50代になったら自分に「ご褒美」だけじゃなく「初期投資」してみるといい【堀井美香さんインタビュー】

堀井美香さん

50代になったら自分に「ご褒美」だけじゃなく「初期投資」してみるといい【堀井美香さんインタビュー】

5月24日(金) 12:00

50代になったら自分に「ご褒美」でなく「初期投資」してみるといい【堀井美香さんインタビュー】
【画像を見る】堀井美香さんが実際に行った自分への「初期投資」とは?

50歳を機にアナウンサーとして28年勤めていたTBSを退社し、フリーになった堀井美香さん。現在は、ナレーションやラジオ、ポッドキャスト「OVER THE SUN」「WEDNESDAY HOLIDAY」のほか、朗読劇や図書館での読み聞かせにも精力的に取り組んでいます。中でも一人朗読会「Yomibasyo Project」は異例の人気でチケットはあっという間に完売してしまうほど。そんな美香さんに「50代、自分への投資」についてお伺いしました。

■「なんとかなるよ」退社を決めた時に相談した先輩たちの助言通り!

――独立されて、今は事務所に所属されていますが、フリーになられて会社員時代のスキルは役立っていますか。

堀井美香さん(以下、堀井)会社員として働いていてよかったと思えることは、事務的な作業が一通り出来るようになったということですね。特にデスクというポジションになると、タクシーの手配、衣装、打ち合わせの場所を押さえるとか、関係各所のメールのやり取りまで。今の事務所スタッフがやってくれるようなことはほぼ自分一人でやっていました。

しかも、自分のためじゃなく、後輩たちのために一人事務所状態でした(笑)。堀井班というのがあって、そこに所属するアナウンサーたちを動かして、スケジュールの管理もする。それに比べれば、独立後は自分一人のマネージメントだけなので、全く苦ではありませんでした。

領収書などのお金の管理や、健康診断なども、会社員時代はしっかりやるように教育されてきたので、今も確定申告や健康診断の時期になると、勝手に体が動く。社会人としてのルールを守るというところに全くストレスはないですね。

チームで動いてきたから、集団でゴールに向かう時に、周りに迷惑をかけないというのは会社で身につけたスキルだと思います

――デスクとしてのスキルが、独立後も役立ったんですね。逆にフリーになられて大変だったな、不安だなと思われたことはありますか。

堀井不安になったのは、やはり退社するちょっと前くらいですかね。番組や仕事仲間の方々がみんな自分から離れていってしまうんじゃないかと思って、ちょっと不安になったこともありました。

でも、独立されている先輩方にいろいろ相談したら、みんな一概に同じことを言うの。「なんとかなるよ」って。当時は「なんとかならないから相談してるのに〜!この不安な気持ちをどうすればいいの?」って思っていたんですが、いざ出てみたら…本当になんとかなるなって思って。あと、自分が気にしていたことって、どうでもいいかなって思えて。そんな心境でした(笑)。



■2つのホール予約は覚悟の表われ。自分を奮い立たせる美香さん流の働き方
50歳で退社後、仕事が決まったわけでもないのに、ホールを2つ予約。自己投資としても思い切った金額でした

――退社後、仕事が決まったわけでもないのに、ホールを2つ予約されたというお話を著書「一旦、退社。~50歳からの独立日記」に書かれていましたが、自己投資としても思い切った金額だったと思います。勇気ある決断でしたよね。

堀井そうですね。当時を振り返ってみると、自分でいい方法を見つけたなって思っています。ホールを押さえるって、1年先じゃないと取れないので、今も1年先とか何年先まで朗読会の予定が決まっているんです。

自由だよ、フリーだよって外にパッと出ると、何も課せられるものがないし、ノルマもない。そうなると「私って本当に必要?」ってネガティブな気持ちになって、「もういいかな…」って表舞台から引っ込むことや、仕事に対するカロリーを抑えて生きていくこともできるんですよね。

だけど、一年先に大きい仕掛けを置いておくと、演出家を頼まなきゃいけないし、脚本を探さなきゃならないし…ってどんどん自分の首を絞めながらも、ちゃんとゴールに進んでいける。これは自分にとっていいやり方を考えたなって思っています。

――自分に負荷をかけることで追い込まれる状態に?

堀井そう。動かざるを得ない、走らざるを得ない、途中でやめるなんてできなくなるっていう、いい仕掛けだなと思っていますね。



■母として妻としての役割が減り、一人の自分に戻って時間とお金の裁量権がもてる

――女性は自分にちょっとしたご褒美をあげたりするのは上手ですけど、自分の仕事のために大きな初期投資をするっていうのは「失敗したらどうしよう」と思ってなかなかできない人が多いと思うんですが、美香さんはそれができたのが素晴らしいですね。

堀井経済的にも環境もそれぞれに違いがあると思います。それでも50をすぎるとどこにお金や時間を使うのか、少し自由にもなってくる。私の場合は、母親として、妻としての役割がだんだん減ってきて、一人の自分に戻った時にその裁量権をものすごく感じました。

それこそ、何かを新しく学んで仕事に活かすも良し、アンチエイジングに目覚めて化粧品に凝っても良し、趣味や癒しの時間を作るも良し、自分らしくいるために、堂々と必要なものを選びとっていいと思っているんです。

――確かに、親が元気でいてくれたら、50代は子どもに手がかからなくなってちょっと自由な時間ができますよね。

堀井同い年くらいだとご両親のお世話が本当に大変なかたもいるけど、若い時と違うのは、「それなりに知恵を持っている」ってことですね。大変さや辛さを逃がす方法…一人になる時間を作るとか、自分を保つための過ごし方を割と冷静にやれるようになる。大変だけど、そのことだけに囚われて行き詰まってしまう、ということは少なくなるんじゃないかと思います。

例えば「親の認知症が進んで大変」と言うある友達は、ヘルパーさんなどを上手に活用して気分転換にジム行ったり、習い事をしたりと自分のためにも時間を使っています。大変さを逃がす知恵が、心の余裕に繋がっているなって感じます。
気分転換にどこかへ行ったり、ジム行ったり、習い事をしたり、自分のためにも時間を使っていて、その間もヘルパーさんなどに頼むなどちゃんと知恵を持ってやれているので、どこかに心の余裕があるなって感じます。


――「OVER THE SUN」の互助会員(リスナー)の皆さんもいろいろあってもユーモラスで明るさがあって素敵ですよね。今はたくさんのお仕事をされていますが、こんな仕事もやってみたいという気持ちはありますか。

堀井今のような、人前に出てしゃべるような仕事ではない働き方にも興味はあります。今の仕事が面白くてあと何年か続けるのか、もうそろそろいいかな、こっちやりたいなってなって全然違う方に行くのか…いつでも変化できる状況に自分を置けているので、この先、自分がどのタイミングでどういう選択をするのかは全然わからないですが、その変化も楽しみです。

***

50歳での独立で、思い立ったらえいやっと一歩を踏み出す軽さと自分をしっかりと追い込んで奮い立たせる術を身につけた美香さん。8月12日(月・祝)に新日本フィルハーモニー交響楽団「Hello!シネマミュージックin Summer」のナレーション・司会を担当することが決まっており、美香さんの語りとクラッシックとのコラボレーションにも期待が高まります!





▶プロフィール
堀井美香(ほりい・みか)
堀井美香さん

1972年、秋田県生まれ。ʼ95年TBSにアナウンサーとして入社し、2022年に退社しフリーに。現在は数々の人気番組のナレーションのほか、ジェーン・スーさんとのPodcast番組『OVER THE SUN』が人気を集める。その他朗読会などのイベントも手掛ける。著書に『一旦、 退社。~50歳からの独立日記』(大和書房)など。
2024年8月12日(月)の新日本フィルハーモニー交響楽団「Hello!! シネマミュージックin Summer」にナレーション・司会として出演予定。

取材・文=竹林和奈


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