韓国映画界の女帝、キム・ヘスが30年以上世界中のファンに愛され続けている理由

圧倒的な演技力とカリスマ性を持つ韓国映画界の女帝、キム・ヘス/[c]CJエンターテインメント

韓国映画界の女帝、キム・ヘスが30年以上世界中のファンに愛され続けている理由

7月6日(土) 7:30

“韓国映画界の女帝”とも呼ばれ、圧倒的な演技力とカリスマ性を持つキム・ヘス。中学生で芸能界入り、高校生で俳優デビューした大ベテランの女優だ。数々の作品に出演し、『タチャイカサマ師』(08)で演じたチョン・マダム役で韓国を代表する俳優として位置付け、ドラマでも「シグナル」「ハイエナー弁護士たちの生存ゲームー」「未成年裁判」「シュルプ」など、様々なジャンルの作品をヒット作に導きいまも第一線で活躍している。
【写真を見る】韓国で大ヒットを記録した『密輸 1970』で初共演を果たしたキム・ヘスとチョ・インソン

■“女帝”キム・ヘス、最新作『密輸 1970』でクセの強い海女に変身!
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そんなキム・ヘスは、日本公開を控える『密輸 1970』(7月12日公開)で海女となって現れる。韓国で大ヒットを記録した本作は、2023年の第44回青龍映画賞で最優秀作品賞を含む4冠に輝き、同年サマーシーズンの韓国で500万人以上を動員。共演者はヨム・ジョンア、チョ・インソンら豪華俳優陣が集結し、メガホンを握るのは稀代のヒットメーカー、リュ・スンワン監督だ。
1970年代の髪型もとてもお似合い!


物語の舞台となるのは1970年代半ばの韓国の漁村クンチョン。衝撃の実話から着想を得て作り上げた予測不能な海洋クライム・アクションだ。海女たちは失職の危機を乗り越えるために密輸品を引き上げる仕事を請け負うことになるが、税関の摘発に遭ってしまう。クセの強いキャラクターと海女たちの駆け引きバトルは、海の中に潜るようにぐいぐいと引き込まれ、こちらまで息をしたら負けそうな気持ちになってしまう。スカッとした爽快感は劇場で味わわないともったいない。

■一世を風靡したハイティーンスター。すごいところはビジュアルだけではない!

キム・ヘスは1986年に『カムボ』で俳優デビューし、80年代のハイティーンスターとしてチェ・シラ、ハ・ヒラ、イ・サンアらと一世を風靡する。1993年には『初恋』にて、23歳で青龍映画賞の最年少主演女優賞を獲得した。20代から26歳差の先輩俳優との夫婦役、シングルマザー役など多様な役に挑戦して実力をつけていく。
ペ・ヨンジュンと共演した「愛の群像」で、日本での認知度もUP!


日本では、ペ・ヨンジュンと共演した「愛の群像」や、本国で最高視聴率53.1%を記録した名作ドラマ「グッキ」で彼女の存在を知った人も多いのではないだろうか。30代には究極の愛憎と野望が渦巻く時代劇ドラマ「張禧嬪[チャン・ヒビン]」に挑む。朝鮮時代の3大妖婦と呼ばれたチャン・ヒビン役を演じ、最高視聴率は30%を超えKBS演技大賞を授賞する。

ここに至るまで順調に見える役者人生だが、デビューが早い彼女は30代という若さで壁にぶち当たる。新人俳優らが注目される中、当時の自分を「新鮮さがなければ飛び抜けたものもなかった」と語っており、出演依頼のジャンルはコメディーやロンスコメディーものが多かったという。いまでは考えられないが、トーク番組で自分が辛かった時期を振り返り、「どんなに頑張っても日の目を見ないこともある。その面では運がよかった。ただ努力し続けた」と話していた。

■妖艶な魅力があふれる“イカサマ師”役で第2の全盛期に!
こんなセクシーなイカサマ師いる?


そこで転換期となったのが、韓国で2006年に公開された『タチャイカサマ師』だった。生まれつきの勝負師ゴニ(チョ・スンウ)がタチャ(イカサマ師という意味の韓国語)に仕組まれた勝負に負けてすべてを失い、伝説のタチャに弟子入りしてリベンジするストーリーで、684万人を動員する結果に。キム・ヘスはゴニと手を組む妖艶な魅力があふれるチョン・マダムを演じ、今までとは違ったキャラクターで新たな印象を植え付けた。青龍映画賞では3度目となる主演女優賞に輝き第2の全盛期を迎える。以降も『10人の泥棒たち』(13)や『観相師かんそうし』(14)など大ヒット作が続く。
キム・ヘスの“人生キャラクター”となったチョン・マダム


映画やドラマの出演作の数がただ多いだけでなく、権威ある賞はすべて授賞した実力者だ。どんな役を演じても“やっぱりキム・ヘスだ”と納得してしまう力があり、キム・ヘスでなければ演じきれなかった役、成立しなかった作品を次々と生み出した。

■ラブロマンス、サスペンスから時代劇まで…幅広いジャンルで大活躍
「シグナル」では正義感が強い刑事役を熱演


それはドラマでも同じことが言える。日本の人気ドラマ「ハケンの品格」をリメイクした「オフィスの女王」でのスーパー派遣のミス・キム役では、シュールな笑いと痛快なラブロマンスを届け本国でもヒット作に導く。日本でもリメイクされた秀作サスペンス「シグナル」では正義感が強い刑事役を熱演し、ヒューマンドラマとしても奥行きを深めていた。「ハイエナ -弁護士たちの生存ゲーム-」ではチュ・ジフンとの最高のバディを披露。なかでも共演者たちの良さを引き出す姉御肌な役柄は、右に出る者はいないだろう。
「未成年裁判」で演じた判事役も記憶に新しい


凄まじい演技力が記憶に新しいのは2022年にNetflixで配信した「未成年裁判」だ。少年犯罪をテーマに扱う社会派ドラマで判事役として登場する。一方で時代劇ドラマ「シュルプ」では王妃でありながら5人の王子の母親として、いつの時代も変わらない親子の愛を深く優しく描いていた。

■30年間“青龍映画賞”の司会を担当!韓国の俳優たちに与えた影響とは

またキム・ヘスの人柄や役者人生は青龍映画賞なしには語れない。韓国映画界最大の祭典のMCを30年間も務め(1993年/第14回~2023年/第44回 ※第19回を除く)、“青龍のシンボル”や“青龍の女神”であり、歴史そのものだと称賛されながら退いた。
“青龍の女神”と呼ばれるキム・ヘス


当初はまだ22歳というプレッシャーを背負って大役を引き受けたのは、韓国ではどの映画がヒットして、どんな俳優が評価されるかを知りたかったからだと言う。それがいまでは俳優たちの憧れの存在だ。彼らは彼女のことを「すばらしい配慮があり、励ましと勇気となっている」と口をそろえて言う。彼女が新人俳優や端役の俳優の名前をメモして、監督などの関係者に紹介している話は有名だ。

SNSでも新人俳優たちを積極的にアップしているのをよく見かける。また青龍映画賞の授賞式の台本も自ら手を加えている。その内容を尋ねると「外見などを評価するコメントは排除し、彼らが韓国映画界にどんな影響をもたらしたか、どんな努力をしてきたかを重点的に修正している」と語っていた。35年以上のキャリアを経たいまもなお、数々の授賞式でキム・ヘスの名前がある。きっとなぜ彼女がそこに居続けられるかを誰もが知っているだろう。彼女の存在は韓国の俳優たちに大きな影響をもたらしているのだ。
2024年の下半期には新作ドラマ「トリガー」がディズニープラスで配信予定!


さて、2024年の下半期には新作の「トリガー」がディズニープラスで配信予定だ。検察も警察も解決できない事件を追跡するテレビ局の調査報道チームが奮闘するスリラードラマ。キム・ヘスが演じる熱血チーム長と社会性ゼロの天下りプロデューサー役のチョン・ソンイルとの新しい組み合わせを心待ちにしている。

文/ヨシン


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