プロフェッショナルへのあこがれ『がっちりマンデー!!』/テレビお久しぶり#112
長らくテレビを見ていなかったライター・城戸さんが、TVerで見た番組を独特な視点で語る連載です。今回は『なぜ君は筋トレをしていないのか?』(BSテレ東)をチョイス。
■辛くなりたくないからです、、、『なぜ君は筋トレをしていないのか?』
マヂカルラブリー・野田クリスタルが、ただ筋トレをし、メシを食らうという超ストイックな番組『なぜ君は筋トレをしていないのか?』。私は筋トレにはまったく興味がないどころか、0kg、果ては0人になりたいとすら思っているモヤシなので、なぜ君は筋トレをしていないのか?と問われれば、はい、辛くなりたくないからです!と元気よく答えよう。辛くならないようにするというのは、私の人生における一貫したテーマであるのだが、そんな私とは真逆な、自らの筋肉に負荷をかけ、肉体を鍛えて、心身の健康を促進しようという人もたくさんいる。本作は、そういった”筋トレ愛好家”たちへと完全に照準を絞った番組であると言えるだろう。
階段の上り下りを過度な運動と捉えているような私はまったくもって門外漢な番組ではあるのだが、いざ見てみると、これがなかなか面白い。野田クリスタルが、ジムでひたすら筋トレをするだけという、その単純さが、だんだんとこちらを高揚させてくるのだ。野田クリスタルは、筋トレで疲れ果てた身体をもってして「気持ちいい」と声を上げるのだが、確かに、筋肉を育てるために負荷を与え続る、という筋トレという行為において、身体の悲鳴という、筋肉の成長を裏付ける証左は、さぞ気持ちのいいものだろうし、苦しみを乗り越えたという精神面での自信にも繋がるだろう。筋トレの魅力はもちろん、愛好家が周りにも筋トレを勧めたくなる理由がよくわかる。自らの肉体そのものを成長させる喜びというのは何にも代えがたいはずだ。
私はつい最近、友人宅にあったダンベルを適当に持ち上げて遊んでいたら、その翌日から数日間、腕が終わった。マジで何もできない!というほどの筋肉痛に襲われた。本当は、ダンベルを持ち上げた瞬間、二の腕のあたりで、何かが終わる音が聞こえていた。「あっ」と思ったが気丈に振舞った。箸を持つのもダメージだった。自身のか弱さに辟易するものの、筋肉痛が発生したということは自分にも筋肉があるのだ、という謎の自己肯定感を覚えたりもした。それほど、私の二の腕は細いのである。
ハードな筋トレを終えた野田クリスタルは、ジム近くのステーキハウスにて、フィレステーキをむさぼる。それを見て私もステーキが食べたくなり、早くこの原稿を書き終えて家を出たいと思っているところ。筋トレはマネしないくせに、メシはすぐにマネしようとする。この貧弱な精神が、私の二の腕をどんどん細くしているのだろう。
■文/城戸
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