『劇場版ブルーロック』島崎信長&浦和希が語り合う、凪視点だから生まれる潔世一の“脅威”「同じシーンの印象がこんなに変わるんだ」

『劇場版ブルーロック』島崎信長と浦和希、劇場版で変化した演じ方とは?/撮影/興梠真穂

『劇場版ブルーロック』島崎信長&浦和希が語り合う、凪視点だから生まれる潔世一の“脅威”「同じシーンの印象がこんなに変わるんだ」

4月20日(土) 17:30

国内から集められた300人の高校生FW(フォワード)が、たった一人“世界一”のエゴイストストライカーを目指してしのぎを削り合う「ブルーロック」。サッカーを題材にしながらも、そこに描かれるのは友情や熱い青春――だけではない。世界一のストライカーになれるチャンスの代償として、そこからこぼれ落ちた選手には二度とチャンスが与えられない、そんな“デスゲーム”の要素をもあわせ持つ異色のスポーツ漫画として注目を集め、2022年にはテレビアニメ化、2023年には舞台化もされた。
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「ブルーロック」の主人公である潔世一は無名の選手であり、ストライカー育成のためのプロジェクト“ブルーロック(青い監獄)”を通して大きく成長していく。作中で圧倒的なサッカーセンスを発揮する、ライバルである凪誠士郎の存在は、潔の成長の起爆剤となり、同時に潔の成長もまた凪を覚醒させるトリガーとなる。シリーズ初の映画化となる『劇場版ブルーロック -EPISODE 凪-』(公開中)は、凪を主人公に据え、「ブルーロック」を凪の視点から描く作品だ。

MOVIE WALKER PRESSでは、今作の主人公である凪を演じる島崎信長と、ライバルである潔を演じる浦和希の二人にインタビューを敢行!キャラクターの立ち位置が異なることによる変化や、本作の魅力と見どころについて聞いた。

■「劇場版にテレビシリーズ第2期と、作品が続いていくことが純粋にうれしかった」(浦)

――劇場版と、テレビシリーズ第2期の制作が同時に発表され、ファンにとってはとてもうれしい知らせでした。お二人はこの決定をどのように知り、どう感じましたか?

島崎「僕はなんとなく察していたというか、スタッフさんの雰囲気や今後のスケジュールの相談をいただく過程で、おそらく続くんだろうなと。逆に浦くんには、しっかり情報統制されていた気がします(笑)」

浦「そうなんです!僕は本当に直前まで知らなくて、ある取材の際に『第2期と劇場版が決まりましたが…』という質問をいただいて、『そうなんですか!?』ってなりました(笑)。現場では『劇場版や第2期をやりたいね』という話もしていたし、ファンの皆さんからとても愛されている作品だとも思っていたので、素直にうれしかったです。その時はまだテレビシリーズ第1期の最終話を収録していなかったんですが、『これで終わりなんだ…』ではなく『まだまだ続くぞ!』と思えたからこそ、テレビシリーズ第1期最終話のラストシーンはまた違った演じ方ができました」

島崎「ただ、『EPISODE 凪』が劇場版になるというのは意外でした。テレビシリーズの次のエピソードである『U-20日本代表戦』を劇場でやってもきっと映えるし、カッコイイだろうなと思っていたので。でも凪が主人公になるという点では『頑張らなきゃ!』と思ったし、なによりチームVのメンバーがすごく好きだし、盤石のメンバーだったので、楽しみな気持ちも大きかったです」

――『EPISODE 凪』のアフレコ中の思い出や、印象に残った出来事はありましたか。

浦「今作では潔が主人公ではないということもあり、これまでとは少し演出が変わっていました。具体的には潔の“底知れなさ”とか“余裕”とか、凪にとっていかに強そうで、“脅威”になれるかというところでした。テレビシリーズと同じシーンを再び演じるというのは貴重な経験でしたし、信長さんや監督とも会話しながら生まれたお芝居だったなと思います」

島崎「印象に残ったといえば、やっぱり斬鉄かな(笑)。斬鉄のキャラクターや言動は、ウケようと思ってやると絶対スベると思うんですよ。でもあの興津(和幸)さんが本気でやってくださるからこそ、毎回本当におもしろくて。みんなが話している裏で一人で斬鉄がなにかを言ったりするところも全力でやってくださったのは、さすが興津さんだなって思いました」

■「“天才”というフィルターを外した、生身の凪を演じました」(島崎)

――テレビシリーズ、劇場版と演じてこられたなかで、ご自身のキャラクターの捉え方や演じ方が変化した部分はありますか。

浦「今回は凪にフォーカスした作品ということで、『凪から見た潔』が描かれています。そんななかでも潔の言葉や行動がやっぱりどこか“主人公”っぽくて…。この“主人公”らしさを後に続くシリーズでももっと引き出したいし、自分も演者としての自覚をもっと持つべきだなと感じて、声優としてももっと成長していきたいと思わされるきっかけになりました」

島崎「僕は凪について捉え方が劇的に変わったということはありませんが、浦くんが話してくれたのと関連して、『視点が違うとこんなに変わるんだ』というのは感じました。テレビシリーズでの凪は潔を主軸にして描かれるので、得体のしれない敵、スゴい天才というフィルターをかけられていることも多かったんですよ。本当はもっと疲れているかもしれない、余裕がないかもしれない、もっと熱くなっているかも…。でもそれを見せないことで凪のスゴさを感じてもらえるような演出になっていましたが、『EPISODE 凪』ではそれが逆転しているんですよね」

――浦さんのお話にもありましたね。今回は潔が凪にとって底の知れない存在になっている。

浦「今回、潔を演じるにあたっては、テレビシリーズの時と違って『凪が聞いている』ことを意識しています。潔が話しているだけならこういうニュアンスだけど、凪に対する圧になったり、凪になにか働きかけるための潔の台詞なので、あえて少し余裕のある感じになっているところもありますね」

島崎「僕は、テレビシリーズの時にかけていたフィルターを少しずつ外していて、『本当はこのくらい息切れしている』『本当は熱くなっている』といった生身の凪として演じています。テレビシリーズの同じシーンと見比べてもらっても楽しいのではと思います」

■「凪という人物を、“かっこいい記号の集合体”で完結させてはいけない」(島崎)

――それぞれのキャラクターのどんなところに魅力を感じていますか。演じるにあたってはそれをどう演技に落とし込んでいますか。

島崎「凪って、やっぱり“ガワ”がめちゃくちゃかっこいいんですよ。見た目もだけど、無気力でクールで面倒くさがり。そのくせやったこともないサッカーが超上手い!(笑)。そんなスマートなキャラクター、誰もが憧れてしまうんですよね。でも凪の深い魅力というのはその“ガワ”だけじゃなくて、心の奥にある“エゴ”やその熱量なんです。それに、意外とほかのメンバーとしっかりコミュニケーションをとったり、自分がいいと思った相手にはてらいもなく好感を示したり、人間的な魅力もあるし、弱さもある。だからこそ演じる時には、天才とかクールとかの“かっこいい記号の集合”だけで完結させないよう、凪という人間の奥底にある魅力を引き出せるようにしています」

浦「潔は、サッカーに対するまっすぐさがすごく魅力的だと思っています。糸師凛と出会った時の彼のボールさばきに対する感動や、世界選抜メンバーとの試合のあとにも、普通なら『悔しい!』って思うようなところで素直に『すごい』と受け止め、自分がそこに行くにはどうすればいいのかを考えるようなキャラクターです。二次選考で馬狼と組んだ時も、馬狼を変えようとするのではなく自分がうまく馬狼に適応して有利に戦うし、そういった現状打破能力みたいなものもすごくいいなって思います」

島崎「潔の対応力とかは、声優にとって理想的だよね。声優って、その場その場での対応の瞬発力を求められることが多いんですよ。例えば『大号泣の演技をして、その10秒後にそれを吹っ切った朝のシーン』とか、『3年前と10年後』とか、瞬間的な切り替えが必要になることも多い仕事なんです。即興力も求められるし、その瞬間や現場で感じたことにすぐ対応していく…というのは、潔に近いものがあると思います」

浦「確かに。信長さんなんか僕から見たらまさにそうかも」

島崎「いやいや(笑)」

■「自分の心のなかにあるエゴを主張してもいいんだと背中を押してくれる作品」(浦)

――「ブルーロック」は「史上最もアツく、最もイカれたサッカーアニメ」とも言われていますが、その作品の魅力について改めて語っていただけますか。

浦「なかなか切り込めなかったところに切り込んでいった作品なのではと思います。エゴとか世界一になりたいとか、『冷静に考えたら無理』と言われるだろうし、なかなか本気で言えないじゃないですか。それを『言っていいんだ』『頑張っていいんだ』って、自分の気持ちを主張することに対して、『いいんだよ』って背中を押してくれるような作品なのかな」

島崎「僕もそう思います。いまの時代は『俺が!』というエゴを抑え込んでしまいがちだけど、実際に世の中には競争なんてたくさんあるし、エゴを否定できないですよね。それを『言っていいんだ』っていう世界観が、読む人にとっても気持ちいいんじゃないかなと思います。加えて、やっぱりお話の構造やキャラクター作りがすごくおもしろくて、キャッチ―なんですよね。

でもそこに“中身”がしっかり詰まっているのが『ブルーロック』の本当にスゴいところで。キャラクターも一人一人とがっているんだけど、ちゃんと人間として分析していける深さがある。だからキャラが成長する時にも、都合よく『血が覚醒した』みたいな感じではなく、その人の精神性や行動原理に基づいて成長していくんです。馬狼なんてまさにそうで、だからすごく説得力があるし、おもしろいんですよ!」

――最後に『劇場版ブルーロック -EPISODE 凪-』の見どころについて教えてください。

浦「僕自身、『ブルーロック』をずっと劇場の大スクリーンで観たいと思っていました。今作は90分間の劇場版ですから、そのための絵づくりもされていますし、スタッフさんの努力もスゴいものになっていると思います。凪が躍動するシーンが大画面で観られるのが、僕としてもすごく楽しみです!」

島崎「やっぱり注目していただきたいのは、テレビシリーズと同じシーンなのに、視点が違うだけで『こんなに違って見えるんだ!』というところ。潔視点で見ると凪はとんでもない天才だけど、『EPISODE 凪』での潔は本当に底知れない、バケモノみたいなキャラクターで(笑)。テレビシリーズを観てくださっていた方はきっとおもしろいと思いますし、『EPISODE 凪』からの方にはぜひその後テレビシリーズを観てもらえたらと思います!」

取材・文/藤堂真衣

※島崎信長の「崎」は「たつさき」が正式表記


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