篠塚和典と元木大介が分析する巨人の投手陣菅野智之、大勢の状態は? ドラ1ルーキーの課題、クローザーの人選も語った

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篠塚和典と元木大介が分析する巨人の投手陣菅野智之、大勢の状態は? ドラ1ルーキーの課題、クローザーの人選も語った

3月27日(水) 17:20

提供:
読売ジャイアンツOB

篠塚和典×元木大介 スペシャル対談・中編

(前編:阿部慎之助監督の指導者像と野手陣のポジション争い>>)

篠塚和典と元木大介による読売ジャイアンツOBのスペシャル対談。中編では、昨季のチーム防御率がリーグ5位(3.39)だった投手陣の課題や、期待するピッチャーなどについて語った。

篠塚氏との対談で笑顔を見せる元木氏photo by 村上庄吾

篠塚氏との対談で笑顔を見せる元木氏photo by 村上庄吾





【「もっと出てこないと」と奮起に期待の投手】

篠塚和典(以下:篠塚) (阿部)慎之助は「ピッチャーがたくさん欲しい」って言ってたよ(笑)。

元木大介(以下:元木) やっぱり欲しいでしょうね。

――今季は菅野智之投手が復調傾向ですね。

篠塚 大介、そのあたりはどうなの?

元木 現状のコンディションはよさそうです。ここ数年、シーズンを通して戦えていなかったので、首脳陣はホッとしているでしょう。ただ、いかに過去の実績がすごくても、今はある意味でルーキーと同じような立場であるとも言えるので、結果次第だと思うんです。今年で35歳と、ベテランと言われる年齢になってきていますしね。それと、急に登板を回避するようなことがあると、チームに迷惑がかかります。それだけはなくしてほしいなと。

一方で若いピッチャーは誰が出てくるのかとなると、山﨑伊織や、昨季の後半はよかった赤星優志あたりがもっと出てこないといけません。赤星はおとなしい性格なのですが、「俺もいるぞ」と感じられる強い気持ちがほしい。現状では新しい選手ばかりが目立っているので、投球内容や立ち振る舞いで自分の存在をアピールしてほしいです。

――赤星投手は、昨季8月以降は6試合投げて5勝。防御率1.36の成績を残しました。

元木 成績はよかったのですが、昨季の後半は、我々の現役時代(クライマックスシリーズがない時代)で言うところの"消化試合"でしたから。順位もある程度決まってしまい、個人タイトルばかりに目がいってしまう状況で抑えても、それは違う。優勝争いをしている時とは違う、ということを自分で感じてもらいたいんです。昨季の後半がよかったから「よし、今年も」という甘い考えではやられると思います。

篠塚 先発の3番手、4番手あたりで期待したいピッチャーだよね。

元木 もちろんです。昨季の後半のようなピッチングができるのであればいいですが、先ほども言ったように、相手チームの主力が休んでいた試合もあったと思いますし......。優勝争いをしている時にあのピッチングができたら、先発ローテーションに確実に入ってくると思います。

【戦線力の評価は?】――ドラフト1位ルーキーの西舘勇陽投手はいかがですか?

篠塚 長いシーズンを考えれば、西舘あたりもやってくれないと先発ローテーションがきつくなるでしょうね。戸郷翔征、山﨑、菅野、(フォスター・)グリフィン、(ヨアンデル・)メンデスのほか、赤星や高橋礼、西舘らが食い込んでいかないと。やっぱり常に6人はいないときついと思います。

元木 加えて、ローテーションの谷間に2人ぐらいいてくれたら最高ですよね。

篠塚 そうなってくれたらいいけどね。開幕ローテーションの6人がシーズンを通して順調に回る、なんてことはないから。リスクを考えて次のことも考えておかないと。そういう意味では、やはり若いピッチャーに出てきてもらいたいんだけど、ルーキーの又木鉄平はキャンプで見た時に面白いなと思ったよ。それ以外の若いピッチャーもみんな、球が速いし。

ただ、西舘がフォークボールを地面に叩きつけてたんだよね。スライダーやカーブ、カットボールも投げるみたいだけど、フォークの精度をもう少し上げたほうがいい。ピッチャーは変化球のコントロールが大事だと思うね。

――ソフトバンクから交換トレードで移籍してきた高橋礼投手はいかがですか?

篠塚 彼にもやってもらわないと困りますね。

元木 ただ、ここ数年はやれていませんよね。自分が巨人のコーチだった時に日本シリーズでソフトバンクと対戦しましたが、あの時は真っすぐに勢いがあったし、テンポも速いし、クイックも速いからすごく嫌でした。でも、昨年にソフトバンクが出したということは、やっぱり何かしら衰えているということ。そこを本人が感じ取って取り組んでいくべきでしょうね。

篠塚 新しい球種をひとつでも増やしてみるとかね。今までと同じような感じで投げていたら変わらないからね。

元木 同じくトレードで来た泉圭輔も含めて、ふたりともいいピッチャーですよ。僕らは日本シリーズでソフトバンクから1勝もできなかったんで。トレードと聞いて、このふたりの名前が出てきた時は、「えっ、ソフトバンクはこのピッチャーを出せるの?」って驚きましたから。今季はソフトバンクを見返すつもりで、「なにくそ」と思って頑張れるかだと思います。

――昨季はリリーフの防御率がリーグワーストでしたが、昨年まで阪神にいたカイル・ケラー投手、馬場皐輔投手の加入について、どう見ていますか?

元木 そのふたりの加入は大きいですよ。

篠塚 確かに大きいね。

元木 ケラーは真っすぐが速いですし、馬場もいいピッチャーだなと思っていたので、よく獲れたなと。特に大勢が(右ふくらはぎ痛で)遅れていたので、リリーフに厚みが出るのは心強いです。

篠塚 左の中川皓太は、オープン戦では状態が悪かったね。

元木いい時は真っすぐが走っていましたし、クロスで入ってくるボールもありましたが、スピードが出ていなかったですね。

篠塚 彼がしっかりすればね。

元木 そうなんです。

篠塚 大勢がしっかりしてくれば後ろは固まるんだけど、ちょっと心配。堀田賢慎もそろそろ出てこないと。

元木 高梨雄平しかいなくなっちゃいますね。また、高梨がひとりで投げなきゃいけないってなっちゃいます。

――高梨投手は頼りになる?

元木 昨季は誰もいなかったんですよ、大勢がダメで、皓太もそこそこの出来だったので、なんやかんやで高梨しかいなかったんです。

篠塚 大勢は開幕には間に合いそだけど、軸足のふくらはぎはきつい。大勢が難しくなった場合、誰にクローザーを任せるのか。

元木 馬場がいいと思います。その前は右のケラーと左の高梨でつないで。そこに復調した大勢や皓太が合わさればリリーフ陣は層が厚くなりますし。

【若きコーチ陣への期待】――そんなリリーフ陣の再建を託された内海哲也投手コーチは、阿部監督から声をかけられて6年ぶりの巨人復帰ですね。

篠塚 内海と一緒の時期にいたピッチャーは残ってるのかな?

元木 菅野は一緒にやっていますけど、今は若いピッチャーが多いですからね。

篠塚 内海と接するのが初めての選手も多いと思うけど、彼は人当たりがいいし、冗談も言うし、若い選手も声をかけやすいんじゃないかな。

――コーチで言うと、二岡智宏ヘッド兼打撃チーフコーチの手腕にも期待がかかります。

元木 二岡は"厳しいコーチ"という印象でしょうね。二軍監督をやっている時も厳しかったので。若い選手はピリピリすると思いますが、やはりチームには、ひとりかふたりは厳しいコーチがいたほうがいいです。本来は慎之助がそういうタイプだと思いますが、監督になって少し柔らかくなろうとしています。なので、その後ろにいるヘッドコーチが厳しくてもいいんじゃないかなと。

篠塚 二岡は笑顔を見せないから怖いんだよな。

元木 僕らにはちょこちょこ冗談も言いますが、感情があまり表情に出ませんね。

篠塚 自分の娘がずっと二岡のファンなんだけど、娘と会って話をしている時はニコニコしていたよ(笑)。ただ、野球の話になるとピリッとする。

元木 選手もそうですが、首脳陣もみんな若いですからいいかもしれませんね。チーム全体が若返った分、どんな変化があるかも楽しみです。

――一部の報道では、阪神の岡田彰布監督が最も警戒しているのは巨人だと話しているとのことですが。

元木リップサービスなんじゃないですか(笑)。

篠塚 未知だからかもね(笑)。監督が代わり、首脳陣が若くなって、何をやってくるかわからないから警戒していると思う。ほかのチームはそんなに変わってないなか、巨人はかなり変わったよね。

元木 新しい選手が出てきたところに監督も代わった。それだけ変わることはそうそうないですよね。オフには補強も積極的にしましたし、ドラフトも即戦力しか獲っていない。選手とコーチ、監督がうまくかみ合えば、すごく面白いチームになると思います。

(後編:篠塚和典は「笑ってんじゃねぇよ!」、元木大介は「ずっとバントやっとけ」 長嶋茂雄の激怒エピソード>>)

【プロフィール】

◆篠塚和典(しのづか・かずのり)

1957年7月16日、東京都豊島区生まれ、千葉県銚子市育ち。1975年のドラフト1位で巨人に入団し、3番などさまざまな打順で活躍。1984年、87年に首位打者を獲得するなど、主力選手としてチームの6度のリーグ優勝、3度の日本一に貢献した。1994年に現役を引退して以降は、巨人で1995年~2003年、2006年~2010年と一軍打撃コーチ、一軍守備・走塁コーチ、総合コーチを歴任。2009年WBCでは打撃コーチとして、日本代表の2連覇に貢献した。

◆元木大介(もとき・だいすけ)

1971年12月30日、大阪府生まれ。大阪・上宮高校で通算24本塁打を放ち、1年のハワイ留学を経て、1990年に巨人からドラフト1位で指名され入団。ユーティリティープレーヤーとして活躍し、当時の長嶋茂雄監督からは「くせ者」と呼ばれた。2005年引退後は、野球解説者を務める傍ら、タレントとしても活躍。2018年にU12世界少年野球大会における日本代表監督に就任し、チームは優勝した。2019年から2023年まで、巨人の一軍内野守備兼打撃コーチ、一軍ヘッド兼オフェンスチーフコーチ、一軍作戦兼内野守備コーチを歴任した。

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