宇野昌磨が「師匠」ステファン・ランビエールとコラボ『フレンズオンアイス』で絆を表現

能登 直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

宇野昌磨が「師匠」ステファン・ランビエールとコラボ『フレンズオンアイス』で絆を表現

8月30日(金) 19:40

提供:
「フレンズオンアイス2024」宇野昌磨 編

『フレンズオンアイス』に出演中の宇野昌磨(左)。現役時代のコーチを務めたステファン・ランビエールとのコラボナンバーを披露

『フレンズオンアイス』に出演中の宇野昌磨(左)。現役時代のコーチを務めたステファン・ランビエールとのコラボナンバーを披露





【内向的な少年が世界へ】「小さい時は人前に出てしゃべれない、内向的な性格だったんです。だから両親も、大勢のお客さんの前で演技なんてできるわけないと思っていたはずで」

今年5月、都内で行なわれた現役引退会見で、宇野昌磨はそう振り返っている。

「でも、氷上では僕ひとりだからこそ、自分がつくる表現をみんなにちゃんと見てもらえる。こうした(記者会見の)場もそうですが、みんなが真摯に自分の話を聞いてくれていて、だからこそ自分の色を出しやすい場で......。発信できるようなタイプじゃないからこそ、フィギュアスケートは性に合っていたのかなって思います」

きっと、宇野がフィギュアスケートに巡り会えたのは運命だったのだろう。彼にはスケーターとしての天分があった。それは出会いも含めたもので、人を引き寄せる輝きを備えていた。

だからこそ、現役選手としての宇野は未曾有の記録をたたき出せたのだろう。全日本選手権では6回の優勝を誇り、2022年、2023年には世界選手権の連覇を達成、オリンピックでも平昌大会が銀メダル、北京大会は個人で銅メダル、団体で銀メダルを手にした。メダル3つは、日本フィギュアスケート史上最多記録だ。

燦然と輝く経歴だが、宇野は「憧れだった」と語る高橋大輔と同様、偉大な記録だけでなく、記憶に強く残る競技者だったと言える。

その宇野が、プロスケーターとしてリンクに戻ってきた。

【アップテンポなナンバーを披露】8月29日、KOSE新横浜スケートセンター。国内外最高のフィギュアスケーターたちを集めたアイスショー『フレンズオンアイス2024』のリハーサルが公開された。

「今回、ソロナンバーで滑る曲は、プロになって初めて作ったプログラムです」

宇野はそう説明している。『The Spectre』は現役晩年に挑戦していた荘厳で難解な曲と比べたら、"ノリのいい"曲と言えるだろう。

「現役時代と比べると、アップテンポな曲ですね。ジャンプ以外のところで、エネルギーを使う感じで。とても滑りがいのあるプログラムになっていると思います」

彼はステップを踏むたび、会場のファンの熱気を高めていった。ツイズルでくるくると回り、十八番のクリムキンイーグルも披露。決して大きな体ではないが、躍動感のある滑りだった。

「『フレンズオンアイス』は、コラボナンバーだったり、オープニングやフィナーレだったりにかける熱量が大きいと思っています」

宇野は言う。

「今日は公開リハーサルということで、まだ振り付けが体に染み込むより、頭で考えて間違いないように、という感じでした。でも、(公演が始まる)明日(8月30日)からは体に馴染ませて、すばらしいナンバーにしていきたいと思います。(ショーやグループナンバーの)ひとつのピースになれるように頑張っていきたいです。たくさんの方に来ていただければ!」

【師匠とのコラボレーションに注目】ファンに向けた醍醐味は第1部の"師匠"ステファン・ランビエールとのコラボナンバー『Fall On Me』かもしれない。

黒いシャツで片ひざをついたままのランビエールの周りを、宇野が現役時代と変わらない低い重心で濃厚に滑る。ふたりは一度手を取り合い、今度は宇野が立ったまま、ランビエールの滑る姿を見つめる。

ランビエルも長い手足を使った美しいスケーティングを披露。そして、両端からふたりは再び近づき、中央で近い距離で呼応して舞う。最後は複数のスピンをそれぞれが行ない、美しく調和していた。

〈近づいては離れる〉。それだけで、師弟の絆のようなものを表現していた。

宇野は「いつか現役時代を振り返って思い出す風景は?」と聞かれて、現役引退会見でこう語った。

「(2022年に)初めて世界選手権を優勝したあとのステファンの喜んでいる姿ですね。自分にとって、鮮明に記憶に残る思い出になると思います」

それほどの信頼関係だ。ランビエールに巡り会えたのも、彼の運だった。

何より、彼は愛されるスケーターなのだろう。おかげで、運に導かれる。その恵みを、彼はリンクの上で返してきた。

【感情が前にのめり出るような演技を】表現者としての活動は、今後、さらに楽しみと言えるだろう。

尾田栄一郎原作の人気コミック『ONE PIECE』のアイスショー『ワンピース・オン・アイス』では、主役のモンキー・D・ルフィ役を務める。昨年大きな話題を呼び、9月に再演される予定だ。

引退会見、宇野はこう言っていた。

「(引退で『さみしい』と言ってもらえるのは)ありがたい言葉で。全力で向き合っていた競技としてのフィギュアスケートを、それだけ待ち望んでくれていたという気持ちはうれしいです。

でも、これからも全力でフィギュアスケートに取り組むことに変わりはなくて、感情が前のめりに出てくるようなプログラムを、やらなきゃ、よりも、やりたい。今は楽しみでワクワクしています!」

リンクに立つ宇野は「宝石」のひとつだ。

8月30日から9月1日まで3日間、『フレンズオンアイス』は全6公演が行なわれる。

「フレンズオンアイス2024」高橋大輔 編を読む>>

「フレンズオンアイス2024」浅田真央 編を読む>>



【関連記事】
高橋大輔、浅田真央、宇野昌磨、荒川静香...「フレンズ オン アイス2024」フォトギャラリー
江夏豊はリリーフとしての調整法を確立 「優勝請負人」となり、初のセ・パ両リーグでMVPに輝いた
サッカー日本代表のエリート守護神・大迫敬介が味わった挫折「移籍しようとも考えた」
「リリーフは落ちこぼれ」の時代、稀代の大エース・江夏豊はなぜ野村克也の提案を受け入れ抑え転向を決断したのか
サッカー日本代表のメンバー招集で見えた「余裕のなさ」 強化のあり方はこれでいいのか
Sportiva

新着ニュース

合わせて読みたい記事

編集部のおすすめ記事

エンタメ アクセスランキング

急上昇ランキング

注目トピックス

Ameba News

注目の芸能人ブログ