広末涼子、約25年ぶりライブ決定も「あれは10代だったから歌えた歌」拭えない“不安要素”

広末涼子Instagramより

広末涼子、約25年ぶりライブ決定も「あれは10代だったから歌えた歌」拭えない“不安要素”

8月10日(土) 8:51

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およそ25年ぶりのライブ開催を発表

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広末涼子がおよそ25年ぶりにライブを行います。場所は12月9、19、20日に丸の内コットンクラブで、自身のヒット曲とカバー曲で構成する1時間ほどのセットリストになるとのこと。広末は「ありがとうの気持ちを届けたい」と意気込みを語っています。

ところが、世間の反応は冷ややかです。“役者やタレントの仕事がなかったから歌になっただけでは?”とか“どんどんイメージが悪くなっていく”と、痛々しさすら感じているようです。また全席指定12800円という価格設定にも、“たった1時間なのに?”などと疑問の声が。

鳥羽周作シェフとの不倫騒動以来、悪化したイメージが回復していない状況がうかがえます。根強い拒否感に加え、長い歌手活動のブランクも心配なところ。

というわけで、再起をかけた広末涼子の音楽活動について考えてみたいと思います。

極めて少ない「歌手としての経験値」が不安だが…

2020年に配信シングル「キミの笑顔」をリリースしているものの、ライブはおろか音楽番組でも長らく生歌は披露していません。

もともと歌唱力が売りだったわけではなく、ノドがしまって窮屈に聞こえる声質も音楽向きとは言い難い。加えて、芸能キャリアの長さに比べて、歌手としての経験値が極めて少ないことも不安材料です。残念ながら、苦しい声のまま、声量に乏しく不安定な歌になる可能性がかなり高いと言わざるを得ないでしょう。

ただし、長いブランクで声を酷使していないのは良い点です。今回のライブに向けてトレーニングを積んで、当時を上回る歌を披露できたとすれば世間に与えるインパクトも大きいでしょう。業の深い広末ならばそれぐらいやってくれそうだという期待感もあります。

もしライブが成功すれば、多くのヒット曲があるので、音楽番組への露出も増えていきそうです。

「あれは10代だったから歌えた歌」

そこでもう一つの問題が出てきます。そのヒット曲が、いずれも若い、もっと言えば幼い曲だということです。2019年の『テレ東音楽祭』で国分太一から「いまも自分の曲を歌う?」と聞かれた際に、広末自身が「絶対歌わないです」、「あれは10代だったから歌えた歌」と答えるシーンがあったのを覚えています。

もちろん時間や状況によって考えが変わることもあるでしょう。また演奏やサウンドをリアレンジして、40代の解釈による「MajiでKoiする5秒前」を作ることも不可能ではありません。

それでも一連のヒット曲は、鮮烈な10代の広末涼子のイメージのみと強烈に結びついてしまっています。

たとえば同じように一世を風靡したアイドル歌手に薬師丸ひろ子がいます。彼女のヒット曲は時の流れに耐えうる、どんな年齢の人も歌える深みがあります。

<さよならは別れの言葉じゃなくて再び逢うまでの遠い約束>(「セーラー服と機関銃」詞・来生えつこ)と、<子供じみた趣味だとあなたはからかうけどふたりで写すプリクラは何よりの宝物>(「MajiでKoiする5秒前」詞・竹内まりや)とを隔てる距離はあまりにも大きい。

もちろん、これは作者の問題ではなく、時代や社会情勢が求めるスターの性質が異なるので作風も大きく変わってくるという意味です。

歌手活動復帰に否定的な声が多い理由は…

いずれにせよ、広末も認めているように、彼女のヒット曲は消費期限はおろか、賞味期限もゆうに超えてしまっているのです。不倫とかけてネタ的にこすられてバズるのが関の山でしょう。

だから、カバー曲も交えたセットリストを考えているのだと思いますが、するとふたたび歌唱力の心配が頭をもたげる。自分の曲を上手に歌うよりも、他人の曲を独自の味付けで歌うほうが数倍難しいからです。

曲のチョイスにもよりますが、彼女の歌手のキャリアを考えると、久しぶりのライブでのカバーは相当に高いハードルなのではないでしょうか。

ゴシップによる拒否反応はもとより、広末涼子の歌手活動復帰に対して否定的な声が圧倒的に多いのは、キャリアを通じた音楽的な裏付けがなさすぎると感じているからなのだと思います。

文/石黒隆之

【石黒隆之】
音楽批評の他、スポーツ、エンタメ、政治について執筆。『新潮』『ユリイカ』等に音楽評論を寄稿。『Number』等でスポーツ取材の経験もあり。Twitter: @TakayukiIshigu4

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