高橋陽一×稲本潤一リアルキャプテン翼「南葛SC」の現在地日韓W杯のセレブレーションをもう一度

立松尚積●撮影photo by Tatematsu Naozumi

高橋陽一×稲本潤一リアルキャプテン翼「南葛SC」の現在地日韓W杯のセレブレーションをもう一度

7月31日(水) 17:56

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南葛SC 高橋陽一×稲本潤一 対談(後編)

『キャプテン翼』原作者の高橋陽一氏が社長を務め、Jリーグ昇格を目指すサッカークラブ「南葛SC」。今シーズンからは川崎フロンターレなどを率いた風間八代氏が監督に就任し、攻撃的な戦術も浸透。関東サッカーリーグ1部で3位(7月末現在)と、昇格に向け好位置につける。

長きにわたって日本代表でも中心選手として活躍し、今季よりコーチ兼任選手としてプレーする稲本潤一と高橋氏が、風間新監督のもと生まれ変わった南葛SCのサッカーと、悲願のJリーグ昇格に向けての展望を語ってくれた。(全2回中の2回目)

>>前編「南葛SC」Jリーグへの道「大ボスが登場」を読む



目標はあくまでJリーグ昇格 photo by Tatematsu Naozumi



――高橋先生の中では、やはり『キャプテン翼』のように、ボールを大事にするサッカーというのが理想ですか?

高橋 やっぱり見て面白いサッカーがいいですね。長いボールを蹴ってばかりのサッカーより、ボールをつないでいくサッカー。それが見ていて面白いサッカーだと思っているので、それで勝つのが理想です。

なので、風間さんのサッカーを積み上げていけば、自ずと結果が出るんじゃないかと期待しています。ただ、理想と現実はちょっと違うかもしれないので、それがどうなっていくのかも、ある意味では楽しみにもしています。

稲本 僕もこれまでいろいろな指導者と一緒にやりましたけど、攻撃的なサッカーをする監督ってブレずにやり続けるので、そこは自分も今後見習っていくべき点だと思っています。おそらく風間さんは、自分がプロになってから代表を除けばいちばん長く一緒にやっている監督なんですが、南葛SCでもそれを徹底しているのがすごく新鮮に感じられます。自分が今後指導者になったときのことを考えると、参考になるというか、学ぶべきことがとても多いですね。

もちろん指導者の方針はいろいろですし、僕の考え方もこれから変わっていくと思います。ただ、南葛SCに関していえば、風間さんのサッカーを積み重ねていくことが次のステージに進むための近道だと思っています。コーチ兼任とはいえ、プレーヤーとしてチームに貢献することがいちばん大事なので、それをピッチで表現していきたいですね。



昨年オフからはコーチも兼任。指導者の道も視野に入る





――先ほど高橋先生から昇格することの難しさについてお話がありましたが、稲本さんも地域リーグの大変さを実感していますか?

稲本 めちゃめちゃ実感しています(笑)。そもそも、ウチに勝った時の相手チームの喜び方を見ていると、南葛SCと対戦するチームのモチベーションは、たぶん他の試合とはちょっと違うんじゃないかと思うんです。これは勝ち続けるのも大変だなって。

しかも、他の地域リーグと比べても、やっぱり関東リーグはレベルが高い。上位チームが下位チームに負けることも普通に起こりますし、各リーグの中から全国地域チャンピオンズリーグ(JFL昇格をかけて争う大会)に進めるのは1チームしかありません。それを考えると、地域リーグからJFLに昇格するまでがいちばん難しいじゃないかと感じています。

なので、ここ(JFLに上がるまで)が最も時間がかかる段階だなって。この壁を乗り越えれば、その後は意外とすんなり上まで行けるような気もします。

――高橋先生は、今後の南葛SCにどのような展望を抱いていますか?

高橋 もちろん昇格したいというのはありますが、もうひとつは、地元にサッカー専用スタジアムができたらいいなと思っています。新小岩にスタジアム建設計画がありまして、まだ具体的に何年先になるのか分からないのですが、できればその新スタジアムの完成を見てから死にたいです(笑)。

――想いの強さがうかがえます(笑)。ご自身の地元地域にご自身のクラブのホームスタジアムができる。『キャプテン翼』に負けず劣らずの大きな夢ですね。

高橋 やっぱりサッカーは地元密着型のスポーツだと思いますし、地元のためにクラブがあるということをいつもイメージしているので、地元のみなさんに愛されるクラブにしていきたいですし、そこがいちばん大事なところだと思っています。

稲本 僕も川崎フロンターレで地元とのつながりの大切さを実感しているので、今年も地域に貢献できればといろいろと活動をしていますが、より一層、地域と密着していければと思っています。やっぱり地元に応援してもらえるクラブじゃないと、サッカーの意義も薄くなってしまいますしね。地域と連携しながら強くなっていくというのが、いちばんの理想だと思います。

――高橋先生から稲本さんにお願いしたいことはありますか?

高橋 確か、入団した時にも伝えましたが、ゴールを決めてください、ということですね(笑)。

稲本 はい、いやもう絶対にそれを言われると思っていました(笑)。まだセットプレーで1点決めただけなので、後ろから駆け上がってゴールを決めるように頑張ります!

高橋 あの時はゴールした後、これ(※)をやってくれなかった(笑)。

※20002年日韓W杯のベルギー戦で稲本選手がゴールを決めた後に行った、指を自分に向けて喜ぶゴールセレブレーション

なので、あのセレブレーションを生でぜひ見たいですね。

ただ、稲本さんが加入してくれてからお客さんも一気に増えましたし、チームへの貢献度はすばらしいと思っています。ピッチ外でのファンサービスにも熱心ですし、ありがたいですね。

――稲本さんからオーナーの高橋先生に何か要望はありますか?

稲本 いやいや、僕からなんて、もう何もないですよ(笑)。これだけの投資をしてくださるだけでなく、試合にも練習にも応援に来てくださる。これだけのことをしてくれる方は他にいませんし、むしろ本当はもっと早く昇格していなければいけなかったのに、過去2年は残留争いをしてしまって本当に申し訳ありませんでした、と言うしかないです。

だから、今年は絶対に上を狙いたいです。現在3位ですし、できれば優勝、それがダメでも最低2位には食い込みたい。2位に入れば、「Jリーグ百年構想クラブ枠」で地域チャンピオンズリーグに行ける可能性(※)もあるので。

※一定の条件下で、「Jリーグ百年構想クラブかつ地域最上位リーグ2位」の要件を満たすクラブがあれば、当該クラブに地域チャンピオンズリーグの優先出場権を与える規定がある。

サッカーをする環境としては申し分ないので、あとは選手たちがやるだけです。結果で恩返しがしたいので、とにかく今年はそれを示したいですね。



Jリーグ昇格に向け、まずは今季2位以上を目指す



【Profile】

高橋 陽一(たかはし・よういち)/東京都葛飾区生まれ。1980年、『キャプテン翼』(集英社)でデビュー。1983年にはアニメ化。同作品は日本でのサッカー人気はもとより、世界のサッカーの普及・発展に大きく貢献し、数多くの海外サッカー選手たちへも影響を与えている。現在でも世界中で愛され続けるグローバルコンテンツとなっている。2024年4月にシリーズの漫画連載を終え、同年夏よりWEBサイト『キャプテン翼WORLD』に掲載の場を移してネーム形式で連載を継続している。2023年にはアニメ最新作『キャプテン翼シーズン2 ジュニアユース編』の放送が開始され、海外でも順次放送されている。葛飾区よりJリーグ入りを目指すサッカークラブ「南葛SC」のオーナー社長を務めるなど、漫画家以外の活動も積極的に行っている。

稲本 潤一(いなもと・じゅんいち)/1979年9月18日生まれ。プロサッカー選手。ポジションはMF、DF。1997年にガンバ大阪のトップチームに昇格し、Jリーグ最年少(当時)となる17歳6か月でのリーグ初出場を記録。1999年に準優勝を果たしたFIFAワールドユースでは主力として活躍し、同年A代表にも初選出された。2001年にはイングランドプレミアリーグの名門アーセナルFCに移籍。2002年の日韓ワールドカップでは第1戦のベルギー戦、第2戦のロシア戦でゴールを決め、史上初の決勝トーナメント進出に大きく貢献。ブンデスリーガやJリーグでのプレーを経て、2022年より南葛SCに所属。2023年オフよりコーチ兼任。国際Aマッチ82試合出場、5得点。181cm・77kg



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