レトロ遺産を掘り返す山下メロ氏
記憶の扉のドアボーイ・
山下メロ
です。記憶の底に埋没しがちな平成時代の遺産を今週も掘り返していきましょう。
平成の初め頃、原宿・竹下通りを中心としたタレントショップがにぎわいましたが、バブル崩壊後に減少していきます。そんな時期に、なぜか「魔よけになる」として女子高生を中心に人気になったタレントグッズがありました。それは、演歌歌手・天童よしみさんのキーホルダーです。
天童よしみさんといえば幼少期にアニメ『いなかっぺ大将』の主題歌を歌っていたことが有名ですが、特に大ヒットした楽曲が平成8年に発売された『珍島物語』。最終的には130万枚を売り上げるロングセラーとなり、歌番組だけでなく、バラエティ番組やCMへの露出も急増。演歌ファン以外への認知も広がりました。
「よしみちゃんキーホルダー」に便乗しつつ「天然ボケ除け」「デブ除け」と独自要素を追加した無許諾品
そして平成10年に発売されたのが、天童よしみさんを2頭身フィギュア化した「よしみちゃんキーホルダー」。先にも言いましたが、なぜか「魔よけになる」と女子高生の口コミで人気に火がつき、彼女たちがスクールバッグにつけるために買い求めるなど爆売れ状態でした。
あまりに品薄になり、海賊版が売られ、便乗した平面キーホルダーが作られたりするほどの社会現象を巻き起こしたのです。
デュエット曲のジャケ写、それぞれの人形を組み合わせる発想が驚き
同じ平成10年に発売された五木ひろしさんとのデュエットシングル『北のともしび』では、なんとジャケットに2頭身キャラが登場。五木ひろしグッズのぬいぐるみと共演しており、歌手本人不在で人形2体だけという世にも珍しいジャケットデザインでした。
カセットテープに付属されていた人形
さらに「よしみちゃんキーホルダー」はその後、マイナーチェンジされつつ何度もカセットテープやCDの特典として続いていきます。平成21年には新型インフルエンザの流行を受けて1000体を無料配布。さらに令和になっても新バージョンが作られるなど今なお重要なタレントグッズです。
そもそも当時の女子高生に魔よけアイテムが必要だったのかどうなのか......。しかしトロール人形もしかり、おまじない的アイテムが求められていたのは確かでしょう。
撮影/榊 智朗
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