三谷幸喜が脚本と監督を務める最新映画『スオミの話をしよう』(9月13日公開)の完成披露舞台挨拶が8月29日にTOHOシネマズ六本木ヒルズで開催され、長澤まさみ、西島秀俊、松坂桃李、瀬戸康史、遠藤憲一、小林隆、坂東彌十郎、戸塚純貴、宮澤エマ、三谷監督が出席した。
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本作は、『記憶にございません!』(19)以来5年ぶり、映画監督作品としては9作目となる三谷監督の最新作。突然行方をくらませた大富豪の妻、スオミ(長澤)。スオミの失踪を知り、夫が住む豪邸に集結したのは彼女を愛した5人の男たち。彼らが語るスオミのイメージはそれぞれ見た目も性格も、まったく異なるものだった。一体スオミの正体とは?一つの屋敷を舞台に、三谷監督の真骨頂とも思えるサスペンス・コメディが繰り広げられる。
いよいよお披露目の日となり、会場から大きな拍手で迎えられた豪華メンバー。主演を務めた長澤は「もうすぐ台風が来るかもしれないという時に、皆様ありがとうございます」と感謝しきり。「ミステリーコメディということで、この映画がどんな映画なのかというのがまだまだわからないこともたくさんあるかもしれません」と笑顔を見せ、「スオミという女性が行方不明になり、5人の夫がスオミを捜します。それ以上はなかなか言えない。映画館でぜひ確認してもらいたいと思えるような、楽しんでもらえる作品に仕上がっています」とアピールした。
「ちょうど1年前のいまごろ撮影をしていた」と切りだした三谷監督は、「こんなにステキな、力のある俳優さんたちに集まっていただいて、作品をつくることができて本当に幸せです」としみじみ。「もうこのメンバーで劇団を作って、地方をまわりたい。もしくは今後の僕の映画、ずっとこの人たちでやりたい」と周囲の笑いを誘いつつ、「それぐらい僕は幸せな気分です。最後の壮大なミュージカルシーンまで、存分に楽しんでいただきたい」と力を込めていた。
本作を観た感想に話が及ぶと、「自分のシーンよりも、自分がいなかったシーン」が印象に残っているという長澤は、「5人の夫たちがわちゃわちゃとやっているシーンは、観客として楽しんじゃいました。これは、スオミを取り巻く人たちの物語。その会話劇ややり取りに注目してもらいたい。本当に個性あふれる先輩方に囲まれていたんだなと思う」とオススメした。長澤は、松坂演じる怪しげなYouTuberの十勝左衛門(とかちざえもん)もお気に入りだそうで「十勝左衛門ってすごい名前」と率直な印象を口にして、これには松坂と会場も大笑い。長澤が「十勝左衛門はかなり癖がある人物として出てくる。私は結構、十勝左衛門は注目のキャラなんです」と明かすと、松坂は「ありがとうございます」と照れ笑いを見せていた。
神経質な警察官、草野役を演じた西島は「スオミの夫たちはライバルではあるんですが、不思議な多幸感に満ちた映画」と本作を分析。「サスペンスなのでドキドキするんですが、映画を観ていると常に幸せな気持ちになる。最後には、かなりすごい多幸感のある映画。なんだか幸せになったなという感じで、観終わった」と魅了されていた。草野の有能な部下、小磯役の瀬戸は「ワイヤーアクションは人生初でした」と告白。「これだけのアクションができるんだという喜びがありました」と続けると、西島が「あの飛び方は、世界でもないと思う」、長澤も「速度もかなり出ていた」と楽しそうに証言。瀬戸は「あれはかなり興奮しました」と話していた。
キャスト陣の誰もが、本作や撮影現場について話すのが楽しくて仕方がないといった様子だったが、三谷監督は「この映画はオリジナル作品です。原作もないし、アニメの実写版でもないし、テレビドラマのスピンオフでもない。本当にオリジナルです」と力強くコメント。「ここにいる皆さんが世界で最初に、この物語に接する方々になります。多分、そういうオリジナル作品が力を持ってたくさんの人を呼ぶことになると、日本映画はもっともっと力を持ってくるんじゃないかなと思う。皆さんがこれからの日本映画を引っ張っていく最初の人たちになります。ぜひ楽しんでください」とオリジナル作品の重要性について触れた。
三谷監督が「舞台のような映画を作りたかった」という思いを胸にして、臨んだ本作。長澤は「舞台をやる時には、観る人も一緒に作品づくりをしている、その空間を作っている人だという話をよく聞くことがあります。今回の映画はまさに、そういう感じなのかなと思います。みんなで映画を育てて、映画を作っていく。その一員になってくれたら、うれしいなと思います」と呼びかけた。三谷監督も「コメディというのは、まだ映画ができても完成とは言えない。お客さんの笑い声がそこに重なって初めて、完成する。今日初めて、『スオミの話をしよう』は完成することになります。いろいろな笑いを体感していただきたい。観終わったらそこで初めて、この映画が完成すると思っていただけると幸いです」と熱を込め、大きな拍手を浴びていた。
取材・文/成田おり枝
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