女子高校生のまばゆい輝きと泥臭いリアリティーの詰まった高校演劇リブート映画「水深ゼロメートルから」に注目すべきワケ

女子高生たちのまばゆい輝きと泥臭いリアリティの詰まった高校演劇リブート映画第2弾「水深ゼロメートルから」/(C)『水深ゼロメートルから』製作委員会

女子高校生のまばゆい輝きと泥臭いリアリティーの詰まった高校演劇リブート映画「水深ゼロメートルから」に注目すべきワケ

5月29日(水) 8:00

女子高生たちのまばゆい輝きと泥臭いリアリティの詰まった高校演劇リブート映画第2弾「水深ゼロメートルから」
【写真】楽しいだけでも、爽やかなだけでもない青春を切り取った「水深ゼロメートルから」

「高校演劇リブートプロジェクト」の第2弾「水深ゼロメートルから」が、5月3日から上映を開始している。同作を手掛けるのは「1秒先の彼」「映画 山田孝之3D」といった作品で知られ、「リンダ リンダ リンダ」「カラオケ行こ!」といった青春映画でも人気を博してきた山下敦弘監督。照り付ける日の光で夏の到来を感じさせるいま、「水深ゼロメートルから」という作品の魅力に迫る。

■補習のプール清掃から始まる、少女たちの青春

本作は2019年当時高校3年生だった原作者の中田夢花が顧問教諭と相談しながらつくりあげ、「第44回四国地区高等学校演劇研究大会」で最優秀賞である文部科学大臣賞を受賞した舞台作品が原作。2021年に下北沢小劇場「劇」にて上演され、大きな反響を呼んだ同作を映画「カラオケ行こ!」「天然コケッコー」「リンダ リンダ リンダ」など青春映画の傑作を手掛けた山下敦弘監督が映画化した形だ。

大学生に成長した原作者・中田夢花の脚本を、今をときめくキャスト陣とスタッフたちが協力し作り上げた同作。キャストには2023年公開の映画「バラシファイト」でヒロインを務めた濱尾咲綺、「GTOリバイバル」で存在感を示した仲吉玲亜、「いだてん~東京オリムピック噺~」に出演した清田みくり、ドラマ「カカフカカ -こじらせ大人のシェアハウス-」の花岡すみれといったフレッシュかつ話題性に富んだメンバーが集結した。

さらに「舞子さんちのまかないさん」の三浦理奈や、アーティスト「ゲスの極み乙女。」のドラマーほな・いこかとしても活躍する俳優、さとうほなみといった面々が脇を固める。

なかでも仲吉玲亜や花岡すみれは舞台作品から続投する形での参加となり、2年のときを経て再び同役を演じることに大きな喜びを感じている様子。新たに浮かんだ解釈や考え、2年が過ぎても変わらなかった思いなどを全力で演じたと、各所のインタビューで語っていた。

また、その他にも作品を彩る主題歌「波のない夏 feat.adieu」の話題性にも注目。作詞作曲は藤井隆、Kaede(Negicco)、三浦透子などへの楽曲提供で知られるソングライター“スカート”として活躍する澤部渡が務め、青春の清涼感あふれる歌をadieu(上白石萌歌)が見事に歌い上げている。キャスト・スタッフ・楽曲まで、全力投球で作り上げられているのだ。

■悩みと苦しみの先で見つかる、本当の『私』とは

高校2年生のココロとミクが夏休みの補習としてプール掃除を指示されるところから始まる。そして2人がプールの掃除をしているところに水泳部のチヅル、水泳部を引退した3年の先輩・ユイも合流。集まった彼女たちは学校生活や恋愛、メークなど、女子高校生の他愛ない会話を続けて行く。しかし、そのなかで次第に抱えてきた悩みが口からこぼれはじめ、物語が展開していく。

夏の青空の下、水の入っていないプール、16歳、17歳の少女たちの悩み。それだけでエモい雰囲気があふれそうなワードを散りばめた同作だが、解放的な雰囲気と同時に生々しい雰囲気を内包している。青春とはハツラツとした清涼な輝きだけではない、重く鬱屈した濁りも混在するものなのだ。

既に発表されている予告編では、祭囃子の音や突き抜けていくような青さの空などですがすがしい“夏の季節感”が強調されている。しかしその実、彼女たちの口から漏れ聞こえるせりふは清涼なものばかりではない。「どんだけ頑張ったってさぁ…“女”やん」「メーク落ちたら私じゃなくなるんよ…」「チヅルは“女”を理由に逃げてるだけやろ」それぞれが抱えている性差、不自由さ、さまざまな悩みが交錯していく生々しい感情が感じ取れる。

青春は物語に描かれる美しい部分だけではない。若者たちが理想と現状の差にしっかり気付き、あがいてもがく時期でもある。「ここからよ、ここから」そんなせりふで閉じる予告編。ずっと砂が降り積もり続ける水のないプールで、彼女たちはどんな結論を得るのだろうか。

「水深ゼロメートルから」は、5月3日より全国上映中。10代の青春時代に抱える重々しい悩みや苦悩、そしてそれらとの対面を経て始まる本当の「私」はどんなものなのか、そして彼女たちはどのようにこの夏を過ごしていくのか。当時高校生であった原作者だからこそ描くことのできる世界観を、訪れようとしている初夏の空気とともに味わえるはずだ。



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