日本代表招集メンバーからすけて見える森保監督の胸中 過去の成功体験にすがるしかないのか

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日本代表招集メンバーからすけて見える森保監督の胸中 過去の成功体験にすがるしかないのか

3月15日(金) 7:20

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2026年W杯アジア2次予選北朝鮮戦(22日=ホーム、26日=アウェー)に臨むメンバー26人が以下のように発表された。

GK

前川黛也(ヴィッセル神戸)、大迫敬介(サンフレッチェ広島)、鈴木彩艶(シント・トロイデン)

DF

長友佑都(FC東京)、谷口彰悟(アル・ラーヤン)、板倉滉(ボルシアMG)、渡辺剛(ゲント)、町田浩樹(ロイヤル・ユニオン・サンジロワーズ)、毎熊晟矢(セレッソ大阪)、伊藤洋輝(シュツットガルト)、橋岡大樹(ルートン)、菅原由勢(AZ)

MF/FW

遠藤航(リバプール)、浅野拓磨(ボーフム)、南野拓実(モナコ)、守田英正(スポルティング)、相馬勇紀(カーザ・ピア)、小川航基(NEC)、前田大然(セルティック)、堂安律(フライブルク)、上田綺世(フェイエノールト)、田中碧(デュッセルドルフ)、川村拓夢(サンフレッチェ広島)、中村敬斗(スタッド・ランス)、佐野海舟(鹿島アントラーズ)、久保建英(レアル・ソシエダ)

アジアカップに出場したメンバーから漏れたのは、野澤大志ブランドン(FC東京)、中山雄太(ハダースフィールド)、冨安健洋(アーセナル)、伊東純也(スタッド・ランス)、三笘薫(ブライトン)、旗手怜央(セルティック)、細谷真大(柏レイソル)で、代わって大迫、長友、橋岡、相馬、小川、川村が加わった。

アジアカップに大本命の立場で臨みながら、まさかのベスト8に終わった森保ジャパン。代表監督の解任騒動に発展してもおかしくない不出来だった。生温い環境に救われたという自覚が森保一監督にどこまであるか定かではないが、このメンバー選考を見ると、その穏やかではない胸の内をうかがい知ることができる。

カタールW杯以来1年3カ月ぶりの代表復帰となった長友佑都photo by Sano Miki

カタールW杯以来1年3カ月ぶりの代表復帰となった長友佑都photo by Sano Miki



長友は37歳だ。いくらJリーグでいいパフォーマンスを見せているとはいえ、たとえば現在、佳境を迎えている欧州カップ戦で通じるレベルにはない。このまま2026年W杯本大会のメンバーに選ばれれば、それは日本サッカーの後退を露呈させたも同然である。不安に駆られる心の拠りどころを長友に求めたのか。森保監督は過去の成功体験にすがろうとしているかに見える。

【問題はボールの奪われ方】

森保監督は最近、長友の守りの堅さについて「まだまだ若い人はかなわない」と讃えていた。「我々が目指す、"いい守りから攻撃へ"というサッカーに照らしても外せない選手であることをFC東京のプレーでも示している」とは、今回のメンバー発表で森保監督が口にした選考理由である。

森保監督はサッカーの戦い方について言質を取られるのを怖がっているのか、抽象的な表現を繰り返してきた。そうした中にあって最近、口にする頻度が高まっているのが「いい守りから攻撃へ」だ。1回の会見につき1度は口にする。

サッカーは連続動作だ。ボールを奪った瞬間、ただちに攻撃を開始する。奪い方は重要なテーマになる。それについては同意する。しかし、サッカーは得点を奪うか、ラインを割らない限り、奪われた瞬間、相手の攻撃が始まる。

奪われ方も、奪い方と同じだけ重要なテーマになる。いい攻撃からいい守備へ。マンチェスター・シティのベンチで、ジュゼッペ・グアルディオラの参謀役として再度その傍らに座っているフアン・マヌエル・リージョ(元ヴィッセル神戸監督)は、筆者の問いにこう答えたものだ。

「奪うことを想定しながら守ることも重要だが、奪われることを想定しながら攻撃をすることも重要」だと。それをこう言い換えた。「守りながら攻める。攻めながら守る」。

森保監督が強調するのは、守りながら攻める、だ。奪うことを想定しながら守る、である。だがその対となるプレーについては言及がない。90パーセント以上の攻撃は失敗に終わる。その失敗の仕方、どこでどう奪われるべきかにどれほどこだわれるかも、それと同じぐらい不可欠になる。

アジアカップの不成績はそのアンバランスに原因があった。いい守備からいい攻撃はできていたにもかかわらずベスト8に沈んだ。森保監督はどうやら真の敗因を掴めていない様子である。

この会見で森保監督が口にしたアジアカップの反省点は以下のふたつだった。「セットプレーからの失点」と「ロングボールの対応」である。攻撃面における課題は出なかった。

【森保ジャパンに最も欠けているのは?】

アジアカップの日本はいい奪われ方、いい終わり方ができなかった。攻めながら守れなかった。つまり秩序なく能天気に攻めてしまったことが敗因だと見る筆者との間には、大きな見解の差が存在する。

三笘と伊東。今回、欠くことになるこの左右のウイングが、他の候補とどこが違うかと言えば、縦突破を狙う比率の高さだ。縦ありき。左の先発候補である中村、右の先発候補である堂安、あるいは久保はその逆だ。縦ではなくまず内だ。おのずと奪われる場所に大きな差が生まれる。

真ん中で奪われると、全体が逆モーションになり、カウンターを食いやすい。奪われるなら外。深い位置になればなるほど安全になるという理屈に、完全に合致したウインガーふたりが今回揃って欠場する。ロングボールの心配をする前に、奪われそうなポイントを心配したほうがいい。

代役として選んだ相馬は、右も左もこなす。縦勝負の割合も、他の候補より高い。理に適っていることは確かである。だが、いかんせん新鮮味に欠ける。所属クラブでも活躍しているとは言い難い。長友ではないが、安定感を求め、ベスト16入りしたカタールW杯のメンバーにすがりついた印象だ。「次回W杯ではベスト8以上を狙う」(森保監督)との宣言に逆行した施策になる。

唯一フレッシュな印象を与えるのは小川のみ。アジアカップでベスト8に沈めば、その再出発となるこの北朝鮮戦には、メンバーの刷新を迫られるのが普通だ。監督交代が行なわれないのなら、監督に思考法をそれなりに変えてもらわないとバランスは取れない。不成績を全肯定することになる。

森保ジャパンに最も欠けるのはボールを収める力だ。1トップ、あるいは1トップ下にボールが入らないと攻撃のルートは両ウイングに限られる。それを解消しようと両ウイングが内へ入れば、悪い奪われ方に直結する。攻めながら守れないサッカーに陥る。

チャンピオンズリーガーのひとりである鎌田大地は今回も招集外だ。森保監督は彼を見切ったのだと踏む。とすると、ポストプレーを得意にする選手はいなくなる。新戦力の小川に求められるのはそれだろう。ボールを収める力。上田、浅野、前田ら他の1トップ候補、あるいは1トップ下の候補である南野にはない魅力を発揮してもらわないと、攻撃の終わり方は改善されない。

日本のウィークポイントはハッキリしているにもかかわらず、発表されたメンバーを眺める限り、改善される気配がしない。心配である。



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