reGretGirl×Laughing Hick親和性の高い両者が、素晴らしき化学反応を起こした夜『Grasshopper vol.25』ライブレポート

reGretGirl×Laughing Hick

reGretGirl×Laughing Hick親和性の高い両者が、素晴らしき化学反応を起こした夜『Grasshopper vol.25』ライブレポート

8月9日(金) 18:00

提供:

Text:ヤコウリュウジPhoto:こちろう

8月2日、『Grasshopper vol.25』が東京・Spotify O-nestにて開催された。この『Grasshopper』はチケットぴあの若手スタッフが中心となって次世代を担うバンドをピックアップするイベント。新しい出会いを提示すべく普段は3〜4組のアーティストを招いたイベント形式になっているが、今回は節目となる25回目ということもあり、様々な角度から失恋や思いを伝えることを歌い、聴く者に寄り添いながらロックのダイナミズムを体現するreGretGirl(リグレットガール)、リアルな恋模様を描く世界観が多くの共感を呼んでいるLaughing Hick(ラフィングヒック)によるツーマンとして行われた。これまで大きな接点はなかった両バンドではあるが、ありふれた恋物語ではなく、一人ひとりが自分自身のストーリーに重ねて抱きしめられる曲を歌うこともあり、とても親和性が高い。当日はどこを切り取ってもクライマックスのような盛り上がりで、素晴らしき化学反応が起こった夜となった。

まず登場したLaughing Hickは、ライブハウスという現場から大きな波を起こそうとしているバンドであり、まさに今、それが現実のものになろうとしてるタイミング。ホリウチコウタ(vo/g)、あかり(b)、たいち(ds)の3人がステージに姿を現すや否や、会場中から大きな歓声が上がり、一気に高まる熱気。そんな期待感に応えるべく、クズさを赤裸々に綴ったいかにも彼ららしい「愛してるって」を強烈に響かせていき、3ピースらしいすっきりさがありながらも薄さは感じさせないサウンドで、いきなりフロアをグッと持っていく。

Laughing Hick

ホリウチが「行こうぜ!」と声を上げてから放ったダンサブルなポップチューン「ホンネ」では、あかりも飛び跳ね、ステージ上の躍動感が凄まじい。落とすところはしっかり落とす曲展開も絶妙で、響き方もドラマティックだ。

ホリウチコウタ(vo/g)

全員で最高の空間を作っていこうと問いかけ、「あなたの世界が今よりも少しだけ色づくように」とホリウチが口にして始めたのが「モノクロセカイ」。寄り添いながら、支えになる曲だからこそのバランスも良く、淡々としながらも力強く音を紡いでいく。その余韻を残しつつ、続けることによって観客の集中度がより高まったスローナンバー「さよなら恋人、おかえり恋心」も鮮やかに響いていた。

初めてのライブハウス、初めてのイベント、初めてのreGretGirlとのツーマンということで改めて喜びを爆発させつつ、たいちがカラオケに行ったら必ずreGretGirlを歌うという秘話を披露した後、”踊れるナンバーを”と投下したのが「休憩と宿泊」。怪しいムードをまといながらも、バッチバチに切り替わる曲展開で引っ張り続けるハイブリッドな1曲だ。

あかり(b)

たいちが叩き出すビートに誘われ、観客も高く手を突き上げて応えていくが、まだまだ足りないとばかりに放ったのが「女だから」。欲望と理性と愛情が入り乱れ、友人にさえ話せないような恋愛模様を描写した曲であり、だからこそ感じられる救いがある。あかりとたいちが生むグルーヴ感もあり、観客のジャンプやクラップもより一層激しくなっていき、曲終わりに「よくできました!」とホリウチが叫ぶほどの気持ちいい熱が会場全体を包みこんでいた。

たいち(ds)

そして、終盤に入り壮大なスケール感で響かせたのが「カフェオレ」。祈りを捧げるようなホリウチの歌声、早る鼓動のようなドラムのフレーズ、ストリングスを加えたことでの広がり、大好きな人を大好きなままで手放してしまった沁みるバラードではあるのだが、溢れ出す気持ちがどこまでも熱い。

そこから揺れ動く切なさが、反映されたようにサウンドアプローチが切り替わる。バンドのポテンシャルを感じさせる「カシスオレンジ」を踏み込んで鳴らし、ラストは「Bye-Hi」を観客のクラップにも後押しされながらパワフルにプレイ。熱気と歓声で会場の隅々まで満たされる美しい光景だった。

そんな熱演を受けて立つreGretGirlは、助走なしにまずは新曲「純ラブ」をおもいっきり鳴らしていく。シティポップ的匂いもあるが、そこに彼ら特有の情熱が加わり、他にない仕上がり。平部雅洋(vo/g)の伸びやかな歌声に十九川宗裕(b)のコーラスが重なったときの浮遊感、メリハリの効いた展開やサビの華やかさ、観客をグッと惹きつけるには十分すぎる幕開けだ。

reGretGirl

「よっしゃ!」と平部が大きな声を上げ、地元である大阪を歌った「ルート26」へ。ドライブ感抜群でいつ聴いてもワクワクする曲だ。ワンマンやフェスではサポートメンバーを加えた5人編成でステージに立つことも多いが、ライブハウスで見せる3ピーススタイルは原点であり、まさしく鉄壁。平部、十九川、前田将司(ds)によるトライアングルの揺るがなさがとても頼もしい。そこで生まれた勢いをさらに加速するべく「Shunari」をドロップし、大きく揺らしたり、小気味よく刻んだり、ビートを的確に操ることでどんどん前のめりにもなっていく観客。感情を開放するように叫び、飛び跳ね、平部が思わず「暑っ!」とこぼすほどの温度になっていく。

ここで改めてイベントへの謝辞を述べた後、「8月2日、今日はここは渋谷/Laughing HickとGrasshopper/愛し合いたくて会いに来ました/どうすか、調子?/行けますか、渋谷?」と平部がフリースタイル的口上を決めて始まったのが「ギブとテイク」。ソリッドなギターリフ、しっかり低音も効かせながらフロア全体を持ち上げるパワーがいい。観客もそのグルーヴに身を任せて踊り、さらなる盛り上がりを見せていく。

平部雅洋(vo/g)

いいビート感で前田のフレーズも際立つ「テレフォン」、振り切ることができない失恋を歌い、その後悔や女々しさが心に響く「二色浜」を続けた後、ライブを引き締める存在にもなっていたのが「ダレヨリ」だった。「簡単でホントに単純で、すごくすごくシンプルな思いを」と平部がつぶやき、決して叶わぬ片思いを歌い上げていく。まっすぐにフロアを見つめながら真摯に紡ぐ言葉と音、その深みが思いの大きさを表しているようでもあり、強い感銘を受けるのだ。

そして、もはやアンセムとなっている「tear」を始まる前に、「最近、すげえ凹むことが多くて。思い通りに毎日っていけへんやん。SNSとか見てたらさ、心が痛くなることも多いし。目の前にいないのに簡単に叩けるようになって......いなくなっちゃうヤツとかおるんよね。オレの友達にもそういうヤツがいて、それを思って書いた歌を歌いたい」と平部が曲へ込めた思いを語った後、バンドとしてのスタンスや在り方を伝える姿もまた印象的だった。

十九川宗裕(b)

「自分に託された思いがすげえ大きくなって、潰れそうになってしまうこともあるけど、それでもめげずにいきたいし。いつも周りに支えてくれるモノがあって。ライブもそうやし、きっとLaughing Hickもそうやし、reGretGirlもそうやと思う。音楽に救われるシーンとかいっぱいあると思う。そんなときにさ、そばにおらせてくれよ。そんなときにさ、隣にいてくれよ」(平部)

そんな透き通った情熱を受け取ってから、響き渡る「tear」の温かさと優しさは本当にたまらなかった。全体に投げかけるのではなく、一人ひとりに向けて届く曲。十九川と前田のプレイやコーラスも頼もしく、この3人を信じられる確信をより実感したタイミングにもなったはずだ。

前田将司(ds)

そこからもっとアゲていこう、と「ルックバック」をプレイし、会場はまさしく最高潮へ。観客の声援と拍手に背中を押されながら平部も声を振り絞り、「ガチンコツーマンやと思ってるから、アンコールはやりません」と宣言し、ラストナンバーとして選んだのは「ホワイトアウト」。ド頭からとんでもないシンガロングが起こり、気持ちを受け取った3人はアグレッシブに攻め立てる灼熱のステージング。感情を止めどなく溢れさせながら歌い叫び、リズムワークも抜群。最高のフィナーレを飾ってくれた。

シーンの先頭集団に甘んじることなく最前線へ駆け抜けていこうとしているreGretGirl、10月からスタートするワンマンツアーも東名阪はすでにソールドさせ、まさしくネクストブレイク筆頭なLaughing Hick。次世代バンドのショーケース的な、いつもの『Grasshopper』とは少し趣向が異なっていたが、ありそうでなかったツーマンであり、新たな発見が生まれた夜になったことは間違いない。加えて、こういった秀逸なツーマンを提示した『Grasshopper』が今後どういったアーティストを注目していくのか、そちらにもより興味が深まった夜となった。

<公演情報>
『Grasshopper vol.25 supported by チケットぴあ』

2024年8月2日(金)Spotify O-nest
出演:reGretGirl/Laughing Hick

【セットリスト】

Laughing Hick
01.愛してるって
02.ホンネ
03.モノクロセカイ
04.さよなら恋人、おかえり恋心
05.休憩と宿泊
06.女だから
07.カフェオレ
08.カシスオレンジ
09.Bye-Hi

reGretGirl
01.純ラブ
02.ルート26
03.Shunari
04.ギブとテイク
05.テレフォン
06.二色浜
07.ダレヨリ
08.tear
09.ルックバック
10.ホワイトアウト

<次回公演情報>
『Grasshopper vol.26 supported by チケットぴあ』

2024年9月8日(日) 18:30開場/19:00開演
会場:Spotify O-nest
出演:えんぷてい/goethe/Geloomy
料金:一般3,400円、学割2,900円
※入場時ドリンク代が必要

チケット情報:
https://t.pia.jp/pia/ticketInformation.do?eventCd=2427301&rlsCd=001

イベント公式HP:
https://fan.pia.jp/grasshopper/

ぴあ

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