住まいによって、病は変わる。悪性腫瘍も、それは同じこと。知らぬと後悔、“県民格差”!
今や日本人の2人に1人が、がんにかかる時代。ところが、厚生労働省《全国がん登録罹り患かん数・率 報告》他の公的資料を読むと、意外な「県別格差」に驚く。
■東北と北陸に多い理由
その典型例が胃がんだ。胃がんの罹患率1位は秋田県で以下、新潟県、山形県、石川県、富山県と続くが、日本海側の東北と北陸に多い。予防内科学などが専門で、疫学データの解析にも精通する新潟大学名誉教授で、医学博士の岡田正彦氏が次のように説明する。
「東北地方は、冬の食糧として漬物などの塩蔵食品を多く食べるため、塩分摂取量が多いんですね。これが胃がん死亡率を高める原因だと思います」
■C型肝炎ウイルスに感染して移行するケース
肝臓がん罹患者は西日本や九州に多い。特に、佐賀県は肝臓がん死亡率が長年全国トップという不名誉な記録も残している。肝臓がんはB、C型肝炎ウイルスに感染し、がんに移行するケースが多い。肝炎ウイルス検査が徹底していなかったことが肝臓がん罹患率と死亡率を高めたようだ。
■喫煙、塩分、肥満の割合が高い
最近、増えつつある大腸がんは男女とも東北地方と山陰地方に多い。特に北海道、青森県、秋田県は、がん全体の罹患率も死亡率も最上位となっている。
「北海道、青森県、秋田県の各地域では喫煙、過剰な塩分摂取、肥満の割合が高くなっています」(前同)
厚労省の《国民健康・栄養調査》によると、例えば青森県の男性は肥満度が全国2位で女性は6位。1日に歩く歩数も男性が37位で女性は42位。肥満や運動不足が原因となったようだ。
■白血病は沖縄や九州が圧倒
昨年6月、元広島カープの北別府学氏が成人T細胞白血病で帰らぬ人になったが、このがんは地域差が大きく、沖縄や九州の罹患率が圧倒的に高い。北別府氏も鹿児島県出身だった。
成人T細胞白血病はHTLV1というウイルスが原因で、このウイルスを持っている人が九州、沖縄に多く、これが母乳などから感染するためだ。
■検診の問題も
県によって、がんの罹患率や死亡率に差があるのは、がん検診の問題もある。
がん死亡率で全国平均を大きく超えたのは青森県と佐賀県だが、青森県は、がん検診で精密検査となった人の再受診率が低い。また、佐賀は診断時点で、すでに進行していた症例が全国平均より多い。
●ストレスの問題も
また、他県と比べて特に目立つのは、北海道の肺がんと東京の乳がん罹患率だ。
北海道は喫煙率が高く、東京はストレスが大きいという指摘もあるが……。
前出の岡田氏は言う。
■予防のため4点を改善
「個々の県ごとに、なぜ罹患率や死亡率が高いのか、あるいは、なぜ、その県に特定のがんが多いのかを正確に指摘するのは難しいが、全体的な傾向は浮かび上がる」
●飲酒量も
がん罹患率が高い都道府県を並べると、1位が秋田県で以下、北海道、青森県、島根県、大阪府、鳥取県、長崎県……と続く。
岡田氏は、「がん罹患率上位の県を子細に見ていくと、喫煙率、塩分摂取量、飲酒量、肥満度の4つの因子が、どれも上位なんですね。がんを予防するには、この4点を改善することが必要だと思います」
■全国平均を大きく下回った長野県
逆に、死亡率の低さで全国平均を大きく下回ったのが長野県だ。
「長野は検診で比較的治りやすい前立腺がんや甲状腺がんが多く発見され、治りにくい肺がんや肝臓がんの人が他県に比べて少ない。
●生活習慣を
これが、がん死亡率を下げているのでは」(地元のがん専門医)
遺伝的に、がんになるのは5%とか。がん予防のためには、生活習慣を改めるのが一番のようだ。
【画像】日本全国がん罹患率
データは厚生労働省「全国がん登録」(2019年調査)より。〇数字はがん罹患率の全国順位=順位が上のほうが罹患率が高い
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