献身的な支えを”人殺し”と一喝した67歳俳優の死に際にゾクゾク。存在感を示したニューヒロインから目が離せない|NHK大河「光る君へ」第14回

献身的な支えを”人殺し”と一喝した67歳俳優の死に際にゾクゾク。存在感を示したニューヒロインから目が離せない|NHK大河「光る君へ」第14回

4月14日(日) 15:46

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違う道を歩み始めたまひろと道長だが、どうしても引き寄せられてしまうのは運命……と思ってしまいたくもなる。

が、その運命に逆らわなければならないのがまひろと道長でもある。

ふたりはそれぞれ、迷いの中にいた。

やっぱり好きなのはまひろ……



久しぶりの再会を果たしたまひろ(吉高由里子)と道長(柄本佑)。

ばったりと出くわし、見つめ合う2人……これってどんなラブストーリー?というところで前回は終わっていたわけだが、再会を喜んだりもできないし、言葉を交わすこともない。

まひろは倫子(黒木華)の友人で、道長は倫子の夫。ふたりに接点はない、ということになっているのだ。ただすれ違うだけしかできない。

まひろは明らかに動揺しているし、道長も心ここにあらず。倫子に話しかけられても上の空。久しぶりに会えた喜びがあるのか、それともまひろがまだ誰とも結婚していないことに安心したのか……どちらにせよ、道長の表情が豊かになるのはいつだってまひろ絡みなのだ。結局、まひろが一番だと万が一、倫子にバレたらどうなるのだろう……。

さらば、兼家



兼家(段田安則)の体は弱っていた。老いがヒタヒタと近づいてきているのが、回を追うごとにその様子がはっきりと現れている。

死期を悟った兼家は道隆(井浦新)、道兼(玉置玲央)、道長を呼び、出家をする、と告げた。そして、自分の跡を道隆に継ぐように、とも。

これに納得できないのは道兼だ。兼家のためにこれまで汚れ仕事をしてきた。今の父があるのは自分のおかげだ、と訴える。が、異議を申し立てる道兼を兼家は一喝。

「人殺しに一族の長が務まると思うのか」

それは、まひろの母を殺めた罪。ここまでは、道兼をなだめるような言葉もたびたびあったが、もはや兼家は何も隠さない。お前の役目は一生汚れ仕事をすることだと吐き捨てる。

振り返ってみると「穢れ」というものを重く見ているのが分かる。一度汚れた手はもう綺麗にはならない、と言われているかのようだ。まひろの母を殺めたあの日に、運命は決まっていたのか。

一方で、道長も死に触れることが多い。それも、大事な人の死に。直秀の死から、ひとつの価値観が彼の中で変わったことは間違いない。「穢れ」よりも重視していることがあるのが感じられる。

そして、自分の手は汚さずとも数々の企みによって今の地位に上り詰めた兼家が穏やかな死に際であるはずがない。月を眺める兼家の表情のグラデーションが、彼の人生を辿っているようでゾクゾクとした。

新関白の独裁



兼家が亡くなったことで道隆が関白の座に就いた。穏やかで、人望がある、賢明な人……という印象があったが、関白になると自分の身内や懇意にしている者たちの位を上げていく。これをすると、道隆に摺り寄る人間が増え、Noと言える人間は減るだろう。都合よく政は回せるだろうけれど、それが良い方向に働くとは到底思えない。

おまけに、道隆は全く民のことを見ない。民をもっと見る政策を、と訴える道長には下のことは下でやればいい、と一刀両断。その下の者たちがいるから、成り立つことのほうが多いのでは?と思うが……。

いいなあ、ききょう



今回、ググッと存在感を示したのはききょう(ファーストサマーウイカ)だ。

道隆の息子・伊周(三浦翔平)の妻選びのための和歌の会に講師として呼ばれたききょうとまひろ。

「わたくしたちはただのにぎやかしですわ。あほらしッ」とききょう節がさく裂していく。

後日、まひろの家を訪れると、「先日の和歌の会はつまらぬものだった」と一刀両断。

そして和歌の会に来ていたような姫たちが一番嫌い、と言う。

「より良き婿を取ることしか考えられず、志を持たず、己を磨かず、退屈な暮らしもそうと気づく力もないような姫たち」

まひろもわりと言いたいことを言うタイプだったと思うが、思わず「そこまでおっしゃらなくても…」と言う。

「私は私の志のために夫を捨てようと思いますの」「私は私のために生きたいのです」広く世の中を知り、自分のために生きることが他の人のためになるようなそんな道を見つけたい……紙に書いて貼っておきたいような言葉である。

「自分は自分らしく、生まれてきた意味を探す」と言っていたまひろだけれど、今はそれがまだ見つけられていない状況だ。ききょうの言葉もまた、まひろの今後に影響を与えるに違いない。

まひろ、道長が感じる無力さ



自分の生きる道を模索しているまひろ。

まひろはたね(竹澤咲子)という貧しい少女に読み書きを教えていたが、彼女の父親に「文字などいらない」と言い放たれてしまう。自分たちはお偉方の慰み者じゃない、と。

もちろん、まひろは良かれと思ってしていたことだが、たねたちにとって、文字の読み書きが役に立つかは……分からない。まひろは迷いの中にいた。

一方、道長も道隆の政に不服を持ちつつも、何もできずにいる。「なにひとつ為していない」と悔しさもにじませる。

それぞれの想いがあって道を違えたはずなのに……。

忸怩(じくじ)たる思いを抱えているふたりは月を見上げる。見ている月は同じだけれど、ふたりがその悩みを共有することもできないのが、切ない。

<文/ふくだりょうこ>

【ふくだりょうこ】
大阪府出身。大学卒業後、ゲームシナリオの執筆を中心にフリーのライターとして活動。たれ耳のうさぎと暮らしている。好きなものはお酒と読書とライブ

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