朝ドラ『虎に翼』25歳俳優が子役時代から見せていた“芸達者ぶり”。人気ゆるキャラのテーマ曲まで

『虎に翼』©︎NHK

朝ドラ『虎に翼』25歳俳優が子役時代から見せていた“芸達者ぶり”。人気ゆるキャラのテーマ曲まで

8月22日(木) 8:46

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かつての子役が、十分大人になった姿で登場してくれると、何だかそれだけでうきうきしてくる。

『虎に翼』(NHK総合)に出演する今井悠貴はまさにそんなひとり。うわぁこんなに大きくなったんだなと感嘆しながら、子役時代の出演作を思い出して懐かしくなる。

イケメン研究をライフワークとする“イケメン・サーチャー”こと、コラムニスト・加賀谷健が、かつての子役俳優・今井悠貴について解説する。

役柄と俳優自身が重なるダブルミーニング



『虎に翼』第20週第96回から主人公・佐田寅子(伊藤沙莉)が、中学生になった娘・優未(毎田暖乃)を連れて新潟から東京に戻ってくる。登戸の実家では、無二の親友で義姉でもある猪爪花江(森田望智)が鼻歌るんるんで夕食を作りながら寅子たちの帰りを待っている。

久しぶりの一家団らん。でも、顔ぶれがちょっと違うぞ。猪爪家の構成員が変わったわけではない。花江の長男と次男がそれぞれ大学生、高校生に成長している。合わせて子役たちも変わっている。

注目は、次男・猪爪直治を演じる今井悠貴だ。ギラッと輝く目と中太くらいの眉毛、それから終始にやけたような愛くるしい表情のこの俳優を見て、無性に懐かしさ感じる。それは役柄と俳優自身の成長が重なるダブルミーニングとしての懐しさだ。

かつての子役によるヒット曲



「もっこりもっこり まりまりもっこり……」

記憶の奥からこのメロディと歌詞が引っ張り出される。ご当地から空前のブームになった北海道のマスコットキャラクター「まりもっこり」のテーマソング「こりこりまりもっこり」だ。

3人組の小学生ユニット「CORICORI」による同曲がリリースされたのは2008年。今井はゆうキングと称してセンターで歌い踊った。

かつての子役ヒット曲なら、芦田愛菜と鈴木福のユニットが歌った「マル・マル・モリ・モリ」が2011年リリース。曲名の響きがよく似ているが、「こりこりまりもっこり」には可愛らしさだけでなく、独特なご当地感と中毒性のあるキャラの魅力が潜在意識に働きかけてくる刺激があった。

その刺激をメンバーの中心で体現する今井は、当時まだ小学3年生だった。子役とは、総じてませた存在感の持ち主だが、今井の場合は変に装飾されていない人懐っこさが朗らかでもあった。

須賀健太とのツートップ子役時代



「こりこりまりもっこり」がヒットする前からすでに注目されていた。リリースの前の年、2007年5月に公開された『パッチギ!LOVE&PEACE』では、骨太な井筒和幸監督作品の世界に大人俳優顔負けですっぽりはまりこんでいた。

同年8月に放送された『はだしのゲン』(フジテレビ)に弟役で出演したことで、「あのときの子役!」と広く人々が記憶するきっかけになったかもしれない。公開年が近い映画作品だと『ALWAYS 三丁目の夕日』(2005年)がある。同作の須賀健太も一時代を象徴する子役だった。

2000年代中頃から後半にかけては、須賀健太と今井悠貴のツートップ子役時代と区分してもいいかもしれない。時代が少し下って2011年公開の『白夜行』では、高良健吾の子ども時代を演じ、船越英一郎もどきりとした様子の寒ざむしい表情を暗がりに浮かべていた。陽も陰も使い分ける。息の長い芸達者ぶりである。

猪爪家が輩出する初めてのミュージシャン



同時代で見てきた視聴者にとっては、『虎に翼』の直治役での登場はそれなりに胸が熱くなったのではないだろうか。なにせ初登場からかなりインパクトがある。

高校3年生になった直治はサックスにのめり込んでいる。いつでもどこでも吹いて、誰かに聴かせたくてうずうずしている。寅子と優未の帰還を祝う夕食では、一興としてさっそく披露する。甥っ子の演奏を聴く寅子もにっこにこでうきうき。

猪爪家が輩出する初めてのミュージシャンでもある。有名なプレイヤーになるんだと夢であふれる。いいぞいいぞ。目指せジャズメン。寅子に応援された直治が「俺にはわかってたよ」とへらへらするのは、戦死した父・猪爪直道(上川周作)ゆずりの茶目っ気だろう。確かにあの父からジャズメンが生まれるのはうなづける。

サックス奏者の卵としては合格



第96回のナレーションでも説明される通り、1950年代は、朝鮮戦争による戦争特需で日本経済は活気づく。繁華街にはナイトクラブがオープン。ジャズメンたちが腕を競いあった。

1953年に結成されたジャズバンド「ビッグ・フォー」のジョージ川口は当代一の名ドラマーとされ、父の川口養之助はサックス奏者だった。1956年には現在94歳のジャズレジェンド穐吉敏子が、日本人で初めてバークリー音楽院に留学した。

ジャズの黄金期にサックス奏者を夢見たのが直治なのだ。サックス奏者というのはどこか飄々としてユーモラスな人が多い。筆者が所属するクラシック音楽のプロダクションでもちょっと落語家っぽい独特の話し方で軽妙に世を渡る名手がいる。

かつて「こりこりまりもっこり」を歌っていた今井が、25歳でサックスを吹く若者を演じれば自然とユーモラスになる。直治を見ていると、彼の演奏レベルの良し悪しは現時点ではどうあれ、サックス奏者の卵としてあの雰囲気は合格だなと。

<文/加賀谷健>

【加賀谷健】
音楽プロダクションで企画プロデュースの傍ら、大学時代から夢中の「イケメンと映画」をテーマにコラムを執筆している。ジャンルを問わない雑食性を活かして「BANGER!!!」他寄稿中。日本大学芸術学部映画学科監督コース卒業。Twitter:@1895cu

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