【写真】涼やかな赤のワンピース姿でイベントに登場した菅野美穂の全身ショット
8月22日に47歳を迎えた菅野美穂のキャリアは、第一線で活躍し続けるタレントとして理想的かもしれない。すでに30年にのぼる菅野の俳優業での軌跡は、どんな世代にも共感を呼び起こすポイントが詰まっている。
■「イグアナの娘」で連ドラ初主演
「イグアナの娘」(1996年、テレビ朝日系)、「アルジャーノンに花束を」(2002年、フジテレビ系)、「働きマン」(2007年、日本テレビ系)、「坂の上の雲」(2009年ほか、NHK総合)、そして最近では「ゆりあ先生の赤い糸」(2023年、テレビ朝日系)など、菅野の出演作を思い浮かべると、世代や時代によってさまざまなものがあるだろう。ただ菅野の芸能界での第一歩は、バラエティー番組「桜っ子クラブ」(テレビ朝日)でのグループアイドル「桜っ子クラブさくら組」の経験。もう菅野にアイドルのイメージはないかもしれないが、1991年から94年まで活動した。「アイドル冬の時代」といわれる当時において、さくら組は菅野や中谷美紀、加藤紀子、持田真樹ら後のスターを多く輩出したグループだった。
1990年代にはその勢いのまま95年の連続テレビ小説「走らんか!」(NHK総合ほか)で主人公の恋人役、96年の初主演ドラマ「イグアナの娘」がやってくる。放送当時18歳で青島リカを好演した菅野にとっても、母のゆりこを演じた川島なおみさんにとっても代表作の一つになった。
萩尾望都氏による原作マンガは1話完結の短編であり、母と娘のモノローグを軸に淡々と進むが、ドラマではリカと、幼なじみの昇(岡田義徳)らドラマオリジナルのキャラクターとのエピソードが加わって、気丈に成長していく。菅野の生来の愛らしさに真に迫った演技が加わって、視聴者が絶対的に応援したくなるヒロインになった。それからも90年代にはゴールデン帯ドラマに引っ張りだこの売れっ子俳優になる。
だが菅野は、アイドル的な世間評に安住しない。2度目の朝ドラ出演になった2001年の「ちゅらさん」での役柄は、主人公の恵里(国仲涼子)が沖縄から上京して暮らすアパートの住人・城ノ内真理亜。黒い服ばかり着ていて毒舌な真理亜は、国仲の恵里と正反対の性格であり、主人公よりちょっと年上の、変わっているが頼もしいお姉さん。現代なら恵里と真理亜の“バディ感”に、もっと人気が出そうな名キャラクターを表情豊かに演じた。
■「大奥」で時代劇初主演&結婚
2003年にはその後幾度となくドラマ化されるフジテレビ版「大奥」第1作で時代劇初主演。演じたのは将軍・徳川家定の正室(御台所)の天璋院篤子。篤子は本作で知名度が上がったのもあるのか、2008年には宮尾登美子氏の小説「天璋院篤姫」が「篤姫」(NHK総合ほか)として大河ドラマ化された。
2013年4月には映画「大奥〜永遠〜[右衛門佐・綱吉篇]」(2012年)で共演した堺雅人と結婚。劇中で女将軍・徳川綱吉(菅野)と右衛門佐(堺)の主従関係にあった堺は、「篤姫」で徳川家定役を務めたという縁づくしのカップル誕生でもあり、私生活でも二児の母になった。
さらに新たな印象を示したのが、初めてディズニー映画の声優を務めた「ベイマックス」(2014年)だった。同作は主人公の少年・ヒロとケア・ロボットのベイマックスが活躍する近未来SF3Dアニメで、菅野はヒロの叔母でヒロの育ての親でもあるキャスの日本語版吹き替えを担った。2014年の劇場版では若々しくも、ヒロを見守るしなやかで包容力のあるボイスが特徴的だった。
2022年にディズニープラスで配信されたドラマシリーズでは、キャスは第1話で主人公級の活躍を見せている。元気にカフェを経営するも足をけがしてベイマックスに助けられるが、とにかく表情豊かでエネルギッシュ。ヒロの庇護者である以上に、キャス自身も応援したくなる性格だ。菅野はこのキャスの前向きさを、喜怒哀楽豊かなボイスで素直に表現しており、2014年版よりもチャーミングですらある。さらに6話でもヒロたちと一緒に街に繰り出してベイマックス捜しに協力し、印象を残した。
3度目の朝ドラ出演の「べっぴんさん」(2016年、NHK総合ほか)では戦前を舞台に主人公・坂東すみれ(芳根京子)の母親・坂東はな役で出演し、全編を通じて語り手役に。「走らんか!」での高校生から多感な大人の女性、主人公の母と、菅野自身のライフステージに伴って朝ドラでの役柄も変わってきた。
2023年の主演ドラマ「ゆりあ先生の赤い糸」では、父親譲りの愚直な性格で、「カッコよく生きる」が座右の銘の主婦・伊沢ゆりあ役を務め、夫の介護や若者との思わぬ恋に奮闘する姿を見せた菅野。2024年6月に公開された映画「ディア・ファミリー」では、大泉洋演じる主人公・坪井宣政を献身的に支える妻役を務め、多くの観客の涙を誘った。
10代からアラフィフまで、彼女の俳優デビューからの軌跡は、世に生きる人々の成長や人生ともリンクしている。だからこそ、いつも輝いているし、応援したくなるのだろう。
◆文=大宮高史
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