人が健康を維持するために必要な栄養素を全て含んだ加工食品 “完全栄養食”が近年注目を集めている。株式会社矢野経済研究所が2023年に発表した調査結果によると、2022年度の国内のニュートリション(栄養)市場は1兆7136億円(前年度比102.1%)と推計。その後、2025年度(1兆8089億円)、2023年度(1兆9895億円)と右肩上がりを続けると試算した。
ニュートリション市場が成長する理由として、同社は「人々のライフスタイルが多様化するなかで、フェムケアフードや完全栄養食、パーソナライズフードなどの新興市場が急成長しており、若年層を中心に支持が高まっている」と指摘しており、完全栄養食の盛り上がりを予想している。現在、完全栄養食はコンビニやスーパーで見かける機会が増えており、今後は日常生活に馴染んでいくのかもしれない。
完全栄養食と“普通の食品”、味の違いは
とはいえ、「良薬は口に苦し」という言葉がある通り、
完全栄養食は確かに栄養面で優れているのかもしれないが、味は微妙な可能性も低くはない
。そこで食品メーカー・日清が展開するブランド「完全メシ」の商品と、類似の“普通の商品”を食べ比べてみた。
100円以上高いだけあって栄養面は優秀
まず「完全メシ カレーメシ 欧風カレー」(429円/税込・公式サイト価格※以下同)と「カレーメシ ビーフ」(289円)を食べ比べる。
栄養をざっと見ると「完全メシ カレーメシ 欧風カレー」は470kcal、たんぱく質20.9g、脂質12.4g。
一方「カレーメシ ビーフ」は465kcal、たんぱく質7.2g、脂質15.5gという感じ。
「完全メシ カレーメシ 欧風カレー」のほうがたんぱく質が高く、脂質は低い。やはり100円以上高いだけあって栄養面は優秀。
とはいえ、今回は味を重視した食べ比べ。「カレーメシ ビーフ」と比較しながら「完全メシ カレーメシ 欧風カレー」を実食レポする。
ドロドロカレーvsシャバシャバカレー
まず「カレーメシ ビーフ」は容器内にカレールーが入っており、それをお湯で溶かすためドロッとした仕上がり。
対して「完全メシ カレーメシ 欧風カレー」は同封されているパウダーを混ぜてカレー味にするため、
ドロドロ感はあまり出ずにシャバシャバしていた
。
個人的にはドロドロのほうが好みのため、食べ比べる前から「カレーメシ ビーフ」がややリード。
完全メシはあまりコクが無くアッサリ
味については「カレーメシ ビーフ」は「ビーフ」と謡っているだけあってビーフカレーらしさを感じた。トマトの香りに加え、玉ねぎの甘さもあって本格的なカレーの味わい。
「完全メシ カレーメシ 欧風カレー」も味は美味しいと言えば美味しい。しかし、「カレーメシ ビーフ」と比較すると、あまりコクが無く物足りなさを覚える。
どちらの商品もパッケージに「たまねぎの旨味と甘味ドドドーン」と記されているが、「完全メシ カレーメシ 欧風カレー」は「カレーメシ ビーフ」から感じた
たまねぎの甘さはあまり確認できない
。栄養という概念を一切無視するのであれば、「カレーメシ ビーフ」に魅力を感じた。
「U.F.O.」の完全メシとノーマルを比較
次に4月1日にリリースされた「完全メシ 日清焼そばU.F.O. 濃い濃い屋台風焼そば」(429円)と、カップ焼きそばの定番「日清焼そばU.F.O.」(254円)を比較する。
栄養素の一部を見ると「完全メシ 日清焼そばU.F.O. 濃い濃い屋台風焼そば」は451kcal、たんぱく質17.7g、脂質12.6g。
「日清焼そばU.F.O.」は556kcal、たんぱく質9.4g、脂質20.9gとやはり「完全メシ 日清焼そばU.F.O. 濃い濃い屋台風焼そば」の栄養面のほうが優れていた。
味は完全メシの圧勝。“屋台風”に偽りなし
そして、味のチェックに入る。結論から言うと
「完全メシ 日清焼そばU.F.O. 濃い濃い屋台風焼そば」の圧勝だった
。
まず「日清焼そばU.F.O.」はとにかくシンプル。甘辛いソースをまとった大量の麵を口いっぱいに頬張ると、何物にも代えがたい背徳感・幸福感を得られる。とはいえ、味がシンプルかつ麵が多いため、食べ進めるとどうしても飽きが来てしまう。
食べながら味変したい衝動に何度も襲われた
。
しかし、「完全メシ 日清焼そばU.F.O. 濃い濃い屋台風焼そば」は、同封されている粉末と液体の2つのソースを使用しているからなのか、味に深みがあり飽きることなく食べ進められた。
また、液体ソースが麺にベチャベチャに絡み、「屋台風」という名前に偽りなく、
鉄板で焼かれている麺にソースを大量にかけたような良い意味での“粗さ”が目立つ
。味自体もニンニクの香りをほんのり感じられ、ジャンクさをより引き立てていた。
ソースの風味もさることながら、麺のクオリティも秀逸。「完全メシ 日清焼そばU.F.O. 濃い濃い屋台風焼そば」ではノンフライの麺を使用しており、
一般的なカップ焼きそばの麺では出せないモチモチ感があった
。さらには、生麵のようなちぢれ麵になっており、食感も単調にならずに楽しめる。容器が縦長のため混ぜる際、粉末ソースがこぼれやすいことに不満を覚えたが味自体はかなり満足できた。
すでに類似商品の味を超える完全栄養食も登場しており、今後どのようなクオリティになっていくのか楽しみだ。
<写真・文/望月悠木>
【望月悠木】
フリーライター。主に政治経済、社会問題に関する記事の執筆を手がける。今、知るべき情報を多くの人に届けるため、日々活動を続けている。Twitter:@mochizukiyuuki
【関連記事】
・
「吉野家でビールを飲む人」が増えてほしいと願うワケ。一人飲みして感じた“幸福感”と“2つの課題”
・
なぜ今年「日高屋」が突然ブームに?ラーメン390円のコスパだけじゃない“納得の理由4つ”
・
コオロギパンはなぜ嫌われる? 今食べなくても良いと思った決定的な理由とは
・
実はバーガーキングで“安くお酒が飲める”って知ってた?バーガーとの相性も最高だけど、一つ残念だったのは
・
絶好調「日高屋」に大きな変革。“ラーメン以外の新メニュー”が熱い!まず頼むべき300円おつまみは