映画「箱男」に主演した永瀬正敏と共演の浅野忠信、白本彩奈、佐藤浩市、そして石井岳龍監督が27年前の悲劇や石井組の裏側エピソードを語るスペシャル座談会映像が公開された。
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【動画】「箱男」スペシャル座談会動画<前編>
「壁」「砂の女」などで知られる日本を代表する文学者・安部公房氏が1973年に発表した原作小説は、幻惑的な手法と難解な内容のため、映像化が困難と言われており、ヨーロッパやハリウッドの著名な映画監督が原作権の取得を試みたが、許諾が下りず、企画が立ち上がっては消えるなどを繰り返していた。
最終的に安部氏から直接映画化を託されたのは、「狂い咲きサンダーロード」「蜜のあわれ」「パンク侍、斬られて候」を手掛けてきた鬼才・石井監督。安部氏からの「娯楽にしてくれ」というリクエストのもと、97年に製作が決定し、石井監督はドイツ・ハンブルグで撮影を行うべく現地へ向かったが、不運にもクランクイン前日に撮影が突如頓挫。撮影クルーやキャストは失意のまま帰国することとなり、幻の企画となっていた。
“安部公房生誕100年”にあたる2024年、映画化を諦めなかった石井監督のもと、27年前と同じ永瀬正敏を主演に配し、同じく永瀬と共に出演予定だった佐藤浩市が参加。さらに、浅野忠信、数百人のオーディションで抜擢された白本彩奈らによって映画化が実現した。
スペシャル座談会では、本作を語る上で避けることのできない27年前の悲劇について触れられる。何をしていたか、どうやって帰ってきたか、記憶が全くないという石井監督。映画化中止が決まった後に“また会おう”という意味でお別れ会が開かれたことが明かされ、それが「(ドイツで)唯一楽しい思い出」だと語る。
27年前、主演の永瀬とともに出演予定だった佐藤は、意気消沈する日本のスタッフを励ますように、ドイツ人のスタッフたちが「いいじゃないか、やっちゃおうよ!」と気概を伝えてくれたことが鮮明に印象に残っているという。
一方、主演を務める予定だった永瀬は、帰国後もしばらく企画頓挫の事実を受け止められず、あまりのショックに食べ物がのどを通らなかったと告白。40年以上の俳優人生で「後にも先にも一度切り。初めて入院をしました」と明かした。
永瀬は今回の映画化で初参戦した浅野について、「彼(浅野)はリミッターの外し方が半端じゃない」と絶賛。「リミッターの外し方が中途半端だと石井監督には見破られてしまうから、振り切らなければならない。だからこそ、毎回(どういう掛け合いになるか)ワクワクしていましたね」と、勝手知ったる石井組の厳しさと、撮影の楽しさについて言及した。
スペシャル座談会映像は前編と後編に分かれ、後編ではそれぞれが演じた役柄や、印象に残っているシーンについてトークが展開される。
「箱男」は、8月23日から新宿ピカデリーほかで全国公開。
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箱男
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