虚構と現実が入り混じる展開にアクションが絡み合う『ARGYLLE/アーガイル』など週末観るならこの3本!

マシュー・ヴォーン監督が放つ最新スパイ映画『ARGYLLE/アーガイル』/[c] Universal Pictures

虚構と現実が入り混じる展開にアクションが絡み合う『ARGYLLE/アーガイル』など週末観るならこの3本!

3月2日(土) 14:30

MOVIE WALKER PRESSスタッフが、いま観てほしい映像作品3本を(独断と偏見で)紹介する連載企画「今週の☆☆☆」。今週は、奇才マシュー・ヴォーンが贈る痛快スパイアクション、町田そのこのベストセラー小説を杉咲花主演で実写映画化したヒューマンドラマ、イギリスの湖水地方を舞台に紡がれる家族の愛と再生の物語の、人々のつながりを描く3本。
【写真を見る】小説家のエリーは、小説のなかで実在するスパイ組織の活動を言い当ててしまう(『ARGYLLE/アーガイル』)

■「キングスマン」を超えた意外性にドキドキ…『ARGYLLE/アーガイル』(公開中)

「キングスマン」シリーズでおなじみのマシュー・ヴォーン監督が、またもスパイアクションの新境地を切り拓く!現実に起こっている諜報活動を著作で言い当ててしまったため、命を狙われた愛猫家の人気女性作家が本物のスパイに助けられ、必死の逃避行を繰り広げる。

彼女の小説の主人公アーガイル(ヘンリー・カヴィル)はジェームズ・ボンドばりのイケメンでクールな諜報員だが、彼女を救うスパイは猫アレルギーで服装もだらしない!?そんな虚構と現実が入り混じるユーモラスな展開に、銃撃戦や格闘などのアクションが絡み合う。中盤には驚きの急展開も用意されており、物語はこのうえなくスリリング。「キングスマン」を超えた意外性にドキドキして欲しい。(映画ライター・有馬楽)

■余韻を残し続ける志尊の繊細すぎるほど優しく温かい存在感…『52ヘルツのクジラたち』(公開中)

親から虐待された過去のある女性が流浪の果てに自分の居場所を見つける。杉咲花演じる貴瑚はまるでパラレルワールドの『市子』(公開中)のようである。今度の彼女は流されない。踏ん張る。自分ばかりでなく、親から「ムシ」と呼ばれ、ネグレクトされている小さな男の子も守ろうとする(言葉を発しない桑名桃李の目の訴えには誰もが心、奪われそうだが!)。

彼女の強さはいつかの自分を支えてくれた人への恩返し。その人こそ、志尊淳演じる安吾。貴瑚の幸せを願いながらも、自分自身では彼女を幸せにすることはできないと身を引くトランスジェンダー男性。誰にも伝えられない思いに苦しみ悶える姿が他のクジラに聴こえない周波数で鳴く「52ヘルツのクジラ」の孤独と重なる。貴瑚が側にいなくても安吾を感じ続けるように、出ていない場面でも余韻を残し続ける志尊の繊細すぎるほど優しく温かい存在感。宮沢氷魚、西野七瀬といった旬のキャストたちがショッキングなほど人間の暗部を曝けだす挑戦的な役どころに扮するなかでも、志尊の深みは際立っている。(映画ライター・高山亜紀)

■納得と衝撃で暫し思いに耽る…『コットンテール』(公開中)

亡き妻の希望を叶えようと、遺灰を撒くためイギリスの湖を探し当てるまでの道程に、男自身や家族関係の再生を映したロードムービー。主人公の兼三郎を演じるリリー・フランキーが持ち味の“飄々としたおかしみ”を湛えながらも、どこか思い詰めて神経症気味になる一面を覗かせ、またも新境地を開く。東京からイギリスの湖水地方へ。中盤までは観客も、一人息子の慧(錦戸亮)同様に、迷惑をかけてばかりのダメ過ぎる兼三郎に辟易するハズ。

しかしイライラしながらも、少しずつ見えてくる認知症の妻との壮絶な日々、希望に満ちた若かりし日、そして兼三郎が抱える秘密など、いくつもの小さな驚きが生まれ、やがて終盤グイと胸を突かれる。そこでもう一つの重いテーマが立ち上がり、「そういうことか…」と納得と衝撃で暫し思いに耽ることに。『ぐるりのこと。』(08)でも夫婦を演じた木村多江が認知症になる妻を演じ、かの傑作における“激しい葛藤の末”を思い起こさせ複雑な感慨を深める。なんと監督はイギリス出身のパトリック・ディキンソン。本作で長編監督デビューし、第18回ローマ国際映画祭で最優秀初長編作品賞を受賞。イギリスの湖水地方の美しさや自然の壮大さを映し取った映像も大きな見どころ。(映画ライター・折田千鶴子)

映画を観たいけれど、どの作品を選べばいいかわからない…という人は、ぜひこのレビューを参考にお気に入りの1本を見つけてみて。

構成/サンクレイオ翼


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