ホラー映画『サユリ』(8月23日公開)の完成披露試写会イベントが8月8日、新宿バルト9にて開催され、本作でホラー映画初主演を務めた南出凌嘉、共演の根岸季衣、原作者の押切蓮介、メガホンをとった白石晃士監督が登壇した。
【写真を見る】太極拳にも挑戦!ホラー映画初主演の南出凌嘉が撮影現場で恐怖を感じたこととは?
押切が「こんな邦画ホラーがあればいいのに」と考えながら書き上げた漫画を原作に、白石監督が映画化した本作は、念願の一戸建てに引っ越してきた神木家の息つく間もない恐怖を描く進化系最恐ホラー。神木家の長男、則雄を南出、認知症の祖母、春枝を根岸が演じている。
Jホラーでは人間がやられてしまう描かれ方が多かったとし、「人間の逆転劇をずっと見たくて。この映画でやっとそれを観ることができてうれしい。理想通りの映画です!」と笑顔の押切は、映画で白石節を感じるシーンを堪能したとご機嫌で報告。もともと白石監督の大ファンだったそうで「クラスでずっとねらっていた女の子と両思いになったような気分。口裂け女をバットで追い回す白石さんの感性が大好きでした」とアツい思いを明かした押切に、白石監督も「原作を読んだ瞬間に、おもしろい映画ができるぞと思いました。価値観も同じですよね」と答え、相思相愛だと微笑み合っていた。
ホラー映画初出演で主演を務めた南出は「主人公の感情、恐怖をどのように表現したら共有でき、共感してもらえるのか考えました」と役作りを振り返り、「則雄くんにはシンパシーを感じるところが多くて。“そうだよね、則雄”という感じで、対話しながらやっていました」とコメント。白石監督の演出は「トライアンドエラーをじっくりさせてくれる」と感謝するも、気になっていたことがあるようで「足音がしないのが怖くて。気づいたらいつも後ろにいるんです」と白石監督の存在が怖かったと告白。「ホラー映画の撮影現場では怖いことが起きるとかっていうけれど、監督がなにより怖かったです」と苦笑いした南出が、「サユリより晃士が不気味だったんですね」とのMCの問いかけに深くうなずき、笑いを誘う場面もあった。
白石監督は撮影中に南出が走っている姿をよく見かけたそう。「太極拳をやって、走って、また太極拳の復習をして。いっぱい食べて、いっぱい走ってました」と撮影中の合宿先での過ごし方に触れた南出に対し、本読みよりも前から一緒に太極拳を練習していた根岸は「私なんて、鍼の先生に来てもらってた(笑)。やっぱり年齢差かな、えらい違い!」と反応し、早い段階で太極拳を身につけていた南出に感心していたとも話していた。
根岸との思い出がたくさんあるという南出は、「追い詰められて、怒り、涙、ぐちゃぐちゃになった感情を維持したくて、頑張って演じたシーンがあります。終わった時に“よしよし”って頭をポンポンってしてくれた時に、“一生ついていこう!”と思いました」とゾッコンの様子。根岸の好きなセリフ「命を濃く」は南出も大好きだそうで、「作品のなかでも、私生活でも元気づけてくれたセリフ。よく食べて、よく寝て、頑張るぞ!って。撮影中もそれ以降の生活でも僕にとっての支え、大事な言葉になっています」とニッコリ。押切が大好きなのは根岸演じる祖母の「ポリ公」の言い方だと伝えられると、「あれは脚本通りです」と照れ笑いの根岸。白石監督は「祓って済ませるつもりはねえ!」と根岸演じる春枝が唾を吐くシーンがお気に入りだとし、「唾をキレイに吐くのって難しい。唾はCGにしました。かなりのこだわりです」とニヤリとしながら解説していた。
最後の挨拶で南出は「ホラー映画だけど、元気が出て、明日から頑張ろうと思える作品です。劇場で”命を濃く”してください!」とお気に入りのセリフを引用しておすすめ。根岸は「みなさんの反響が公開初日の入りに響くので、宣伝、よろしく!」とリクエスト。押切は「この映画が終わったら僕のピークは終わるのでは?と思っていたけれど、お客さんの顔を見ていたら、もっともっとおもしろい漫画を描かなきゃ!という思いになりました。いっそう気合が入りました。ありがとうございます」と感謝を伝え、大きな拍手を浴びる。白石監督は「この映画は、絶望にどう立ち向かうか、しっかり生きれば希望があるんじねえの?というのをねじ込んだような作品になっています。そういうホラーがあってもいいかなと思っているので、ぜひ楽しんでいただけたら」と呼びかけ、イベントを締めくくった。
取材・文/タナカシノブ
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