高橋ヨシキが映画『ゴールド・ボーイ』と『DOGMAN ドッグマン』をレビュー!

高橋ヨシキが映画『ゴールド・ボーイ』と『DOGMAN ドッグマン』をレビュー!

高橋ヨシキが映画『ゴールド・ボーイ』と『DOGMAN ドッグマン』をレビュー!

3月8日(金) 17:00

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日本有数の映画ガイド・高橋ヨシキが新作映画をレビューする『高橋ヨシキのニュー・シネマ・インフェルノ』!中国のベストセラーサスペンス小説を日本で実写映画化!&リュック・ベッソン監督の新作バイオレンスアクション!***『ゴールド・ボーイ』 評点:★3点(5点満点) © 2024 GOLD BOY

© 2024 GOLD BOY


「中二病」に囚われた大人、「中二病」ど真ん中の中学生映画内にも多くの死がある映画だが、物語が始まる以前の過去にもいくつかの死があり、冒頭10分くらいの間にそれが語られるので一瞬飲み込みにくく感じる。

とある殺人を犯した男と、たまたまその殺人の映像を撮影してしまった中学生3人をめぐる物語だが、その中心には俗に言う「中二病」的なメンタリティがある。

それは共感能力の欠如であったり、また他人の能力を著しく見下す傾向であったりするわけだが、実際には欠如や不足でしかない、そういう部分こそが自分の優位性を担保していると考えてしまうのだ。

その点で本作が興味深いのは、その「中二病」的な精神性を隠そうともしない人物の一人が本当に中学生で、別の一人は大人だということだ。「中学生じみた大人」と「自分では大人だと思っている中学生」、その幼稚な悪意がぶつかり合う過程で多くの人が死ぬ。

描き方によってはもっと陰惨な映画になったのではないかと思うが、このような題材にもかかわらず一種の幼い青春映画として成立しているところに本作の魅力はある。ここでは「中二病」的な愚かさが血まみれの惨劇を引き起こすが、その「幼い愚かさ」自体には一種の甘酸っぱさが付与されているのである。

STORY:実業家の婿養子である東昇は、義理の両親を崖の上から突き落として殺害する。しかし、3人の少年少女がその現場を偶然にカメラで撮影してしまう。その子供たちは東を脅迫して大金を手に入れようと画策するが......。

監督:金子修介

出演:岡田将生、黒木華、羽村仁成ほか

上映時間:129分

全国公開中

『DOGMAN ドッグマン』 評点:★3.5点(5点満点) © Photo: Shanna Besson - 2023 - LBP - EuropaCorp - TF1 Films Production - All Rights Reserved.

© Photo: Shanna Besson - 2023 - LBP - EuropaCorp - TF1 Films Production - All Rights Reserved.
‟マンガ的"な物語を信じるということある晩、『紳士は金髪がお好き』のマリリン・モンローの扮ふん装そうをした男が警察に逮捕される。彼は傷だらけで、運転していたトラックの荷台には多数の犬が載せられていた。やがて精神科医との対話を通じて、通称「ドッグマン」の数奇な人生が明かされていく。

監督リュック・ベッソン自身が書き下ろした物語はきわめてファンタジー度が高い"マンガ的"なものだが、主人公を演じたケイレブ・ランドリー・ジョーンズの熱演も相まって独自のリアリティを獲得することに成功している。

「幼少時から痛めつけられ続け人を信じることができなくなった人間が、犬とだけは心を通わすことができる」というマンガ的な設定が胸を打つのは、作り手がその「物語」の持つ力を信じているからだ。それは実のところ、リュック・ベッソン監督のフィルモグラフィのほとんどについて言えることでもある。

本作の見せ場は(ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ以外では)もちろん賢くかわいい無数の犬たちで、彼らを観みているだけで飽きないのも良い。犬たちがメインになった結果、いつもの銃撃戦やアクションにまみれた作品ではなく、しっとりと落ち着いた「物語」になっているのだ。

STORY:2018年、アフガニスタン。米軍曹長キンリーの部隊はタリバン兵の奇襲でほぼ全滅するも、キンリーは通訳のアーメッドに救出される。帰国したキンリーはアーメッドがタリバンに狙われていると知り、彼を救うため再びアフガンへ。

監督・脚本:リュック・ベッソン

出演:ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ、ジョージョー・T・ギッブス、クリストファー・デナムほか

上映時間:114分

新宿バルト9ほか全国順次公開中

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