頑張り過ぎないで!【平井理央  コラムNEWS箸休め】

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頑張り過ぎないで!【平井理央 コラムNEWS箸休め】

5月4日(土) 8:00

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春ですね。新社会人かな? という、真新しいスーツに身を包んだ若者たちを街で見かけるたび、全然縁もゆかりもないのに勝手に社会人の先輩面になってエールの念を送っています。「頑張り過ぎないでもいいんだよ」と。

自分も社会人になった20年前を振り返ると、足りないことだらけの22歳の私はいつも精いっぱいでした。原稿はうまく読めないし、80人近くいたアナウンス室の上司、先輩の名前を覚えるのにも一苦労。電話を取る時もアクセントや言葉遣いへの指摘があるため、ありがたい環境ではあるのですが、四六時中緊張していました。

初めてのテレビの仕事は、バラエティー番組で、タレントさんのバックダンサーとしてチアダンスをするというオファーでした。依頼とはいえ、そこに選択の余地はありません。アナウンス研修を夕方まで受けた後、ジャージに着替え、地下のリハーサル室でダンスを練習する日々。「あれ? 私、何の会社に入ったのだっけ?」と鏡に映るジャージ姿の自分を見ながら、考え込んでしまったこともありました。

そんなスタートをきった会社員生活は働き方改革前だったこともあって「大きな流れに乗らなきゃ」「フル回転し続けなきゃ」と走り続けた日々でした。夜のスポーツ番組を担当していた当時は、会社を引き上げるのが午前1時過ぎで、4時ごろに眠りについていました。国内時差ボケ状態で、寝不足が続き、休日は寝て終わってしまうこともありました。

五輪や世界的なスポーツイベントなどの現場中継を任せてもらうようになり、競技に打ち込むアスリートたちへのインタビューは心が晴れ晴れとして大好きでした。

楽しくて充実した毎日でしたが、持続できるとは思えず、かといって止まり方も分からず、30歳を前に退社を決意しました。キャリアを積むために、がむしゃらに頑張ってよかったと間違いなく胸を張って言えます。だからこそ、得られたものは大きかった。ただもっと長く走り続けたかったら、そこまで力まなくてもよかったのかなと、今になって気づくこともあります。タイムマシンがあって、当時の自分に伝えられるとしても結局、私は同じ働き方を選択しちゃうのかもしれませんが・・・。

ある調査では、新社会人の8割が「仕事を全力で頑張りたい」のだそうです。その張り切った気持ちは素晴らしいし、尊いのですが、輝くやる気のペース配分を上手にコントロールできる体制が、社会全体で育まれていくことを願っています。

【KyodoWeekly(株式会社共同通信社発行)No. 18&19からの転載】


平井理央(ひらい・りお)/1982年東京生まれ。2005年、慶應義塾大学法学部卒業後、フジテレビ入社。スポーツニュース番組「すぽると!」のキャスターを務め、オリンピックをはじめ国際大会の現地中継などに携わる。13年フリーに転身。ニュースキャスター、スポーツジャーナリスト、女優、ラジオパーソナリティー、司会者、エッセイスト、フォトグラファーとして活動中。



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