7月28日(日) 11:00
「今でも『夏・体験物語』が放送されていた当時に高校生くらいだった方から『親に隠れて見ていました!』って言われるんです。たしかにタイトルは刺激的だし、内容も高校生の女のコが初体験をしていく物語ですから、こっそり見るしかないドラマですよね」
こう振り返るのは、黒田アーサーさん(63)だ。中山美穂主演の話題のドラマだったことから、デビューして3年の黒田さんの知名度を上げることにもなったという。
「アイドルでもないボク自身も『明星』などの取材を受ける機会がありました。一方で、ドラマではナンパなプレイボーイ役だったために、そのイメージがすっかり定着してしまい、女性と出会っても『どうせ遊びでしょ』って言われてしまって(笑)」
高校生の夏休みを描いているため、若い出演者が多く、撮影に入る前に、親睦を図るための合宿もあったという。
「静岡の一碧湖で合宿をして、バーベキューをしたり花火をしたりして、撮影に入るころには“仲のよいクラスメート”になっていました。ボクは20代で少し年上。撮影現場では特に同年代の(清水)宏次朗とは気が合って、当時、はやっていたプールバーに行ってビリヤードをしたりしていました」
吉幾三とは楽屋が近く、待ち時間にはいつも顔を出していた。
「吉さんは必ずギターを持ってきていて、楽屋では曲を作ったりしていました。のちに吉さんのお嬢さんと舞台で共演したのですが、吉さんがいらしてくれて『久しぶりだな、アーサー!』『お互い売れてよかったな』ってハグしてくれて。吉さんに出会えたのも、このドラマがあったからこそ」
中山美穂にとっては、ドラマ初主演作となる。
「歌が好きで、主題歌になった『C』を鼻歌で歌っていたのをよく覚えています。シャイで人見知りなところがあったから、ボクが気持ちをほぐしたことも。車の中のシーンでは、スタッフとはトランシーバーでやり取りするので、待ち時間は車内で2人きり。『歌手の仕事は大変?』『こんな感じでやろうか』と積極的に話しかけていました」
そんな中山も、キスシーンでは黒田さんを圧倒するほど堂々としていたという。
「『毎度おさわがせします』でハードなシーンも経験していたからなのか、“遠慮しなくていいですよ”という感じでした。『次、キスシーンにいきます』と言われたとき、ボクのほうが緊張してしまって、本来ならリードしなくちゃいけないのに、逆にリードされてしまいました(笑)」
『夏・体験物語』(TBS系・1985年)
主人公の由起(中山美穂)ら全寮制の女子高生4人組が夏休みに出かけた旅先で繰り広げる、AとかBとかCとかの物語。同じく中山が出演していた『毎度お騒がせします』より、ソフトな内容。担任の先生・金井玉二郎(吉幾三)のセクハラ三昧が昭和っぽい!
【PROFILE】
くろだ・あーさー
1961年、アメリカ生まれ。1982年、『名犬ゴローの冒険 ビバ!カナダ』で俳優デビューすると、バラエティ番組や映画、舞台をはじめ歌手としても幅広く活躍。