者会見では「高校時代からよく知っている選手が多いチームで、移籍してすぐに溶け込むことができ、ありがたかった」と振り返った。
日本代表への復帰も果たし、パリ五輪出場は叶わなかったが、VNLの銀メダリストとして名を連ねた。若手の頃から「バレーが大好き」と話していた黒後。SVリーグでも笑顔でプレーする姿に期待したい。
Photo by 黒羽白
■山口結可(やまぐち・ゆか)
所属:デンソーエアリービーズセッター・165cm
1999年8月10日生まれ栃木県出身八王子実践高校→東海大学
高校、大学とケガに苦しみながらもVリーガーになる夢を叶え、昨シーズンからデンソーの正セッターに。スタメンでの出場は「約5年ぶりだった」という山口は、入団2年目で開花し、V Cup優勝、黒鷲旗大会準優勝の立役者となった。
中学時代から山口のハンドリングのよさに注目していたというデンソーの辻健志監督は、「Vリーグで戦いたいという彼女の強い意志を受け止め、チームに迎え入れた」と語る。東海大時代は試合に出ることよりも体づくりを優先してきたため、「コートに立つのが怖い」と感じたこともあったそうだが、家族の「もう一度トスを上げる姿を見たい」という応援を支えに、ブランクを感じさせないプレーを発揮できるようになった。
新シーズンはクインシーズ刈谷(旧・トヨタ車体クインシーズ)から、東海大の先輩でもある山上有紀が加入。セッターが4人となり、ポジション争いからますます目が離せなくなりそうだ。
Photo by 黒羽白
■髙佐風梨(こうさ・ふうり)
所属:クインシーズ刈谷(旧・トヨタ車体クインシーズ)セッター・164cm
2000年9月4日生まれ奈良県出身奈良女子高校→東京女子体育大学
大卒新人として入団した昨シーズン、新人賞を受賞。強気なトスワークでトヨタ車体を4強に導いたが、髙佐は「新人賞はチームのみんなのおかげ。もっとゲームメイクもディフェンスもうまくなりたい」と貪欲だ。
来年以降の日本代表セッター候補としても期待だが、「代表を狙う前に、まずは"このチームのセッターといえば私"という印象を与えられるように頑張りたい」と話す。昨シーズンに正セッターを争った山上がデンソーに移籍し、KUROBEアクアフェアリーズから佐藤彩乃が加入。ライバルが入れ替わるなか、新シーズンも正セッターに定着できるか。
Photo by 堀江丈
■谷島里咲(やじま・りさ)
所属:東レアローズ滋賀アウトサイドヒッター・172cm
2005年3月8日生まれ茨城県出身下北沢成徳高校
ルーキーイヤーだった昨シーズンは、途中出場で試合の流れを変える役割が多かった。本人は「緊張しやすいタイプ」と話すが、出場するとチームに活気を与え、役割を果たしていた。皇后杯では青山学院大でプレーする2歳上の姉・花虹(かこ)との姉妹対決も実現。「高校まで同じチームだったので、対戦相手になったのが新鮮だった」と笑顔を見せた。
入れ替わりで東レを退団し、イタリアに渡った高校の先輩でもある石川真佑を尊敬し、目標の選手としている。「身長が高くなくても決めきるテクニックがあり、パワーも兼ね備えている。そして、後衛ではサーブレシーブしたあとにバックアタックも打てるすばらしい選手」と話す。
SVリーグ元年を前に選手の移籍が盛んに行なわれたが、特に東レはメンバーが大きく入れ替わった。谷島と同じアウトサイドヒッターにも新メンバーが加わるが、ポジション争いを勝ち抜きたい。
Photo by 坂本清
■宮下遥(みやした・はるか)
所属:岡山シーガルズ(→引退)セッター・177cm
1994年9月1日生まれ三重県出身大阪国際滝井高校
引退試合となった黒鷲旗大会で大会初優勝を飾った。決勝戦となったデンソー戦は、最後に長年コンビを組んできた金田修佳にトスを上げ、金田もそれに応えてスパイクを決めてストレートで勝利。試合後は「このメンバーでできる最後の試合だということを噛みしめながら、チームのためにやりきる。それだけを考えて戦った」と語り、涙を見せた。
大阪国際大和田中(現・大阪国際中)在学中の15歳でVリーグデビュー。29歳で引退するまで岡山シーガルズひと筋で、河本昭義監督の下、司令塔の役割を果たしてきた。日本代表としてはリオ五輪に出場。177cmの身長を生かしたブロックや、日本代表の眞鍋政義監督が「いいセッターの条件のひとつ」と語るディグ(スパイクレシーブ)のよさも魅力の選手だった。
Photo by 黒羽白
■古賀紗理那(こが・さりな)
所属:NECレッドロケッツ川崎(→引退)アウトサイドヒッター・180cm
1996年5月21日生まれ熊本県出身熊本信愛女学院高校
NECの2連覇、皇后杯との2冠は古賀の活躍なくしては達成できなかった。それだけに、パリ五輪を前に発表された現役引退は、ファンにとって大きな驚きだっただろう。
入団からNECひと筋。チーム移籍も海外挑戦もなく、9年間エースとしてチームを支えた。持ち味の高速バックアタックはもちろん、サーブ、ブロック、レシーブとすべてのプレーが安定していた。身長180cm以上でオールラウンドになんでもこなせる選手は当分現われないかもしれないが、後継者の登場を待ちたい。
10月12日には、川崎市とどろきアリーナで行なわれるSVリーグオープニングマッチで引退セレモニーが実施される予定だ。
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