妻夫木聡&渡辺謙、北川悦吏子脚本ドラマに出演して感じた“今を生きる幸せ” 『生きとし生けるもの』

5月1日(水) 8:00

妻夫木聡さんと渡辺謙さんが主演を務めるテレビ東京開局60周年特別企画ドラマスペシャル『生きとし生けるもの』が、5月6日(月・休※TVerでリアルタイム配信もあり)の20時より放送されます。

本作は、人生に悩む医者と余命宣告された患者の2人が、人は何のために生き、何を残すのかという永遠の問いの答えを求めながら各地を巡るヒューマンドラマ。妻夫木さんは、人生に悩む医者・佐倉陸役。渡辺さんは、陸と旅をする余命宣告を受けている患者・成瀬翔役を演じます。

そして物語を綴るのは、『ロングバケーション』(フジテレビ)や『ビューティフルライフ』(TBS)などで知られる脚本家・北川悦吏子さん。そんな北川さんが手掛けるストーリーの印象やこの度の共演などについて、妻夫木さんと渡辺さんにうかがいました。

「医療もののオファーは断っていた」渡辺謙、北川悦吏子の熱烈メールで参加を決意

――余命宣告された患者と、メスを握れなくなった医者がバイクで旅に出るという内容の本作。最初に物語に触れた際の印象をお願いします。

妻夫木:北川さんが描く世界観って、独特ですよね。ファンタジックで「こういう世界があったらいいな」と思わせてくれる。本当だったらありえない設定なのですが、自分とどこか重ね合わせられるような。自分もその人生を生きていけるような作品だなという印象を受けました。

渡辺:基本的に僕は、医療ものの作品のオファーが来てもほとんどお断りしていました。自身が過去に病に侵されたことがあり、「病気の本当の苦しみや悩みは、ドラマで描けるのか?」と思っていたんです。そのことを綿々と書き連ねたメールを北川さんに送ったところ、その3倍くらい長いメールが返ってきました。北川さん自身も病と向き合って執筆活動を続けており、「生きていく喜び・幸せとはなんだろうということを、置手紙のように書きたい」という思いが綴られていて、それならば参加しようと。

脚本を読んでの印象は、「この内容を放送して、テレ東大丈夫なの?」と(笑)。生きることへの執着や、支える人々の愛が描かれていて、最初は「重い話だな」と思いました。しかし、本読みの時に「もうちょっと軽くお願いします」とディレクションが入り、生死について描いてはいるものの、ライトである意味滑稽な“北川節”のある物語にしたいんだなと方向性を掴みましたね。

――この作品に出演して、役を演じて得たものはありますか?

妻夫木:自分が今、何のために生きているかということを考えるきっかけの作品になりました。そして出た答えは、僕は家族のために生きているんだなと。子供ができるまではそんなこと考えたこともなかったし、役者という仕事が好きで邁進するのみ、いつ死んでもいいやとも思っていました。しかし、人はいつか死ぬけれど、死をゴールとして生きているわけではない。「今を生きる」なんて臭いと思っていましたが、“今”はとても貴重だと思います。ただコーヒーを飲んでいる瞬間も、幸せに感じるようになりました。

渡辺:劇中「小さな瞬間の積み重ねが人生だ」というメッセージが込められた台詞があります。きっと北川さんも辛いことや苦しいことがある中で、小さな幸せを見つけて生きていらっしゃるんだろうなと感じました。そしてそういう瞬間は、僕にも、きっと誰の些末な日々の中にもあるものなんだなと思いましたね。

――作品にちなんで、おふたりが「死ぬ前にやりたいこと」はありますか?

妻夫木:山ほどあります。海外の作品に出てみたいですし……。

渡辺:それ死ぬ前でいいの!?

妻夫木:「死ぬまでに」ですかね?(笑)。よく「次はどんな役を演じてみたいですか?」と聞かれるのですが、正直「ない」というのが本音です。目の前のことに全身全霊を尽くし、あまり余計なことを考えずに向き合うことが大事だと思っています。あとは、やはり家族のこと。毎日変化していく子供たちを見ていると、やりたいことだらけです。僕が死ぬ時に子供はいくつになっているかわかりませんが、死ぬ瞬間に子供たちの顔を見られたらいいなとか、側にいなくても元気でいてくれたらいいなとか。あまり自分のことで「あれやりたい」「これやりたい」という欲はなくなってきました。

渡辺:僕も、死が目前に迫っているわけじゃないからかもしれませんが、考えても何も浮かばないですね。目標やゴールを設定していないので、今、目の前にあるものとどう向き合うかということで精一杯です。

妻夫木:謙さんって、すごく計画的に生きている方だと思っていました。でも、色々とお話を聞く中で、たまたまスケジュールが空いていて参加した作品があったり、ご病気も経験されたり……。それを聞いていると、僕なんてこれっぽっちしか生きていないなと思わされました。

渡辺:ミドルネームは「行き当たりばったり」だからね(笑)。

妻夫木聡&渡辺謙、お互いの印象は「『池袋ウエストゲートパーク』(TBS)から変わらない」

――おふたりが本格的に演技で絡むのは、本作が初とのこと。共演経験は何度もあると思いますが、改めて現場を共にしてみていかがですか?

妻夫木:確かに同じ作品には出ていたけれど、芝居で絡む機会はあまりありませんでした。でも会う度に話はしていて、謙さんは想像以上にキュートな方です。クレバーな部分は持っているし、作品がどうすればもっと良くなるかを一番に考えて貪欲に向き合っているけど、人間性としてはとてもお茶目。謙さんがいると場が和みます。リーダーシップも包容力もあって、誰に対しても同じ目線で向き合ってくれる。今作の現場で謙さんが先にクランクアップしたのですが、僕やスタッフさんたちが“謙さんロス”になったほど(笑)。『池袋ウエストゲートパーク』で共演した頃からそうでした。当時18~19歳の僕のような若造にも気さくに話してくれて、なおかつ若い人たちの意見も取り入れてくれて、励みになりました。

渡辺:妻夫木くんは『池袋~』の頃から変わらない。いつどこで会っても、結婚して子供が生まれ背負うものもできたけど、全然変わらないです。人生をステキに生きているからこそ、変わらないんじゃないかな。これから年齢を重ねて、その変わらない部分がどう変化していくのか、すごく楽しみです。

――2人で旅をするストーリーということで、お話する機会はたくさんあったと思います。その中で特に印象的だったことは?

妻夫木:撮影中のエピソードじゃないのですが、クランクイン前に謙さんの家に泊まらせてもらったことですね。

渡辺:劇中、キャンプに行ってウィンナーを焼くシーンがあるのですが、それを実践したくて(笑)。妻夫木くんはすごく真面目で、うちに泊まりに来る前にキャンプ場に行ってシミュレーションしてきたんですって!しかもその日がこの秋一番寒い日だったらしくて、全然眠れなかったそうです(笑)。そんな状況下で美味しい物を食べた時にどう感じるかをしっかり学んできていて、素晴らしい役者だと思いました。なので僕の家に来た時は、とびきり美味しいお肉を食べさせて暖かくして寝かせました(笑)。

妻夫木:とても美味しかったです(笑)。

――妻夫木さんはテレ東ドラマ初出演となります。もともともっていたテレ東の印象、撮影現場に入ってみて感じたテレ東らしさはありますか?

妻夫木:他局とは違う、独自性を持った局だと思っていました。あとは、アニメ。子供の頃、すごくアニメが好きだったので、テレ東さんを見る機会は多かったです。好きなことやっているようなイメージがあったので、実は出演するのがすごく楽しみだったんですよね。しかし今回、映画の制作陣がスタッフに集まっていたので、テレ東らしさはあまり実感できませんでした(笑)。

――渡辺さんは、何かテレ東へのイメージはありますか?

渡辺:妻夫木くんの言った通り、他局にはない視点で番組を構成しているなと。個人的にも面白い番組が多いと思っていて、見る機会は多いです。最初にも言いましたが、そんなテレ東が北川悦吏子さん脚本で、こんなテーマのドラマを作るなんて「大丈夫か!?」と思いました(笑)。

――最後に、放送を楽しみにしている視聴者へメッセージをお願いします。

妻夫木:北川さんの脚本って、「自由に」「ここは現場にお任せします」みたいな部分があったりするんです。それが今作にもあって、歌ったり踊ったり、またハプニングも映像に使われていて、そういう余白的部分が台本よりも膨らんで面白いシーンになっていたりします。そこに是非注目してほしいですね。

渡辺:重いテーマではありますが、その重さを忘れられるシーンでもあるよね。それが北川脚本の真骨頂だと思います。是非ドラマを見てもらって、陸と成瀬と一緒に旅している気分になり、「生きるとはどういうことなんだろう」と考えながら、そういったシーンでクスっと笑ってもらえたら嬉しいです。

<あらすじ紹介>
佐倉陸(妻夫木聡)はたぐいまれなる才能を持った外科医だった。しかしあることがきっかけでメスを握れなくなる。精神的にも追い詰められた結果、外科を追われ内科医となった。入院患者と向き合う日々が続く中で、余命宣告されたがん患者である成瀬翔(渡辺謙)の担当医に。繰り返される手術と抗がん剤治療にうんざりした成瀬は陸に「殺してくれよ」と言った。陸はあっさりと「いいですよ」と。「でもその前に、やりたいことはありませんか」。そして2人は病院を抜け出し、バイクで旅に出た。キャンプをしたり、生まれた街へ行ったり、初恋の人・中野百合(原田知世)に会ったり。成瀬はたびたび体調を崩すが、主治医である陸がついているから安心だった。2人の失踪は上司の小宮滝人(田中哲司)や看護師・菅田陽子(大政絢)らの知る所に。しかも研修医・吉岡薫(杉野遥亮)は陸がある薬を薬品棚から持ち出すのを目撃していた……。人生最後の旅を通して「人は何のために生きるのか」を模索するロードムービー。

取材・文:米田果織
◆妻夫木聡さん:スタイリスト/小松嘉章(nomadica)、ヘアメイク:勇見勝彦(THYMON Inc.)

◆渡辺謙さん:スタイリスト/JB、ヘアメイク/倉田 正樹(アンフルラージュ)
●衣装協力BURUNELLO CUCINELLI●問い合わせ先ブルネロ クチネリ ジャパン株式会社/03ー5276ー8300

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