三谷幸喜監督『スオミの話をしよう』の出発点となったのは、長澤まさみの“輝き”と西島秀俊の“笑顔”

西島秀俊&松坂桃李は、ミュージカルにも挑戦!「聞いてなかった」

三谷幸喜監督『スオミの話をしよう』の出発点となったのは、長澤まさみの“輝き”と西島秀俊の“笑顔”

8月29日(木) 16:12

三谷幸喜が脚本と監督を務める最新映画『スオミの話をしよう』(9月13日公開)の完成報告会が8月29日に東京都内で開催され、長澤まさみ、西島秀俊、松坂桃李、瀬戸康史、遠藤憲一、小林隆、坂東彌十郎、戸塚純貴、宮澤エマ、三谷監督が出席した。
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『スオミの話をしよう』(9月13日公開)の完成報告会が開催された

本作は、『記憶にございません!』(19)以来5年ぶり、映画監督作品としては9作目となる三谷監督の最新作。突然行方をくらませた大富豪の妻、スオミ(長澤)。スオミの失踪を知り、夫が住む豪邸に集結したのは彼女を愛した5人の男たち。彼らが語るスオミのイメージはそれぞれ見た目も性格も、まったく異なるものだった。一体スオミの正体とは?一つの屋敷を舞台に、三谷監督の真骨頂とも思えるサスペンス・コメディが繰り広げられる。

三谷幸喜、「映画らしい映画になった」と自信をのぞかせた

豪華俳優陣と登壇した三谷監督は「演劇的な映画を作ろうと思っていた」と切りだし、「セリフ劇があって、ワンシーンワンカットで長回しで撮ったり、ラストはみんなで歌って踊るカーテンコールがあったり、その一環として舞台と同じように稽古を積んでやる。ちゃんとそれに応えられる、優れた力のある俳優さんたち。日本を代表する力を持った皆さんに集まっていただきました」とキャストたち最敬礼。「演劇的な映画を作ったつもりではあるんですが、結果的にはすごく映画らしい映画になった。いままで僕が作ったもののなかで最も、映画っぽい映画になりました。やっと、自分が映画監督なんだと自信を持って言える感じになった」と完成作に胸を張っていた。

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スオミという主人公を、長澤に任せた三谷監督。着想となったのは「大河ドラマ『鎌倉殿の13人』をやっている時に、長澤まさみさんにナレーションをやってもらった。その時に何度か長澤さんにお会いすることがあって、そういえば彼女とはまだ映画はやっていないなと。10年前に舞台を一緒にやってから、本当に力のある女優さんだなと思っていた。どんどんスキルを上げてこられて、この人のために映画を作りたいな、この人が一番いまの段階で輝いている映画ができないだろうかと思った」と出発点となったのは、長澤の存在だったという。

長澤まさみ、三谷幸喜監督とのタッグへの喜びを語った

「恐れ多いです」と照れ笑いを見せた長澤は、「10年前に舞台に出演させていただいた時に、もっと一緒にお仕事をしたいなと感じていた。今回出演することができて本当にうれしいです」と相思相愛の想いを吐露した。相手によって違う顔をみせる女性スミオ役は「本当に難しかった」そうで、「多面的な部分があって、人によって印象が違うという役柄。どんなふうにキャラクター作りをすればいいんだろうと思いながら、毎日、監督からヒントをもらいながら演じていました」と回顧。「独特な魅力を持たれた方々」と楽しそうに周囲のキャスト陣を見渡しながら、「こういう方々と向き合えているだけで、きっと違う自分が生まれていたんだろうなと改めて気づきました。そういったところがスオミの本質的な部分だと思うし、自分というのは対する相手によって作られるものなんだなと感じました」と実感を込めていた。

西島秀俊、三谷組の現場で笑い上戸を発動!

三谷組に初参加を果たし、神経質な警察官である草野役を演じた西島は「本当に楽しかった。笑ってばかりで申し訳なかった」と撮影を振り返りながら、目尻を下げた。撮影前には1か月ほど前から稽古をしたというが、「ダンスも含めて、稽古も楽しかった。ダンスは本当に嫌だったんですが、1か月このメンバーで踊っていると『楽しいな…』と思えてきた」と笑顔が止まらない。すると三谷監督は「西島さんはだいたい笑っていた。こんなに笑う人だと思いませんでした」と証言。「西島さんの笑顔は武器というか、すごいパワーがある。僕がこの作品をつくるにあたって、まず長澤さんから発想をもらって、じゃあどんなストーリーを作ろうかと考えた時に、まず浮かんだのが『西島さんに出てもらいたい』ということ。西島さんのあの笑顔が一番効果的に出てくるような話が作りたいと思って、この物語ができた。最後に本当にいい顔をしている」と西島の笑顔が推進力になったことを明かした。

松坂桃李も三谷組に初参戦を果たした

怪しげなYouTuber十勝役の松坂も、三谷組に初参戦。松坂は「西島さんと同じく本当に楽しかった」とにっこり。「キャストの皆さんが、本当にステキでおもしろくて。演じつつも、いち観客として楽しめてしまうくらい、撮影期間がずっと楽しかった。ダンスの練習も最終的には部活のような感じになった」と充実感をにじませた。「ずっと前から松坂さんとお仕事をしたいと思っていた」という三谷監督は、「30代の俳優さんって、わりとストレートに気持ちをぶつける感じの演技をされる方が多い。松坂さんはそれプラス、どこかで『コイツ、なにか裏があるんじゃないか』という匂いをさせる。CMを観ていてもコイツ、本当は…と思ったり」とニヤリとすると、松坂は「そんなことないですよ!」とタジタジ。三谷監督は「そこがいいんですよね。ちょっと企みを持っている感じを、なんとかうまく活かしたいと思った」と起用の理由について話していた。

ミュージカルシーンがあるとは「聞いていなかった」

ミュージカルシーンも大きな見どころになるという本作。ミュージカルシーンは初挑戦だったという西島と松坂は、「頑張りましたよね」と顔を見合わせた。2人ともミュージカルシーンがあるとは聞いていなかったそうで、松坂は「聞いていないなと思った」、西島も「台本を読んで、嘘だろ…って」と戸惑いを口にして、会場も大笑い。三谷監督は「僕もやるつもりはなかった」と打ち明けて周囲を笑わせながら、「集まって皆さんの顔を見た時に、この人たちと一緒に踊ってみたいなという感じがあった。そこで急遽、最後のミュージカルシーンを作らせてもらった。多幸感にあふれたシーンになった」と晴れやかな笑顔で語っていた。

取材・文/成田おり枝


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