【チーズハムカツカレー】合体させた瞬間に人生が輝きだす、大衆酒場のチーズハムカツとカレーライス:パリッコ『今週のハマりメシ』第140回

大泉学園にある春田屋のカレーにチーズハムカツをどーん

【チーズハムカツカレー】合体させた瞬間に人生が輝きだす、大衆酒場のチーズハムカツとカレーライス:パリッコ『今週のハマりメシ』第140回

6月28日(金) 11:40

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ある日、あるとき、ある場所で食べた食事が、その日の気分や体調にあまりにもぴたりとハマることが、ごくまれにある。

それは、飲み食いが好きな僕にとって大げさでなく無上の喜びだし、ベストな選択ができたことに対し、「自分って天才?」と、心密かに脳内でガッツポーズをとってしまう瞬間でもある。

そんな"ハマりメシ"を求め、今日もメシを食い、酒を飲むのです。

***

手前味噌ながら、僕の新刊『缶チューハイとベビーカー』という本が、6月26日に発売された。これは、ひとり娘がベビーカーに乗っていた時代から保育園を卒園するまでの約2年間、WEBで連載していた内容をまとめたもので、子育てをしながらも、その隙を縫ってどう酒を飲むか?という涙ぐましい努力についてを綴った内容になっている。ご興味を持たれた方はぜひとも、ご一読の検討をお願いしたい。というか、お願いします!ほんとに!

『缶チューハイとベビーカー』

『缶チューハイとベビーカー』

とまぁ、個人的にはおめでたいことがあったわけで、ひとりプチごほうびメシを食べたいところだ。そして僕にとってのごほうびメシといえば、それは「カツカレー」に他ならない。さて、どこでカツカレーを食べるか。

ラーメンやそばうどんと違い、ふらりと気軽にカツカレーを食べられる店の選択肢って、実はそんなに多くない。なぜなんだ?ってくらいに、カレーライスのチェーン店って少ないし、そのなかの貴重な店たちである、地元石神井公園の「マイカリー食堂」も「CoCo壱番屋」も、再開発の影響で閉店してしまった。

本の発売日当日、僕はお隣の大泉学園駅前まで買いものに出たついでに、街をふらついていた。どこかにこのカツカレー欲を満たせる店はないか。そんなことを考えながら、「春田屋」の前を通りかかる。

「春田屋 大泉学園店」

「春田屋 大泉学園店」

春田屋をごぞんじだろうか?全国的には、あまり知らない方の方が多いだろうか。練馬区に本店があって、その界隈を中心に数店舗を展開するチェーン酒場だ。ここが、店員さんがめちゃくちゃ感じ良く、しかも料理が安くてうまくて、驚くべきことに大泉店は昼の12時から開いているという、油断大敵な神酒場なのだ。ものすごく使い勝手が良くて、最近気に入っている。

で、そのメニュー表が頭のなかに思い浮かぶ。普段たのまないゾーンなので少し記憶がぼんやりとはしているが、あった気がする。ごはんもののなかに「カレーライス」が。そしてまた、春田屋で僕が愛するメニューのひとつが「チーズハムカツ」だ。それを合体させてしまえば、純粋カツカレーではないけれど、「チーズハムカツカレー」が作れるじゃないかと。それをつまみに、完成したばかりの本に思いを馳せつつ、ホッピーをちびちびやる。こんなにめでたいことはないじゃないか。と、思いついてしまった。うんうん、想像しただけで幸せだ。

では、いただきます

では、いただきます

思いついてしまった以上、即入店し、即「金宮白ホッピー」(税込539円)を頼む。それから、まずはジャブ的な軽いつまみとして、これも僕のお気に入りの「肉味噌ピーマン」(308円)と、日替わりボードから「厚揚げきつね」(380円)なるメニューを頼んでみる。



「肉味噌ピーマン」

「肉味噌ピーマン」 「厚揚げきつね」

「厚揚げきつね」

よく冷えたたっぷりのピーマンに、これまたたっぷりの肉みそとマヨネーズが嬉しい肉味噌ピーマンは、しゃきしゃきとした食感が爽やかで夏にぴったりだ。厚揚げきつねは、見た目から想像するおでん風ではなく、甘めのおつゆでよく煮込まれた厚揚げ。まさにあつあげのきつね風で、これまたいいつまみになる。あぁ、いい時間。



さて、と、あらためてメニューを確認すると、やっぱりあったぞ。「春田屋カレー」(528円)。どのくらいのボリュームで来るのかわからないけど、安い。おかわりの「金宮 ナカ」(297円)と、「チーズハムカツ」(253円)と合わせて、そろそろ頼んでしまおう。



「チーズハムカツ」

「チーズハムカツ」

チーズハムカツは、この値段にして四角いハム2枚にチーズが挟まり、熱々で食べごたえがあって最高。それを今日は、豪快にのせてやるんだから......と待っていると、カレーも到着。

「春田屋カレー」

「春田屋カレー」

おぉ、まず、量はたっぷり一人前。で、見るからに肉の量がすごい。この時点で確信した。これ、やきとんとか焼鳥とかもつ煮とか牛すじ煮込みとかを出している酒場でたまに出会えることがある、超サービスカレーだ。つまり、それぞれの料理用にトリミングした端肉がたっぷりがたっぷりと使われていると想像される。本来ならば捨ててしまうことだってあるその素材を、カレーにリメイクして我々に還元してくれているというわけだ。

食べる前から御託を並べてしまったけれど、とにかく食べよう。春田屋カレーを。

いただきます

いただきます

あー!なるほど、そういう感じね。いやいや、うまい!僕の大好きな和風もったり方向ではなくて、本格スパイスカレー方向の味わいだ。複雑なスパイスの香りが爽やかで、ぴりりと辛い。牛すじっぽい肉や、脂身っぽい肉や、いろんな肉がたっぷりと入っているからこそ、むしろこの方向性。あり。ありすぎる。春田屋カレー、ぜひとももっと世に知れ渡ってほしい美味しさとリーズナブルさだ。

しかしながら、今日はそれを純粋に味わうだけに飽き足らず、もっとものすごいことをしてしまう。そう、チーズハムカツをどん!だ。

チーズハムカツをどん!

チーズハムカツをどん!

ざくざくの衣の下から、ハムの塩気とチーズのまろやかさ。そこにスパイシーなカレーのアクセント。思わず変な笑い声が出てしまうほどにうまい!幸せ!あ、いろいろ大変なこともあったけど、完全に報われた。 かつをザクザク、カレーをばくばくとほおばり、ホッピーをぐいーっ!自分ってなんて安上がりな男なんだろうとは思うけど、今この瞬間だけは、これ以上に幸せなことなんてないんじゃないだろうか?とすら思える。

みなさん、春田屋のチーズハムカツカレー、知っておくに越したことはないですよ。

取材・文・撮影/パリッコ

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