第96回アカデミー賞で作品賞など10部門にノミネートされた『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』(23)で、歴代単独2位となる10度目の監督賞候補にあがり、同部門史上最年長の候補者となったマーティン・スコセッシ監督。81歳を迎えても精力的に活動を続ける巨匠が、現在すでに2本の新作映画の準備に取り掛かっていることがわかった。「Variety」など全米複数メディアが報じている。
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1本目は遠藤周作の小説「イエスの生涯」を映画化する『A Life of Jesus』。スコセッシが以前に遠藤の小説を映画化した『沈黙-サイレンス-』(16)でも主演を務めたアンドリュー・ガーフィールドと『トップガン マーヴェリック』(22)のマイルズ・テラーの出演が伝えられているが、役どころについては不明。
今年1月に報じられた本作に関する第一報では、『ヒッチコック/トリュフォー』(15)を手掛けたケント・ジョーンズが脚本を務め、上映時間80分程度で現代を舞台にした物語になるといわれている。年内にイスラエルとイタリア、エジプトで撮影が行われる予定ではあるが、現状ではイスラエルでの撮影が困難であり、今後見直される可能性が高いだろう。
そしてもう一本は、1930年代から1990年代にかけて歌手や俳優として活躍した稀代のエンターテイナー、フランク・シナトラの伝記映画。シナトラ役には『ギャング・オブ・ニューヨーク』(02)から『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』まで6作でタッグを組んできたレオナルド・ディカプリオ、シナトラの2番目の妻エヴァ・ガードナー役にはジェニファー・ローレンスの名前があがっている。
15年ほど前にもシナトラの伝記映画を計画していたスコセッシ監督。しかしシナトラのあまり好ましくない側面に触れようとしたことから、シナトラに関する権利を管理している娘のティナ・シナトラが猛反対。当時の報道によれば、その時点からディカプリオがシナトラを演じるとの噂があり、また一方ではアル・パチーノがシナトラ役、ロバート・デ・ニーロがディーン・マーティン役を演じるという計画もあったが、結局実現には至らなかった。
報道によれば、今回もティナ・シナトラからの承認はまだ得られていないという。無事に制作に漕ぎ着けることができれば、『A Life of Jesus』の制作が終わり次第着手する見込みとのこと。なおAppleをはじめ各スタジオが配給権獲得に向けて動いているが、現時点ではソニー・ピクチャーズが最有力のようだ。
今後アカデミー賞監督賞にノミネートされれば、自身が記録した最年長候補記録を自ら更新することになるスコセッシ監督。現時点での監督賞の最多ノミネート記録はウィリアム・ワイラー監督の12回なので、これらの作品でそれに並ぶ可能性も充分だ。続報に乞うご期待!
文/久保田 和馬
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