【撮り下ろし写真】仲良く笑い合う永田崇人×石川恋

FOD×BUMP共同制作ドラマ「30歳目前、人生設計狂いました」が、現在配信中だ。本作は、動画配信プラットフォーム2つをまたいだ連動企画で、それぞれのプラットフォームで配信する動画のストーリーが互いを補い合うダブル本編型の新感覚ドラマ。BUMPでは1話約1分半～3分のオリジナルショートドラマ(30話)が配信され、FODでは長尺版となる1話30分のオリジナルドラマが配信されている。

広告プランナーとして働く矢崎莉乃(石川恋)は、同じ会社の若き社長である江原遼(永田崇人)と婚約していた。30歳の誕生日を目前に、彼との結婚を約束していたが、婚約者の浮気が発覚し一転、莉乃は人生の岐路に立たされる。結婚直前の彼氏からの裏切りや悪気のない親からの価値観の押し付け、友人の同調圧力等…葛藤しながらも人生設計を守るための作戦に出る模様を描く。

主人公・莉乃役の石川恋と、彼女の婚約者・遼役の永田崇人に撮影秘話から自身の年齢に対する考え方や価値観についてまでを聞いた。

■「普段の撮影よりもエネルギーが必要なシーンが多かった」



ーー本作は、動画配信プラットフォーム2つをまたいだ連動企画という面白い試みですが、撮影も一般的なものとは異なる部分があったのでしょうか？

石川：撮影はそこまで変わったことはなかったです。ただシーン的な展開が早かったので、その分撮影のスピードも早かった気がします。

永田：そうですね。撮影自体は8日間でしたが、一つひとつのシーンを撮るのとその切り替えが早かった印象があります。

ーー脚本はそれぞれのプラットフォームで用意されているわけではなく、まとめて一冊になっていたのでしょうか？

石川：はい。ただどのシーンがどちらで使われるかは分かった上で撮影していました。BUMP側は約1分半〜3分のショートドラマを30話なので、見せどころというか、短い時間で展開をどんどん作っていかなければいけない分、普段の撮影よりもエネルギーが必要なシーンが多かったです。気持ち的な部分…気合いの入れ方という面では普段のドラマの撮影よりも何段階かギアを上げてやらなければいけないシーンがほとんどでした。

永田：確かに多かったですね。監督の権野(元)さんが見たい画が明確にある方だったので、すごく引っ張ってくださって、僕はそこについて行くのに必死という感じでした。石川さんも仰っている通り、このドラマは展開が早くて、とにかく見せどころみたいなシーンがどんどん来るから、そういう意味では大変だったなという印象はあります。でも、権野さんの説明等がすごく的確で分かりやすかったので、そこまで混乱することもなく撮影自体は思ったよりもスムーズに進めることができました。

■「永田さんならではの遼の役作りがすごく絶妙」



ーー確かにどちらのプラットフォームも展開が早い印象はありましたが、特にショートドラマのBUMP側は展開の早さに加えて常にクライマックスみたいな盛り上がりと止まらないジェットコースター感がありましたよね。

石川：撮影もほぼノンストップでしたよね(笑)。

永田：はい(笑)。

ーー撮影現場での印象的なエピソードはありますか？

永田：すごく笑ってしまうシーンが結構あったですね。

石川：あったですね(笑)!?

永田：(笑)。なんだろう…僕、永田崇人としてはそんなことで騙されないだろうって思うんですけど、江原遼という役としては突拍子もない変な言い訳ばかりするし。ああいうのが僕的にツボで、最初は結構笑いそうになりながら、それを堪えてお芝居していましたね。無理だろう！と思うセリフも、映像を見たら…あれ？意外と…いけてる…？みたいな感じになっていて驚きました。

石川：いけてはなかったかもしれなけど…台本で読んでいたときよりも永田さんが演じた遼が愛らしくて。良い意味で遼というキャラクターに味が足されて、クズなんだけど憎めない可愛さみたいなものが出ていたので、永田さんならではの遼の役作りがすごく絶妙だなと思いました。

私も遼の浮気の言い訳や最後の方の改めてのプロポーズとか、なんかもう…バカだなぁ！この男〜!!みたいにちょっと憎みきれなくて(笑)。役としてすごく傷付いてはいるんですけど、ふと役から離れると面白くなって笑っちゃうような魅力的なお芝居をしてくださったので、心の中では永田さんが出してくる球をいつも笑いながら受けてました。

永田：遼は浮気者ですが、最終的にはやっぱり莉乃が好きなんだろうなというのが僕の中ではあって。石川さんが演じられる莉乃はすごく凛としているんですよ。遼が好きなのはこういうところなんだろうなと、撮影しながらいつも思っていました。凛とした部分が魅力的という意味では莉乃と石川さんの共通点でもあるように感じます。

ーー役柄と実際の年齢がみなさんほぼ同じですが、本作に共感するところはありますか？

石川：私は正直あまりなくて…。

永田：僕もあまりなかったです。

石川：私自身は29歳のときにこういう取材をはじめいろいろな場面で「30代での目標は何ですか？」や「20代最後にしたいことは？」等、そういう質問をしていただく機会がすごく増えた印象があります。分かりやすい節目ではあると思うのですが、私の中では20代から30代になるのは、そこまで大きいことだとは思っていなくて。

周りの友達もいろんな人生を歩んでいるから、このドラマで描かれている年齢の価値観みたいなものに私自身はあまり囚われていません。私が演じた莉乃は30歳までに結婚して子供を産むという人生設計がきっかり決まっているタイプだったので、自分とは真逆だなと感じていました。

■「僕の周りは“30(歳)っていう数字”と思っている方が多い」



ーーそんな自身と真逆の莉乃というキャラクターをどうやって作っていったのでしょうか？

石川：本当に難しかったです。でも、もっと若いとき…大学生ぐらいまでは私もちゃんと人生設計みたいなものを考えていた気がします。大学卒業したら就職して一社目では何年間ぐらい働いて30歳ぐらいまでには結婚して子供を産んで…って。義務教育を9年間受けてきて高校、そして大学に入ってるから、何となくそういう王道のレールを考えていました。

私は大学の途中で芸能界に入ったのですが、もともとは大学を卒業したら就職をする予定でした。でも、いろいろなご縁が重なって俳優業をやっていくことに決めて。そこで自分の当初思い描いていた人生設計からかなり外れたことを選択したので、そこからはあまり人生のレールは考えなくなりましたね。だから、大学生時代の自分の気持ちや周りの友達から聞いた似たような話を思い出したり、想像してみたり…自分の中にあるものをかき集めて膨らませて莉乃を作っていきました。

ーー永田さんは人生設計を立てるタイプですか？

永田：僕も石川さんと一緒で、大学までは結構ちゃんと人生設計を立てていた気がします。でも、大学を辞めて東京に出てきてからは年齢に対する価値観みたいなものはなくなっていきました。価値観って周りに影響される部分も大きいと思っていて。地元の友達とかは年齢による人生設計を持っている方も多い気がしますが、この業界では、そういう価値観を持っている方は少ない印象です。わりと僕の周りは“30(歳)っていう数字”と思っている方が多い気がします。

ーー永田さんが演じた遼は浮気してさらに言い訳と世間一般で言ういわゆる“クズ男”でしたが、共感する部分はありましたか？

石川：遼に(笑)!?

永田：まぁ…全部ですかねぇ〜…嘘です(笑)。実際は共感する部分はほとんどなかったですけど、演じていてすごくエキセントリックで楽しかったのは事実です。やっぱり普通に生きてるとあんなに刺激的なことってなかなかないので、撮影とは言えど、クズになるのは楽しかったですねぇ〜(笑)。それがお芝居の面白いところの一つだなとも思います。

石川：確かに楽しそうでしたね(笑)。

ーーでは、本作で描かれていた年齢以外にもあるさまざまな悩みの部分にも共感するところはなかったのでしょうか？

石川：私は大学時代に4人グループで仲が良くてずっと一緒にいました。私以外の3人は今、みんな一人ずつお子さんがいます。だから、以前みんなで遊びに行ったときに「子供の二人目は合わせたいね」みたいな会話をしていたときには、ちょっと寂しい気持ちにはなりました。

だけど、私は私のやりたいことや目標があって、それに向かって歩んでいる人生があるから、基本的には自分は自分、他人は他人の人生だと思って生きています。他人と比べちゃうとそういうところで劣等感が生まれたり、焦っちゃったりするのかなと思うんです。自分が疲れちゃうから、私は自分と他人は別物だという認識でいるので、あまり周りから影響を受けることもないですね。

それにこのドラマのようにあんなに強く言ってくる圧力強めの友達もいないので(笑)、意識することは余計にあまりないんだと思います。こういう考え方の私だからこそ、ここで描かれてることに悩んでる方たちに「そんなに囚われ過ぎなくていいんじゃないかな」ってことを伝えられたらいいなと思ってやらせていただきました。

永田：僕も石川さんと似たような考え方なので、僕自身が共感するという部分はあまりなかったです。ただ、こういうタイトルでこういう作品ができるということは、それぐらい年齢や世間体に対して悩んだり考えたりしてる方がたくさんいるのだろうなということは分かります。

だからこそ、最後は莉乃みたいな人がちゃんと前を向ける作品にもなっているので、「そんなに背負い込まんでいいだろう、自分らしく行こうぜ！」みたいな皆さんを元気づけるメッセージ性みたいなものがすごく伝わってくるなと思いました。ただ僕の役はそれとは真逆に走るような役だったので、全力で逆らっていこうという思いでやってましたね(笑)。

■「確実に『ビリギャル』が私の人生のターニングポイント」



ーーたしかに本作に登場する人物の中で遼が最も成長や変化を感じられなかったですが、永田さん自身は今後遼はどうなっていくと思いますか？

永田：遼には更生していって欲しいですが、実際はそこまでは考えてないですね。僕は台本で描かれていないことまで勝手に想像して作り上げちゃうと、それって一つ、役柄を狭めちゃうことにもなる気がしていて…。このドラマに関しては、遼がどういう人物かというよりも、とにかく求められていたのは莉乃や彩(木村葉月)をどう見せるかっていうことのアンサンブルだなという気がしていたので、そこに徹したという感覚があります。

ーーでは最後に、「30歳目前、人生設計狂いました」というタイトルにちなんで、みなさんが人生設計が変わったと思う瞬間を教えてください。

石川：私は間違いなく「ビリギャル(学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話)」の表紙を二十歳のときにやらせていただいたことです。それまではずっとバイトもしていたし、お芝居も全くやっていなかったので、本当に普通に就職して、それこそ人生設計通りに進んでいくものだと思っていました。でも、「ビリギャル」を通してたくさんの方たちに知っていただいて、それをきっかけに、お芝居にも出合えました。確実に私の人生のターニングポイントだと思います。

ーー「ビリギャル」の表紙はオーディションだったのでしょうか？

石川：書類審査のみでした。本当にたまたまご縁があったんです。作者の方が探していらっしゃったモデルさんが、私が元々いた事務所にかつて所属していた方だったのですが、そのときすでに辞められていて、連絡が取れない状況でした。そんなときに「じゃあ、この事務所で似てる子はいませんか？」ってなって、当時私が金髪だったのもあって風貌が似ていたんです。それで選んでいただけたっていう…。

永田：そんな感じだったんだ！僕は役者を目指して東京に行こうかなとぼんやり考えているときに、バイク事故が起こって…。無傷だったんですけど、事故の瞬間、スローモーションになって、ヤバイ…人ってやっぱり死ぬんだな…って思ったんです。そのときに人生には終わりがあるから、やっぱり東京に行こう！って決めたのをすごく覚えていますね。東京に行けばちょうどもうバイクもいらないし、好都合でもあるなと。ちょっと手に傷ができたぐらいで済んでよかったです。

編集・取材・文＝戸塚安友奈




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