大谷翔平から「オレのピッチングは参考にしないほうがいい」と助言高橋宏斗は「独特の感性を持っているんだろうなと感じた」【WBC2023】

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大谷翔平から「オレのピッチングは参考にしないほうがいい」と助言高橋宏斗は「独特の感性を持っているんだろうなと感じた」【WBC2023】

3月13日(水) 7:15

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「PLAYBACKWBC」Memories of Glory

昨年3月、第5回WBCで栗山英樹監督率いる侍ジャパンは、大谷翔平、ダルビッシュ有、山本由伸らの活躍もあり、1次ラウンド初戦の中国戦から決勝のアメリカ戦まで負けなしの全勝で3大会ぶり3度目の世界一を果たした。日本を熱狂と感動の渦に巻き込んだWBC制覇から1年、選手たちはまもなく始まるシーズンに向けて調整を行なっているが、スポルティーバでは昨年WBC期間中に配信された侍ジャパンの記事を再公開。あらためて侍ジャパン栄光の軌跡を振り返りたい。 ※記事内容は配信当時のものになります

短期連載:証言で綴る侍ジャパン世界一達成秘話(2)

第5回WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)で栗山英樹監督率いる侍ジャパンは、2009年以来14年ぶり3度目の優勝を果たした。世界一の軌跡を選手、首脳陣たちの証言とともに振り返ってみたい。

WBC決勝のアメリカ戦に3番手で登板し1回無失点の好投を見せた高橋宏斗 photo by Getty Images

WBC決勝のアメリカ戦に3番手で登板し1回無失点の好投を見せた高橋宏斗 photo by Getty Images





【シャンパンファイトに参加できず】マイアミでのWBC決勝でアメリカに勝って、世界一になった日本代表。3番手として5回の1イニングをゼロに抑え、勝利に貢献した高橋宏斗はシャンパンファイトに参加すべく、ゴーグルまでつけてやる気満々だった。しかし20歳だった高橋は、米国の『飲酒は21歳以上』という法律のせいで参加できず、「水を飲んでました」と笑っていた。

「アメリカでの2試合、決勝のことは緊張しすぎていてうろ覚えなんですが、準決勝は投げていなかったのでいろんなことを覚えています。最後、逆転サヨナラ勝ちの場面は、レフト側にあったブルペンにいて、村上(宗隆)さんの打球が近づいてくるその軌道をしっかり追っていましたから、鮮明に覚えています。ブルペンから見ていたら左方向に打球が飛んできて、打った瞬間から全員がフェンスをよじ登る感じで見ていました。みんな、興奮してフェンスから乗り出す感じだったので、おいおい、(グラウンドへ)落ちるんじゃないかと心配になりましたよ(笑)」

うろ覚えと言いながらも、高橋が決勝で得たピッチャーとしての感覚は、シャンパンを浴びるよりも遙かに身体の奥底にまで染み込んでいた。とりわけアメリカの主軸、マイク・トラウトとポール・ゴールドシュミットから続けざまに奪った三振は圧巻だった。

「WBCでは第1ラウンドから3試合に登板しましたが、すべて1イニングだということはわかっていました。先発で長いイニングを投げるとなれば、自分がどういうピッチャーなのかを相手に印象づけておくことが大事になってくると思うんですけど、WBCでは1イニングの勝負だったので、バッターも僕がどんなピッチャーなのかをつかむ前に勝負が決します。となれば、もっとも空振り率が高い、抑える率が高いボールを意識したほうがいいと考えて投げました。

僕の場合はそれがスプリットだったので、トラウト選手に対しては最後、スプリットを選択しました(空振り三振)。ゴールドシュミット選手からは真っすぐで見逃しで三振をとりましたけど、おそらくトラウト選手の空振り三振をネクスト(バッターズサークル)で見ていて、あのピッチャーはスプリットと真っすぐがあるんだという、どちらも頭のなかに入っていたと思います。僕もそういう相手の考えが理解できていたうえでのピッチングだったので、追い込まれたらスプリットもケアしてるはずだというところを意識して投げた真っすぐでした。その分、手が出なかったんだと思います」

【2009年WBCはまだ6歳だった】20歳でのWBCといえば、2009年の田中将大が思い浮かぶ。20歳でWBCに出場した田中もまた、ドジャー・スタジアムで行なわれた準決勝のアメリカ戦、高橋と同じ3番手として7回の1イニングを投げた。ブライアン・ロバーツ(当時、オリオールズ)とディビッド・ライト(当時、メッツ)から三振を奪って、ゼロに抑えている。

「2009年のWBCの時は僕、まだ6歳かな?でもダルビッシュ(有)さんが最後を締めくくったシーンは覚えています。田中さんが20歳だったというのは知らなかったんですが、そう考えると、同じ歳で自分自身もそこに立ったというのはすごいことをしているのかもしれないなと感じますね。日の丸を背負ったのは初めてですし、本当に自分が世界一の一員だったというのは、正直、出来すぎだと思いますし、今でも信じられません。

でも、そこに満足したくないという気持ちもあります。1つ上に佐々木朗希さんや宮城大弥さんがすごい成績を残していて、1つだけ上の先輩がこれだけできるんだっていうことを示してくれています。僕も出来すぎだと思っていますが、もっと高いレベルの人たちがいることも感じていますから、まだまだここからだなと思っています」

歳が近いだけに距離を感じやすい1つ上の佐々木、宮城だけでなく、ピッチャーとして8歳上の大谷翔平、16歳上のダルビッシュのことを高橋はどんなふうに見ていたのだろう。

「宮崎での合宿初日、ブルペンで初めてダルビッシュさんのピッチングを見た時、僕は横から見たんです。ダルビッシュさんがすごい真っすぐを投げている、すごい変化球を投げているというのは後ろから見たらすぐにわかります。でも、ただ単に『すっげえ』って思うだけじゃなくて、どういう身体の使い方をしているのかなというところに興味があったので、横から見てみようと思ったんです。

感じたのは、1球を投げる時の自分の身体の使い方とか、身体がこう動いていることを理解しながら投げているんだろうなって......僕なら、この球がよかった、この球が悪かった、じゃあ、その2球の身体の使い方がどう違っていたのかというのはまったくわからない。でもダルビッシュさんはその2球の違いの理由を訊いたらきちんと理解していて、『ここにこういう疲れがあるから、こうなっている』と答えを導いてくれて、こんな人、いるんだなとビックリしました。

大谷(翔平)さんにはどんな意識でピッチングしているのかを訊いたら、『オレのピッチングは参考にしないほうがいい。ただがむしゃらにストライクゾーンへ投げ込んでいるだけだから』と言われました。たしかに、試合前のピッチングを見ていてもあんまりストライクが入っていないんですよね。これでマウンドへ行くんだと思っていたら、あんなすごいピッチングができちゃうんだから信じられません。独特の感性を持っているんだろうなというふうに感じました」

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