今でも輝く_櫻井翔&二宮和也×宮藤官九郎タッグの名作ドラマ「木更津キャッツアイ」「流星の絆」の魅力を振り返り

『木更津キャッツアイ』/(C)TBS

今でも輝く_櫻井翔&二宮和也×宮藤官九郎タッグの名作ドラマ「木更津キャッツアイ」「流星の絆」の魅力を振り返り

7月25日(木) 9:00

『流星の絆』第1話より
【写真】ぶっさん(岡田准一)、バンビ(櫻井翔)、マスター(佐藤隆太)、アニ(塚本高史)の寝ころびカット『木更津キャッツアイ』第1話より

民放公式テレビ配信サービス「TVer」では、“TBS DRAMA 夏コレ”と題し、初配信作品を含むTBSの名作ドラマ55タイトルが期間限定で無料配信中だ。今回はその中から嵐の櫻井翔が出演した「木更津キャッツアイ」(2002年)と、二宮和也主演の「流星の絆」(2008年)の見どころを紹介する。

■クドカンの代表作「木更津キャッツアイ」で進化を遂げた櫻井翔
『木更津キャッツアイ』

30代以上の人に「心に残っているドラマは?」と聞いたら、必ずと言っていいほどランキング上位に入ってくるのが、2002年に放送されたドラマ「木更津キャッツアイ」(TBS系)だ。本作は、現在放送中のドラマ「新宿野戦病院」(フジテレビ系)を手がける人気脚本家“クドカン”こと、宮藤官九郎の代表作。千葉県木更津市で暮らす若者たちを主人公にしたコメディテイストの青春ドラマとなっている。

メンバーは実家の理髪店を手伝いながらブラブラとしているぶっさん(岡田准一)、仲間の中で唯一大学に進学したバンビ(櫻井翔)、飲み屋を経営する妻子持ちのマスター(佐藤隆太)、実家暮らしのニート・アニ(塚本高史)、神出鬼没でミステリアスなうっちー(岡田義徳)の5人。もともと高校のクラスメイトで同じ野球部に所属していた個性豊かな彼らが、昼間は草野球チームの“木更津キャッツ”、夜は怪盗団の“木更津キャッツアイ”として活動する様が描かれる。

彼らはいわば、2000年代以降に誕生した“マイルドヤンキー”の典型だ。大人になっても地元に留まり、学生時代の友だちと仲良くつるんでいる。もちろん、ぶっさんたちは盗みを働いているのだけれど、それで誰かを深く苦しめたりはしない。本人たちの意思とは無関係に、結果的に彼らの行動は人助けに繋がっていく。

また本作は野球の試合にちなみ、全9話で1話が表と裏の二部構成となっている。最初にメインのストーリーが展開され、後でその裏で何が起こっていたかが巻き戻し形式で説明されるのだ。その中には、伏線もたくさん散りばめられている。

人の死をシリアスに描かないのも実にクドカンらしい。第1話ではぶっさんが悪性リンパ腫で余命半年を宣告されるが、彼は仲間とともに最後まで普通に、楽しく生きることにこだわる。本作の笑いには身内ノリ要素も含まれているが、たとえその面白さが理解できなくてもぶっさんたちが楽しそうにしている様はそれだけで微笑ましい。あらゆる点において画期的なドラマだったと言えるだろう。

そんな本作で俳優として最初の進化を遂げたのが、現在放送中のドラマ「笑うマトリョーシカ」(TBS系)に出演中の櫻井翔だ。彼が演じた“バンビ”ことフトシは5人の中で唯一の大学生で、一番の常識人。イケメンゆえにモテるが、実は女性経験がないという設定でもあった。友達に素直になれなかったり、恋に奥手だったり、成長段階にある愛らしい青年を櫻井が瑞々しく演じている。普段はスターなのに、こういう市井の人間も説得力を持って演じられるのは櫻井の力だろう。あることで当初は険悪だったぶっさんとバンビの友情にも注目してほしい。

■大ヒットドラマ「流星の絆」で二宮和也が見せた二面性の演技
『流星の絆』

7月7日より放送中のTBS日曜劇場「ブラックペアン シーズン2」で主演を務める二宮和也。早くから演技派アイドルとして注目され、今や日本を代表する名優の一人に成長した二宮のキャリア中期の代表作と言えるのが、2008年放送のドラマ「流星の絆」(TBS系)である。本作は東野圭吾の小説を原作としたミステリーで、脚本は「木更津キャッツアイ」と同じく宮藤官九郎が手がけた。そのため、ミステリーといえども、笑いがふんだんに盛り込まれた作品となっている。

物語は神奈川県横須賀市にある洋食店「アリアケ」を営む有明家の三兄妹、功一・泰輔・静奈の3人が流星群を見るため、夜中に家を抜け出す場面から始まる。その間に、両親は何者かに惨殺され、兄妹たちは養護施設で暮らすことに。それから14年後が本作の舞台。大人になった長男の功一を二宮、次男の泰輔を錦戸亮、長女の静奈を戸田恵梨香が演じている。

そんな本作はともに上京した3人が14年前に両親を殺した犯人を自分たちの手で見つけ、殺そうとする復讐劇でありながら、コンゲーム的な要素が含まれているのが特徴だ。有明兄妹は静奈が資格商法詐欺に騙されたことをきっかけに詐欺グループ「アリアケ3」を結成。身近な悪い人間をターゲットに詐欺行為を働くことになる。

前述したように本作はコミカルで、特に詐欺パートは笑いが多め。功一が考えたシナリオをもとに、実行役の泰輔と静奈が様々な人物になりきり、ターゲットをあの手この手で騙す。3人はもちろん、ターゲットの人間も個性的なキャラクターで、展開も会話も軽快だ。だが、後半になっていくにつれ、復讐劇が前面に押し出され、物語もシリアスなムードとなっていく。

そんな本作が持つ二面性を圧巻の演技で体現するのが二宮だ。二宮が演じる功一は一見クールだが、詐欺のシナリオをノリノリで考えたり、自身が考えた「アリアケ3」というグループ名を泰輔と静奈にダサいと言われて拗ねたりと、意外な一面が次々と出てくる。そういう場面ではコミカルな演技で視聴者を楽しませつつ、メインである復讐劇ではキリッと表情が引き締まる二宮。誰よりも家族思いで、犯人を憎む気持ちも強い。そんな功一の苦しみや葛藤を映し出す二宮の演技に心が揺さぶられるだろう。ぜひその見事な顔の使い分けを堪能してほしい。



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