市川紗椰が語るザ・ビートルズのアニメ化作品の魅力「解散後もいろいろな番組に出ています」

本場イギリスでドーナツとエール

市川紗椰が語るザ・ビートルズのアニメ化作品の魅力「解散後もいろいろな番組に出ています」

8月2日(金) 6:40

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『週刊プレイボーイ』で連載中の「ライクの森」。人気モデルの市川紗椰(さや)が、自身の特殊なマニアライフを綴るコラムだ。今回は、ザ・ビートルズのアニメ化について語る。


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これまで最も多くアニメ化されたバンド、ザ・ビートルズ(市川調べ)。おそらく一番有名なのは、1968年製作のアニメ映画『イエロー・サブマリン』。

この芸術的な傑作については、以前に長々と取り上げましたね。でも実はこの作品、ビートルズにとっての初めてのアニメ化ではありません。アルバム『ヘルプ!』が発表された65年に、すでにテレビアニメ『ビートルズ・カートゥーン』が始まっています。

ストレートなタイトルから予想できるとおり、ターゲットは子供。もともとはアメリカで土曜日の朝に放送されていましたが、私が子供の頃は夜中に再放送をやってました。内容もわかりやすい。ビートルズが世界を旅して、ライブをしながらトホホな事件に巻き込まれていくドタバタコメディ。

毎回2、3曲ヒットソングが流れるのと、女子ファンの集団に追いかけられるシーンがあるのがお約束。曲の歌詞とストーリーは基本関係ないけど、無理やり絡まされてるパターンが多かった気がします。

例えば『ペニー・レイン』が流れる回では、ペニー・レインで強盗が起こると聞きつけたビートルズが、歌詞に出てくる場所や人を探しながら演奏します。そしてなぜかはわからないが、曲が終わる頃には強盗は阻止できてます。

ストーリーはさておき、曲のMVを見ているような楽しさがいい。初期の音源でしか聴けない、終止部のトランペットのコーダが生かされているのも地味に貴重かもしれません。

キャラデザインも魅力的で、本人たちの特徴をうまくカートゥーンに落とし込んでおり、現実のジョン・レノンがメガネをかけ始めたら、アニメでもメガネが足されるという妙なこだわりも。

しかし、声のリアリティはさほど求めてなかったよう。ジョンの声は異様に高かったり、ジョージ・ハリスンがアイリッシュ×パキスタンのような変わったなまりだったり、カオス。調べると、アメリカ人とイギリス人のコンビが全員の声を担当していたようで、声色を差別化するための苦肉の策だったのかもしれません。

ちなみに85年頃に放送された日本語吹き替え版では、ジョンの声を伊武雅刀さんが担当しています。渋イイ。

『ビートルズ・カートゥーン』は69年まで続きますが、ビートルズ自体は70年に解散。アニメ化はもうないと思いきや、何げにいろいろな番組に出てきます。例えば『ザ・シンプソンズ』では、別々の回だけど全員登場しており、すでに他界していたジョン以外はなんと本人が声を担当(『イエロー・サブマリン』でさえ声優さんだったのに、ここにきて本人!)。

シンプソンズ特有の画風を維持しながら、各メンバーの個性をきっちり出しているキャラデザも印象的です。ほかに、『パワーパフガールズ』や『ファミリー・ガイ』などにも登場しますが、日本のものは記憶になく......(『ドラえもん』の「結成!のびーとるず」はノーカウント)。

漫画ですと『ちびまる子ちゃん』でみぎわさんがビートルズのレコードを買ったときにメンバーが1、2コマ描かれています。本人たちが登場人物になっているわけではないですが、さくらももこ風のビートルズも爽やかでいい感じです。

●市川紗椰

1987年2月14日生まれ。米デトロイト育ち。父はアメリカ人、母は日本人。モデルとして活動するほか、テレビやラジオにも出演。著書『鉄道について話した。』が好評発売中。今回紹介した以外のビートルズのアニメもいつか語りたい。公式Instagram【@sayaichikawa.official】

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