日経平均が一時4万円の大台を突破し、世間は色めきたっているが、賃上げは一部の大企業に限られ、いまだ道半ばだ。ただ思いもよらない理由で、すでに好景気に沸いている業界もある。どんな仕事の給料が爆上げしているのか？ 働く人々の暮らしぶりに迫った！

学生が月給82万円を稼ぐ観光人力車！

活況を呈する東京の下町・浅草で、特に人気を集めるのが観光人力車だ。大学4年生の鈴木重一郎さん（22歳）は、入学してすぐ人力車で浅草の街を案内する「東京力車」のアルバイト車夫として汗を流してきた。応募時の時給は1800円と高額だったが、お金目当てではなかったという。

「カッコいい仕事がしたかったんです。自分の長所はコミュニケーション能力なので向いてるかなって。でも、働き始めた頃はちょうどコロナの感染拡大で、全然稼げませんでした」

だが、コロナが収束に向かいインバウンド需要が復活し始めると、鈴木さんは長所をいかんなく発揮していく。

「末っ子なので年上の人の対応はもともと得意です。英語はできますし、中国など英語圏以外の国のお客さんにも、4つぐらいは言葉を覚えて話すようにしました」

時給は2000円に上昇。でも収入増に大きく寄与したのは…

東京力車の時給は、能力に応じて毎月100円単位で変動する。鈴木さんの時給は2000円に上昇。ただ、収入増に大きく寄与したのは、客を勧誘できれば上乗せされる歩合給や、高い業績への賞金など、好景気の影響が出やすいインセンティブだ。

大学卒業後はМ＆Aのコンサル会社への就職が内定している鈴木さんの能力が高かったのはもちろんだが、旺盛なインバウンド需要が人力車の賃上げを後押ししたのも事実だろう。最盛期には、歩合給などインセンティブだけで56万円を稼ぎ出し、月給は82万円に達したというから驚く。

高給バイトで海外旅行の費用を捻出

「昔、単発で引っ越しバイトをしたときは、一日中体がボロボロになるぐらい働いたのに、時給は1100円でした。でも、人力車の仕事はプライベートと両立させながら稼ぐことができる。おかげで、南極旅行やアメリカ横断の自転車旅の費用を捻出できました。明日からは、ドバイにスカイダイビングをしに行ってきます！」

好況のインバウンド関連業種では、学生でも海外旅行三昧の生活を楽しめるのだ。

鈴木さんのBEFORE⇒AFTER

●月給28万5500円
人力車の平均的な時給1500円で20日勤務した場合。なかなか高給だ
↓
支給額計82万0800円（187％UP!）
基本給22万1400円
歩合給21万9000円
賞金など34万1500円
出勤日数20日

取材・文／週刊SPA！編集部



【関連記事】
・ 25歳・松葉ガニ漁師の月給は250万円。出勤日数は月に「たった9日」なのに、稼げる理由
・ 「ゴルフ場の池に落ちたボールを回収する仕事」で月収100万円。“2時間潜りっぱなし”仕事の苦労を語る
・ 「月収100万円超の同僚も多い」32歳タクシー運転手は半年足らずで月給60万円に。家賃21万円の4LDKに引っ越し予定
・ 賢い人が実はやっている「給料を上げる裏技」。給料が上がった会社員1000人に聞いた
・ 月給36万円から72万円に倍増した26歳・荷揚げ作業員。半導体バブルに沸く熊本「建築ラッシュ」の実相