8月26日(月) 19:00
8月18日(日)、ビルボードライブ横浜にて「Birthday Boy in Billboard Live」が行われた。
8月20日の森崎ウィンの誕生日に先駆けて行われたライブ。8月16日にはビルボードライブ大阪でも行われた本公演。締めくくりとなるビルボードライブ横浜での2nd公演の模様をレポートする。
ライブ会場は数多あるが、ビルボードというとまた特別だ。そんな特別な場所で、特別な時期に行われた森崎ウィンのライブ。Crew(ファンの総称)のワクワクもより大きいものとなっていたはずだ。
楽器隊が入場すると、もうまもなく始まる、という期待感がより一層高まる。照明が暗くなり、響く軽快なリズム、会場から自然と発生する手拍子。そんな音に迎えられるようにしてて森崎が客席に登場した。「みなさん、こんばんは!」と笑顔でご挨拶。大きな拍手が湧き起こった。
1曲目を飾るのは「L-O-V-E(Nat King Cole)」。笑顔で歌いながら、ゆっくりと客席を歩き、その姿をCrewたちも輝く表情で見つめる。
ステージに辿りつくと「Fly with me」へ。いつものライブではサビ部分で客席も一緒になって踊る楽曲だが、この日は座ったままでCrewたちも体を動かす。森崎は「初めましての方はクラップでもいいですからね」と気遣うが、客席が思い思いに体を動かしている姿は、この空間を楽しんでいることを感じさせてくれる。
ビルボードでは飲食をしながら音楽を楽しむことができる。客席にも「ゆっくり楽しみながら、でも俺のことも見て!」と言って笑いを呼びつつ、「Perfect Weekend」を。ここでは一部のメロディを客席に委ね、歌ってもらう場面もあった。森崎の歌声に耳を傾けるだけでなく、ライブ会場さながらに積極的に楽しんでいこう、という気持ちが伝わってくる。
3曲を終えて、改めて会場のCrewたちへごあいさつ。この公演では配信も行われているということで、配信用のカメラに向かっても笑顔を見せた。
バンドメンバーを紹介したところで、「WonderLand」と「Me, Myself and I」を続けて披露。「Me, Myself and I」では自然と手拍子が沸き起こり、森崎も気持ちよさそうに歌い上げる。
MCでは「僕も一緒に乾杯してもいいですか?」とグラスを手にする。「かんぱーい!」とグラスを掲げると、グラスが触れ合う音、「おめでとう!」の声が客席から飛ぶ。誕生日祝いもあって、いつもよりハッピームードも高めなのは、気のせいではないはずだ。
そんなビルボードでの公演がラストということを惜しみつつ、今日、初めてライブに来た人もいるということで、改めて自己紹介も。
ニコニコしながら話し、ビルボードという会場への思いについても語る。
「ビルボードでライブしたいという思いがあって、目標のひとつでもあったんです。そこでライブをするということで、普段とは違う形でお届けしたいな、ということ。あとはやっぱりみなさんとの距離が近いじゃないですか。だから音楽の粒をみなさんのところに降り注がせようかな、と」。音のひとつひとつをしっかりと届けたい、という想いを口にした。
大阪のビルボードでもライブを行ったが、「ビルボード合うね」という言葉ももらったそうで嬉しそうに笑顔を見せる。
ミャンマー出身で10歳のときに日本に来た、という自身のルーツについても触れ「24年もいればこれぐらい日本語も話せるようになるわな、っていうのもあって、だいぶ言葉も覚えました(笑)。たまに何を言っているのか分からないときがあるんですけど、そこはご愛敬っていうことで。……自分で言うな、ってね」と笑顔で言いつつ、「僕はトークもおもしろいって話題になってるんですよ」と笑いを交えて、トークを繰り広げていく。
「あなたの言葉を聞かせて」優しいコール&レスポンス特別な日に、特別な場所で行われるライブということで、「今日しか見られないライブを見せたい」「こんなウィンもいるんだなと見てほしい」と語る森崎。
次に届けるのは、「せっかくなのでカバーをやらしていただこうかな、と」。
誰のどの曲か。曲名を言わなくても分かると思う、と言って披露したのはMISIAの「Everything」だ。本当に、言わずと知れた名曲だ。圧倒的な歌唱力、でも柔らかく、包み込むような歌声。「音楽の粒」という言葉を使っていたが、まさにその粒がひとりひとりのところに届くような気がする。
そしてそのまま、自身の楽曲「My Place, Your Place」を。今度は、まるでひとりひとりに歌いかけるように。歌詞である「そしてあの台詞を言うよOK?」と問いかけると、会場からは大きな「OK!」というレスポンスが。微笑み、「ボクを信じて」と歌いかける。ラストはロングトーンを響かせると、バンマスとハイタッチ。「めっちゃ楽しいね!」と笑顔を見せた。
MCでは、まずカバー曲の「Everything」について。
2019年に、BS朝日の「My Anniversary SONG」という番組で歌ったことがあるという。そのときはアーティストのKのピアノ伴奏と共に歌唱。今回は5年ぶりの披露となった。「カバーはすごく緊張する」としつつ、「僕は自分もアーティストをやっている身としてこれからも精進していきますので、今後もご期待を!」と今後、新たなカバー曲も聞けそうな、そんな楽しみになる言葉も口にした。
そして話題は、ミャンマーで過ごしていたころについて。ミャンマーで住んでいたときは、おばあちゃんと住んでいた、と。
おばあちゃんは音楽が大好きで、洋楽も、ミャンマーポップスも好き。運転もするおばあちゃんと、金曜の夜は外に食事に行ってそのまま帰りはちょっとドライブして帰ったりしていたという。
「僕の特等席は助手席で。いつのまにか寝ちゃったりして、でもその隣でおばあちゃんは大合唱です。いろんな曲を歌いながら。たまに音楽に入り込みすぎて、1人で泣いたりするんですよ」感情忙しいなと思っていたという、当時のウィン少年。
「そんなおばあちゃんのもとで育ちまして。おばあちゃんは僕よれ先に起きるんですね。掃除とかもしながら。そして、大体この曲を歌いながら『起きて!』って起こされるんですけど、それがこんな曲なんですけど知ってるかな」と披露したのは、マドンナの「Like A Virgin」、曲中に「Singin' in the Rain」が掛け合わされるアレンジになっており会場には爽やかな風が吹き込む。ラストは傘をさす、という演出も(このあと、傘はスッとスタッフに回収されていった)。
続けて、手拍子が響く中、「U」を披露。「あなたの言葉を聞かせて」と歌い、Crewたちは「ウィーン!」と声を発する。優しいコール&レスポンスに、会場は温かな空気に包まれていく。
グラスを傾けつつ、「楽しんでますか!」と呼びかけると、Crewからは大きな拍手が。
「U」について触れつつ、間もなく行われるライブツアー「MODULATION」の話題へ。
「いろんなアレンジを加えながらも、もとの楽曲の良さはなくさずに、変化を入れつつ、ライブでしか聴けない音楽というものを、違う角度で作っていきたい」という次回のツアー。見るものによってそのときの居方も変わる、と言い、「もしかしたらみなさんも新しい自分に出会えるようなライブになるんじゃないかなと思います」。
「どのように変わるかはおまかせしますが、新しい自分にも会えるようなライブになったらいいな、という想いを込めて作っていますので遊びに来てください」と期待を掻き立てた。
ちなみに、ツアーではUSBをグッズで出すそうで、ビジュアルもかわいく、このUSBにしか収録されないスペシャルコンテンツもあるという。熱くグッズについても語っていた森崎が印象的だった。
続いて森崎が担当している関西電力のCMソング「Twinkle Twinkle Little Star」、オリジナル曲「Dear」を届けたあと、「昨日さ……」とナチュラルに話し始めるウィン。大阪でのビルボードの公演が終わったあと、マネージャーたちとジョギングをした話や、新しく試してみた体のケア方法について自然体で話す。Crewと久しぶりに会ったこともあり、話したくて仕方がない!という気持ちがあふれ出しているようだ。「こういう近況報告をするのも、私のライブの醍醐味!」とにっこり。
そして、「もうあと2曲で終わり!?早!!」と驚きの表情を浮かべる。「もう1曲ぐらい盛り上がる曲があるかと思ってた」とつぶやきつつ、改めて、誕生日間近のタイミングに、ビルボードでライブができたことについて感謝の気持ちを伝えた。
笑顔でトークを続けていた森崎だが、これから歌う2曲について話を始めると、表情は真剣なものに。
披露するのはベリンダ・カーライルの「Heaven Is A Place On Earth」だ。
世界ではこの数年、さまざまなことが起こっている。一概に何が悪いとは言えない、でも、ひとつだけ強く言えることがあると。それは「なぜ人の命を奪うような行動が起きるのか」ということ。この地球上で一緒に生きている人たちなのに、どうして。同時に「俺ってこんなに無力なんだ、と思ったこともありました」。
しかし、ライブをし、Crewと会い、改めて気がついてこともあるという。「エンタメがあるじゃん」。
「今すぐ何かを変えることはできないかもしれないけれど、願い続けることはとても大切だと思うんです」
自分自身がエンタメで届けられる想いがある。それが何かを変えるかもしれない。救える人、心があるかもしれない。そんな気づきは、心を強くする。
「エンターテイメントは人を救う力があると信じて」そんな想いも込めて、「Heaven Is A Place On Earth」、そして「今日この瞬間を覚えていてほしいな、という想いを込めて」と「Remember Me」を届けた。
「こうやってCrewと一緒に過ごす瞬間が僕にとってはかけがえなくて、愛おしくて、儚くて、ずっとこのまま続けばいいな、と思いながら、また会える日を楽しみにしている自分がいたりして。だから、すぐまた会いましょう」
全13曲を終えて、ジャケットを肩にかけ、ワイングラスを片手に立ち去った森崎だったが、すぐに大きな拍手に呼ばれて登場。そんなウィンに会場から「Happy Birthday Song」が贈られた。さらに、バースデーケーキプレートのプレゼントに「マジで!?」と表情をほころばせる。プレートを手に、ワンショットの記念撮影をし、幸せそうな表情を浮かべた。
アンコールには「願っていることはたったひとつ。早く、世界が平和になって、手を取って、いろんなところでいろんな景色を見て笑い合える日が来ること」……そんな願いを込めて「What a Wonderful World 」。さらに「Love in the Stars -星が巡り逢う夜に-」と続けた。
エンタメに、歌に込められた森崎の想い。それはきっと、会場、配信で観ていたCrewに届いたに違いない。
アンコールを終えたあとも、客席からは拍手は大きくなるばかり。
その拍手に応えるようにして、もう一度だけ姿を現した。嬉しそうな笑顔に、拍手への感謝が溢れていた。
軽快なトーク、最高の歌声、そして強い願い。森崎ウィンのビルボードでの公演は、Crewたちにとって、忘れられない時間になったのではないだろうか。
次は8月31日(土)~東京、大阪にて行われる『MORISAKI WIN LIVE TOUR ~MODULATION~』が控えている。ますますパワーアップしていく森崎ウィンの歌声に酔いしれたい。
『MORISAKI WIN LIVE TOUR ~MODULATION~』チケット発売中
https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventBundleCd=b2450526
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取材・文/ふくだりょうこ、撮影/安井 宏充